ネットナンパ師“スケベガオ”の
今宵のベッドはキミと共に

【8】 新しい女を次々と


 別に強がりではない。女なんて、いなければいないで、なんとかなるのだ。ていうか、僕、既婚者だし。

 彼女が2人も急にいなくなって、ポッカリ心に穴が開いた、なんてことはなく、逆に再び出会い系に手を出す余裕ができたのも事実である。そうなると、特定の人とじっくり付き合っていく方が充実したセックスができるのは間違いないが、次から次へと相手を変えるのも悪くないと思えてくる。そういう遊び方をしている連中の気持ちもわかったような気がした。

 ただ、出会い系だけでは、脳がない。自分でもミク○ィ(いわゆるSNS)を始めてみたり、またエッセイみたいな世迷いごとを呟くホームページなども開設してみた。ヤフーの知恵袋なんてものの存在も知った。そして、なんとこれらが、またまた出会いをもたらしてくれたのである。

 出会い系では、森チャンがひっかかってきた。サクラの多い出会い系だが、自己紹介を書き込んでおくと、向こうからアプローチしてきたのだ。どこか他のサイトへ誘導しようということもなく、お互いの想いを語りあうところから始めましょうという感じで、本物だ。

 一方で、SNSでは蝶チャンと急速に親しくなった。実は蝶チャンは僕のHPの読者で、たまたまSNSをやっていることを書いたら、「私もやってます。友達になりましょう」とものすごく積極的で、僕のことにとても興味を持っていてくれたのだ。
 HPでは、掲示板などがあっても、いわば作家とファンの関係に近い感覚を抱く人もいるので、興味を抱いても、そこから進展しないことがあるのだと悟った。こちらは距離などないつもりでも、読者が距離を感じて、アプローチすらしてこなければ、知り合いようもないのだ。しかし、SNSを通じることによって、一般人同士という立場になれたわけだ。

 蝶ちゃんのような人もいるかと思うと、HPでも距離感を感じずに、まっすぐコンタクトをとってくる人もいる。それが炎チャンと、風チャンと、光チャンだ。
 そして、暇にあかせて知恵袋に回答をしていると、ヤフーのIDからメールを送ってくれる人もいたりする。華チャンと、そして1年近く後に新たに里チャンが加わった。

 さて、まずは出会い系で知り合った森チャン。何度かメールをやりとりするうちに、会話がかみ合わないことに気がついた。森チャンは僕より2〜3歳年上で既婚者。旦那さんとは別に、乙女のような恋愛をしたいと希望しているのがわかってきた。
 恋愛ごっこはキライじゃないけれど、まるで中高生の恋愛のように、まずはお茶して食事して、それからデートして、みたいなことを書いてある。はっきり言って、面倒だ。
 最初からセックスの約束をしてから会いたいと思っているわけではない。ただ、出会って即セックスというのは絶対にありえない、という考え方はどうだろうか。大人同士が、出会い系で知り合うのだ。会ってお互いOKなら、1回目も10回目もない。そのままラブホへGOでいいじゃないか、と思う。
 そこで、「最初のデートから絶対セックスはあり得ない」という考え方の人とは合わないと正直に書いたら、返事が来なくなった。こちらは丁重に、言葉を選びながらメールをしたためたのに、ガン無視である。失礼な奴だと思った。

 さて、それ以外の女の子たちだが、ヤフー知恵袋で少し遅れて知り合った里チャンにはまだ会っていないが、それ以外の人とは、結果から言うと、全てセックスした。

 蝶チャンとは電話で少し話した程度で、いきなり2泊3日で一緒に旅行することになった。メールなどでは、性的な話題はあったものの、お互い相手を抱きたいなどというやりとりは一切していないけれど、お泊りで会うのだから、それ前提である。

 炎チャンはHPの掲示板の常連で、旦那さんとの性生活をネタにしてカキコしてくれていた。僕ももちろん返信コメントをつけるが、それがとても嬉しかったらしい。やがて直接メールのやりとりをするようになり、「キミのような人を抱いてみたい」と送信したら、「あたしも抱かれたい」と返信が来て、会うことになった。

 風チャンは、最初からメールだった。何通かやりとりしたメールの中に、微妙に思わせぶりなフレーズが混じっていた。そこで、「シタいの?」とメールしたら、「シタい」と返事が返ってきた。

 光チャンもメールからのアプローチだったが、最初から「私とエッチしてください」だった。経験人数は少なくないが、長続きしたためしがなく、本当の女の悦びを教えて欲しいとのことで、僕のHPや掲示板の返信コメントから、「この人なら私を本当のオンナにしてくれる」と思ったらしい。買いかぶりではあるが、こんなに嬉しいことはない。

 華チャンとは、ヤフー知恵袋のアダルトカテゴリがきっかけだった。彼女の質問に回答したら、「もっとアナタと話がしたい」とメールが届いた。彼女の質問に回答した時点で、こんな女とシテみたいと僕は思っていたのだが、彼女もいつからか(もしかして、最初から?)僕とセックスしたいと思っていたようだ。僕に興味を持った華チャンは、アダルト以外のカテゴリも含めて、僕の回答を読みまくったらしかった。

