その日、会社からの帰り道、あたしはパンツを買った。 こんなに簡単に痴漢の餌食にあったのではたまらないと思ったからだ。 視姦されるのはイヤじゃない。 むしろ、好き。 むちゃくちゃ興奮する。 見ず知らずの男、それも「こんな男とは絶対に寝たくない」というようなタイプの男に、性の対象物として見られるのは、とてもイヤだけどその分興奮する。 触られるのも、いい。 触られたい、と思う。 けれど、毎日こんなことが続いたらたまらない。毎日、遅刻するわけにはいかない。 あたしは、パンツを買った。 痴漢防止だというのに、あたしはまたもや普通のものにすることは出来なかった。 白くて、薄い布地のボトムス。 パンティラインが丸見えになるほどに。 あたしはこれをノーパンで履く。 ピタリと張り付いたヒップは、白ではなく、かすかに肌色が透けて見える。ノーパンなのはすぐにわかる。でも、これでいい。 しかも、思いっきりローライス。おへその下が限界まで露出する。骨盤が丸見え。 試着室の鏡にうつったあたし。ウエストからヒップにかけて膨らんでゆくカーブが、すごくオンナっぽい。ちっともラインが崩れていない。 お尻に手を回す。お尻の割れ目が2センチばかりはみ出しているみたいだ。鏡に背中を写して体をひねって見るが、ちょっとわかりにくい。 ついでに、胸元が大きく開いたスモッグを買う。けれど、胸の膨らみが見えるほどじゃない。薄いピンク色。ふんわりしているので、肌に張り付かない限り乳首は透けにくい。どうしてこんな平凡なのを買ったかというと、背中が平凡じゃないからだ。腰までU字型に割れている。 見せブラを身に付けるのが前提。けど、あたしはこれをノーブラで着る。後ろから見たとき、下着を着けていないのがはっきりとわかる。 これでも、ノーパン・ミニスカで、股の間からチェーンを光らせているより、随分とおとなしいものよね。 着替えようかなと思ったけれど、あとは家に帰るだけだ。 痴漢にあっても、時間を気にする必要は無い。 あたしはもとの服装のまま、電車に乗った。 |
もどろっか