タクシーで  by 智哉





 








 俺は今、42歳の女性と付き合っている。彼女との出会いは、去年春、俺の酒の飲みすぎだろう、肝臓疾患で入院したことだった。
 街の中堅病院の看護士さん。名前は、智子って言う。今では、智子、智君、と呼び合うようにまでなった。でも、最後の一線は、まだだ。

「智君の気持ちは充分に分かっているの。もう少し待って」
 そう言われたのが、暮れの12月の初め。我慢するしかなかった。

 智子は、ちょうど去年の2月頃、ご主人の女関係が元で離婚したらしい。息子さんが一人いるが、専門学校を卒業して、地方で整備士をしているらしい。
 それまでの部屋を引き払い、この街に来たと言う。

 ずいぶん年下の俺と話を合わせてくれたのか、話しが合い、退院したら食事でも、の約束を取り付けていた。
「私なんかで……」と智子は言ったが、そこは押しの一手。
 右頬にできるエクボが、なんともチャーミングで、どう見ても30代半ばまでだろう。仕事時、髪を後ろに束ねたうなじが白くて何とも男の部分をそそる。

 携帯番号とメールアドレスを交換できた5月、何度となくデートに誘った。
 ドライブしたり、何故だかお寺巡りしたり。階段では、智子の手を引いてやった。恥ずかしそうな顔が、眩しかった。

 夏はあんまり会えなかったが、秋になり、何度か時間をくれた。秋の海岸で散歩し、手を繋いだ。
 ヒールのある靴の智子は、172センチの俺の少し下の目線だ。いろんな話に盛り上がり、楽しかった。
 車に戻り、缶コーヒーを飲みながら、俺は思いを告白した。

「智子って、呼んでいい?」
「私は、智君ね」
 それまでは、お互いに、「ねえ……」みたいな。

「付き合って欲しい」
 その真剣な俺の眼差しに、智子は俯いた。
 一度だけ、コクリと頷いてくれた。

 智子の肩に腕を回し、抱き寄せた。初めてのキスだった。智子は目を閉じ、俺の唇を受け止めてくれた。静かな時間が流れた。
 帰りは、お互いに指を絡ませて、手を繋いで帰った。

 日が過ぎるにつれ、智子の事は何でも知りたくなった。
 分かったこと、それは、正直、智子に尋ねて、答えてくれたこと。俺も、色々と聞かれたな。スリーサイズ、血液型、好きなタイプ、そして、初体験まで……。早い結婚で、別れたご主人が、2人目だったとか。

 寒い季節、俺も酒も飲めるようになって、智子と居酒屋にも行くようになった。
 智子は、酒に弱い。でも、「お酒飲むと、タバコ吸いたくなるの」と、ポーチからメンソールを出して、ふーっと吸う智子は、大人の女だった。

 12月は、智子の誕生日。クリスマスと一緒に計画した。「俺好みの女で来て欲しい」とメールした。もちろん服装だ。「膝上のスカートなんて、いつ以来かしら……」
 23日に、電車で遠出した。一日中智子と一緒にいられる。智子は、俺好みに完璧に仕上げてくれた。コートの下に、ブラウス、膝上のタックフレアスカートとブーツ。もちろん生足で、ハイソックス。
 寒い日だったけれど、俺の満足そうな顔に、「嬉しい」と言ってくれた。

 お昼を食べ、大きな公園を手を繋いで俺のポケットに手を入れ、散歩した。真っ白な膝頭が寒そうに見えた。
 ベンチで、その膝頭を撫でてあげた。「ありがとう……」人気を確認して、キスした。

 日が暮れ、食事の後、デパートに向かった。2階のランジェリーショップまで智子の手を引き、行った。
「え?」と智子。
「素敵なプレゼントさ。選んで……」
 売り場で、智子は恥ずかしそうに店員の視線を交わしていた。Dカップらしい。淡いピンクのブラとパンティをセットで選んだ。プレゼントで、一応、包装してもらった。

 店を出ると、「あー、恥ずかしかった。男の人にもらうなんて初めて……」と、智子は顔を手で隠した。
 本当に、顔が赤くなっていた。
 俺は、智子の手を引き、非常階段まで行き、そっと智子を抱きしめた。キスをした。

「今日の智子、可愛いよ……」智子は俯いた。
「これ、履かせてあげようか」と言った俺。
「え?」袋を掲げ、耳元で、「パンティ」と言った。
「え? ここで?」

 首を振り、智子の手を引き、エレベーターで地下まで降りた。思った通り、トイレがあった。人気ない静まり返ったフロアを歩き、智子のブーツの音だけが響いた。
 充分に注意を払い、障害者用トイレに滑り込んだ。
「ここなら大丈夫さ」
「えー、誰も来ない?」

 安心させて、智子のコートを脱がせた。背後に回り、「いいね……」と言い、俺は智子のフレアスカートの裾から手を入れた。脚を閉じる智子。
 パンティに指を掛け、優しく降ろした。
「あっ……」智子の声。真っ白な腿、膝頭から小さく丸まったパンティをブーツの足元から脱がせた。智子は、両手で顔を隠していた。袋を開け、買ったばかりの淡いピンクのパンティを足元から履かせて上げた。