 それぞれの女性との顛末は、次回以降に語ります。


ぶるう浪漫:いっぱい出てきましたね。これで全部ですか?
スケベガオ:いや、実は出会い系で知り合った人がまだ何人かいるので、全部ではないんですが……。
ぶるう浪漫:出会い系では、うまくいかなかった例がひとつ、取り上げてあるだけですね。
スケベガオ:出会い系はあまり良い印象がなくて。
ぶるう浪漫:それは、うまくいかないことが多かったから?
スケベガオ:いえ。変な人が多かったんですよ。怪我してる足をひきずって会いに来た人がいたり、乳房は温存だったんですが、「乳がんの手術をしたばかりだから、こっちの胸はまだ痛いので触らないで」とか、そこまでしてセックスしたいんか、って思いましたね。「中出しOKの人」って募集にもエントリーがあって、でもなぜか、完全暗闇の中という条件をつけられてしまったり、その他にも色々……。
ぶるう浪漫:あははは。それは愉快ですね。でも、どうしてでしょうね?
スケベガオ:結局、SNSとかHPって、出会い系経由のメッセージのやりとりとは違って、文字数制限がないので、僕は思うトコロ、感じるトコロを全て書いているわけです。いわば僕の裸の心をさらしているわけで、そこに共鳴した人が、メッセージを送ってくれるんじゃないでしょうか。だから、エッチできればなんでもアリって人とは違うんでしょうね。
ぶるう浪漫:なるほど。知恵袋の人も、スケベガオさんの回答を読みまくったってことですしね。
スケベガオ:そうです、そうです。
ぶるう浪漫:じゃあ、今回のキモは、出会い系などではなく、きちんと自分を出せる場が大切ですよ。そのためには、SNSやHPですよってことですね?
スケベガオ:そういうことです。ブログなんか今時簡単に持てますし、HPだって、ネット接続のためのプロバイダ契約をしたら、HPのためのサーバースペースがついてきますからね。変な出会い系を利用するよりも、自分を表現する場を持てば、リアル以上に自分の理解者が、身体の交流も含めて集まってくる、ということがいいたかったのです。
ぶるう浪漫:とはいえ、純粋に、SNSだけで知り合って、というのは、ないですね?
スケベガオ:最初は、SNSにも期待してましたし、そういう出会いがあるとも聞いていましたが……。
ぶるう浪漫:挫折した、と。
スケベガオ:まあ、挫折なんでしょうけれど、そういうの抜きで、ネット上だけで、いろんな人と様々な会話ができるのが楽しかったというのもあります。それに、出会い目的にはミク○ィは思った以上にハードルが高かったですよ。
ぶるう浪漫:というと?
スケベガオ:出会い系とか下ネタ系のコミュニティは廃止になりましたし、足跡をたどって本人のページに行っても、友達以外は非公開なのか、全くどういう人かわからなかったり、プロフィールに出会い目的はお断りと書いてあったりね。それなら、自分の好きなことを表現する場にした方が楽しいわけです。
ぶるう浪漫:知恵袋は、特にアダルトカテゴリでは、出会いがあるとか無いとか、話題になることもあるようですし、女の子のIDにはたくさんメールが届くらしいですが。
スケベガオ:僕は自分から出したことはありません。どちらかというと、マジで自分の人生経験や想いが役に立てばと、アダルトカテゴリも含めて、真剣に回答していたにすぎないんです。
ぶるう浪漫:結局、「誰か僕とヤリませんか?」みたいなのでは、効果が無いと?
スケベガオ:さあ、試したことはありません。が、ネットもリアルも結局同じで、魅力的な男にしか女は寄ってこないと思いますよ。だから、「僕とヤリませんか?」では、誰も相手にしてくれないんじゃないでしょうか? 僕も真剣に回答をしていたからこそ、興味をもってくれる人も現れた、ということだと思います。
ぶるう浪漫:最後に、ご自身のHPについて教えて下さい。
スケベガオ:現在は閉鎖していますが、エッセイ集のようなものです。そして、いくつかの種類の掲示板をおいてました。
ぶるう浪漫:それは、どのようなものですか?
スケベガオ:エッチ系の話題を語るところと、政治経済を中心にしたニュースネタを語るところ、進学や就職・転職といった進路や夢を語るところなど、いくつかの掲示版をおいてました。趣味系は恥ずかしいので、どんな趣味かは勘弁して下さい。
ぶるう浪漫:オタク系ですか?
スケベガオ:んん〜。まあ、想像にお任せしますが、とりあえず、全ての書き込みに返信コメントを付けていました。個人の想いなり感想なりでしたから、かなり偏ってはいたと思いますが、そこに人となりが現れていたんだと思います。ていうか、それを意識していましたしね。
ぶるう浪漫:そうですか。では、次回は、それぞれの女の子とのエッチというか顛末ですね。期待しています。
スケベガオ:了解です。


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