Boy Meets Girl |
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あらすじ | |
新地球に住む15歳の少年タクトが卒業試験を通過した希望者にだけ付与される「オリジナル一週間の旅」に出かけ、そこで同じ年のキリエに出会うことで、新地球で失われたラヴとセクスを知る物語。 | |
物語の言葉の注釈 | |
◆新地球(しん・ちきゅう) 本来の地球である「旧地球」(きゅう・ちきゅう)がオリジナルと呼ばれるのに対しレプリカと呼ばれて区別される。 ◆過去歴 いわゆる歴史のこと。この場合は移住前の旧地球の歴史をさす。事実経過を記録した部分と生活習慣についての民俗史の部分とで構成される。 ◆区域内図書館 旧地球(オリジナル)の一定単位の市街地におかれる公的機関。表向きは、地域市民の憩いの場でありながら、オリジナルの成り立ちが殆ど集約された機関でもある。VIPクラス(タクトのようなヴィジター)は、9割の内容を閲覧可能。残り非公開の情報は、C教授が提唱した「R計画」に関する旧地球切捨てのためのマニュアル、移住可能なDNA選抜のための基準テスト内容、地球に残される大半の人々への応対マニュアルなどであると推測される。 ◆セクス 直接行われる性交渉。オリジナルではセックスと表記・発音される。レプリカではDNAはすべて政府が管理するため、肉体を介してのこの行為は違法である。 ◆売春 性交渉つまり行為自体に単価をつけ売買されること。違法ではあるが黙認されている。ただし20歳未満の男女の売春は未成年との淫行という意味で別途刑罰の対象となる。 ◆シガレ オリジナルでは「煙草」あるいは「シガレット」と称される。こちらも20歳以上の成人の嗜好品である。物語中、タクトが出会ったキリエが、好んで吸うのは細身のタイプ。若干の擬似マリファナを混入させるのが、21世紀のオリジナルの流行らしい。 ◆ヴィジター 本来は訪問者をさすが主にオリジナルへくるお客様をさす。そしてレプリカからくる者は医学関係か政府関係などが多いため、殆どがVIPクラスの上流階級とみなされる。オリジナルとレプリカは研究機関以外の民間人は渡航を禁止されている。情報交換が行われることで「R計画」が阻止される懸念があるため。 ◆おまもり袋 旧日本はバックボーンとしての宗教は存在しないが、殆どの神社で購入可能なアイテム。"家内安全"や"合格祈願"あるいは"良縁祈願"などといった目的や用途別に分れており、身に付けておくとその目的に応じた"ご利益"を授かるらしい。普段は見向きもしないが、困った時にすがるというパターンが主流であった模様。また、大事なものを入れて肌身離さずつけるという利用方法もある。 ◆R計画(ぷろじぇくと・あーる) 爆発的な人口増加に伴い、オゾンの進行・森林伐採などから始まる環境破壊のため「地球」が衰退を見せ始めた21世紀。「世界連邦会議」が何度も繰り返され、22世紀が近づいた頃にC教授が提唱した「移住計画」のこと。 地球と似たような衛星を、近隣で見つけ出し環境などを整え、まったく同じ状態にした時点で人類を移住させることで、この「複製の地球」の役割は、滅んでいく「本来の地球」が消滅することで「複製→本来の地球」へと移行させる計画。ただし、移住できる人間は秘密裏に選抜され、シャトルで数回に分けて「レプリカ」に移る。DNAの重複は無駄であると多子出産を厳しく査定した。つまり双子以上はこの計画からは外される。ただし、双子のどちらか一方を処分すればこれに該当しない。 ◆R(あーる) REPLICA(レプリカ・複製)の頭文字からとったと政府は発表している。しかしその実態は REBIRTH(リバース・再生) RECOVER(リカバー・回復、取り戻す)REAL(リアル・真の) といった意味をこめられてR(あーる)と呼ばれていた。つまり、滅びていく旧地球(オリジナル)とすりかわるためにできた新地球(レプリカ)そのものが21世紀の「ノアの箱舟」であることを暗示している。 |