「えー、本当なの、これって?」
 智子は、俺を見て赤くなっていた。

 そっと抜け出し、デパートを出た。「なんだか落ち着かない。恥ずかしい……」智子は、本当に可愛かった。
 裏通りのバーに入った。カウンターから死角になる奥の席で、並んで座った。水割りで乾杯し、智子は、2杯目はカクテルにした。うっとりしていた。
 俺の肩にもたれ掛けてきた。肩を抱き、額にキスをした。ブラウスの隙間から、ブラの紐が見えた。俺は指先で、肩から落とした。

「あ……だめよ」と言う言葉に、力はなかった。こっそりと、ボタンを二つ、外した。
 智子の耳元で、「キスマークつけてもいい?」
「だめよ。仕事でばれちゃうわ……」
「じゃあ、この辺は?」
 ブラのカップの中に少しだけ指先を入れた。「う、うん……」智子の了解を得て、誰も見えていないのを確認してから、ブラを少し下げて、真っ白な胸のふくらみに、キスマークをつけた。

「智君の意地悪……」俺はマークのその部分を撫でながら、指先を進めた。智子の体が反応して、俺に強く抱きついた。
「こんな所で……」
「見てないよ……ね」
 俺は、指先で固くなった乳房を撫でた。「あっ……」智子は、小さく吐息を漏らした。
 智子はほろ酔いと、体の反応に力が抜けていた。

 店を出て、少し冷たい空気を吸った。街を歩きながらも、俺にもたれてくる智子。しっかりと支えた。肩を抱き、「今のパンティは、何色?」なんて、意地悪をした。「もう、馬鹿……」
 少しましになり、タクシーを拾った。もうひとつ先の駅まで、わざと頼んだ。智子を抱きかかえながら、耳元で、呟く。
 俺って、本当に意地悪だと思う。ドライバーに聞こえない様に、耳元で小さく、「生理の時は、どっち?」
「え? ……もう話さないし」俺の意地悪に、智子は怒った、フリをした。

「当ててみて……」
「当たったら、手を強く握って」頷く智子。
 耳元で、「タ・ン・・」智子は、強く俺の手を握った。
 でも、まだ少し酔いがあるようだ。白い膝頭と腿を撫で、智子の手がそっと押さえつけていた。

 ドライバーに隠れて、俺は智子のブラウスのボタンを外した。智子は、小さく首を振った。でも、お構いなしだ。ブタンを二つ外し、指先をそっと胸のふくらみに進めた。
 ブラのカップに入り、指が乳房に達した。智子は、俺に寄りかかって来た。コートの下で、俺の指先は、乳房を撫で回した。
「声出しちゃだめだよ……」
「あっ……」
 智子は、必死で我慢していた。

 体が硬くなっていた。白い腿と膝を閉じあわせ、力が入っているのが分かる。俺は、コートの中に顔を入れ、舌を這わせた。そして、乳房を口に含んだ。
 智子は、反応した。
 俺を抱きしめ、髪を撫でてくれた。乳房を含み、そっと吸い上げると、「うー、あっ……」吐息が漏れていた。

 しばらくして、顔を上げると、智子は、うつろだった。智子の手を俺のジーンズの股間に導いた。智子の指先が、優しく撫でた。
 軽くキスをした。
 見つめ合い、智子の手のひらを取り、そこにゆっくりと、「フ ェ ラ」と書いた。智子は、俺の顔を見詰めた。でも、怒った顔ではなかった。もう一度、ゆっくりと「フ ェ ラ」と書き、耳元で、「して……」と言った。
 智子の何とも言えない困った顔は、ドライバーを背後から見ていた。

「大丈夫かな?」と、声を出さないで口の動きだけで智子は俺に確認した。俺は頷いた。
 智子も、小さく頷き返した。少しずつゆっくりと、俺はジパーを降ろした。
 ボタンを外し、トランクスからすでに大きくなったものを出した。

「智子、まだ酔ってる?」なんて言いながら、智子の背中を俺の方へ倒した。智子の唇に、俺のものが含まれて行った。
 ゆっくりと、音を立てず、ゆっくりと……、智子は俺のものを含んでスローとしてくれた。智子の髪を撫でる俺。熱い口の中で、俺のものは最大限まで大きくなった。
 なんて優しい、素敵なフェラなんだろう。愛情を感じた。長い時間を感じた。でも……。
 俺は、智子の喉奥に、出していた。

 智子は、全て受け止めてくれてた。顔を上げ、両手で顔を隠しながら、頭を二度前に傾けた。喉の奥から、飲み込んでくれてた。智子を抱き寄せ、髪を撫でた。指を絡め、少しの間、お互いに無言だった。「初めて?」小さな声で言うと、智子は小さく頷いた。
「次は、ホテル行こうね……」
 俺の声は、ドライバーに聞こえていた。「もう……、ば・か……」 (ロマンス&ラブトーク掲示板より 2010年1月3日 男性 会社員 21歳)

 
 智子さんの反応は、本物なのか、それとも、自分の半分の年齢の男の子に対するサービスなのか。42歳でしょう? しかも、想像するに、それなりに、いいえ、かなりイイオンナっぽい。それなりに、いやいや、かなり経験あると思うんですよね。だから、僕は経験の浅いあなたへのサービスで、色々とウブっぽい態度をとってあげているような……。いや、夢を壊すようなコメントでごめんなさい。

 
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