語り部は由美
中学1年生 おしゃぶり(2)





 窓からはほとんど真横に赤いスポットライトが照らされている。夕焼け。
 そう、あれは、この季節のように日がどんどん長くなっている頃だったと思う。ランドセルを玄関に放り出して、友達と遊んだ。夕焼けが茶色っぽくなるまで遊んだ。夕暮れを合図に友達と別れて、家へ。太陽を時計代わりにするのだから、毎日少しずつ帰宅時間が遅くなる。そして、母に叱られた。いつまで遊んでいるの、時計を見てみなさい、と。わたしは素直に時計を見る。
 嘘、とわたしは思った。思っていたよりもはるかに遅い時間だったのだ。母が怒るのも無理は無い。
 それからわたしは、時計を見るようにした。公園にも時計はある。友達の家にもある。冬のある日、時計をきちんと見て、時間を確認して帰ったら、また叱られた。とっぷりと日は暮れていた。暗くなるまで遊んでいてはいけません、明るいうちに帰ってきなさい。母はそう言った。


 はあ、はあ、はあ。
 福島クンの息が荒い。
 わたしは息だけでなく、あんあんと声を漏らしていた。
 福島クンは足を広げて壁にもたれている。わたしは彼の足と足の間に入って、彼に背中をもたれさせていた。セーラー服は完全にめくれあがり、肩紐がダランと垂れ下がったブラジャーはもはやなんの役にも立っていなかった。乳房が露出して、彼が後ろからそれを揉んだり撫でたり、乳首をつまんだりした。
 わたしは最初、スカートの裾を手で掴んでいたけれど、あまりの気持ち良さに自分の手がどこへいっているのかわからなくなっていた。膝も曲がったり伸びたり、勝手に動く。きっとパンツも丸見えだろう。そして、中央部には大きな染みが出来ているはずだった。
 オッパイに執拗な愛撫を受けながら、わたしは身体全体を包んでいる何とも言えないけだるい快感に酔っていた。好きな人に触られるって、とても幸せ。
 大人の男と女がどうやって愛し合うのかを知ったのはいつだったろう? そのとき、わたしは確かにオナニーを知っていたけれど、男の人の手が自分の胸をさわっているシーンがにわかに現実味を帯びて、信じられなかったような記憶がある。どうしてそんなことをするの、って。それがいま、わたしの身に実際に起こっている。触られているだけじゃなく、気持ちいいとか、幸せだとか、感じている。しかも、もっともっとされたいと願っている。いつまでもこのままでいられたら、どれだけ幸せだろう?

「いやよ、こんな所で」
「だから、上に行こうよ。そしたら、もう下からは見えないって」
「上には誰かいるじゃない」
「どうせ同じことしてるんだからいいだろう?」
 下のカップルの声が近付いてくる。ちょっと揉めているようだ。
 福島クンの手は胸から足へと移動していた。わたしは彼が触りやすいように、膝を曲げて自分の方にぐっと引き寄せている。彼の指は太腿を這う。
 ゾワゾワと背筋に何度も電気が走り、もうアソコはぐしょぐしょに濡れていた。
 けれど、福島クンは太腿をさわさわするだけで、なかなか近付いてこない。
 お願い、早く触って!
 指を入れて!
 こんなに濡れていることを彼に知られるのはとても恥ずかしかったけれど、それ以上に、彼の指で一番感じる所をいじって欲しいと思った。こうしてエッチな気分はどんどん上昇していくのね。
 わたしの足をビンビンに感じさせておいてから、彼はわたしのお腹に掌をあてがった。そして、指先をパンツのゴムの下にくぐらせた。毛の上を滑って下のほうへ行く。けれど、パンツを脱がそうとはしなかった。
 ヘアの上を指が不器用に通過していく。その感覚が今までのどんなものよりも強烈で、「あはああん」とわたしは声を出してしまった。
 オナニーで触るのは性器の周辺だけだ。だから、下腹部がこんなに敏感に感じるものだとは思ってもいなかった。たとえ触っても、自分ではここまで感じたりしないだろう。
 指はクリトリスのわずかに手前でストップした。それは遠慮しているのではなく、彼の腕と指の物理的な長さの問題だった。彼は指先を小刻みに動かし、振動がわたしの敏感なところに伝わってくる。
「どうしてェ? どうしてそうなの? 嫌よ」
「我慢できないんだ。頼むよ」
 下から聞こえてくる声は、明らかにさっきよりも大きくなっていた。
 はっきりとした足音が接近してきていた。
「わかったわよ。だけど、口だけよ」
「わかってるよ」
 今、なんといった?
 わたしは頭の中でおんなの子の声を反芻した。だけど、口だけよ。口だけよ。口だけよ。
 口でいったいどうしようと言うのだろう。もちろんわたしはそれを知っている。けれど、まさか、と思う。こんなところで・・・・
 下からやってきた二人の頭が見えた。
 やっぱりそうだ。きわどいことをするから、階段の下からでは見えない屋上へ行こう、と言うことになったのだ。わたし達がいるからと最初はいやがっていた女の子も、彼氏の懇願に負けたのだろう。ううん、彼女自身も、したくてしたくてうずうずしているに違いない。わたしにはその感覚がとても良くわかった。
 二人の顔が見えた。
 声にならない声を女の子の方があげた。ゆっくりと昇ってきていたその進行がピタリと止り、彼女の視線がわたしの足の間に釘付けになる。
(やだ・・・)
 わたしは赤面した。
 セーラー服もスカートも思いきりまくれあがって、彼の手がわたしのパンツの中に差しこまれている。そのパンツはぐっしょりと染みを作っている。
「ほら、気にすること無いだろう? お互い同じことをするんだから」
 階段の下からやってきた彼氏が言った。どの部位も3センチくらいに切られた髪と、精悍な顔つき。上級生だろうか。多分そうだろう。見たことの無い顔だった。
 連れている女の子は、澄ましていれば無表情に近い、綺麗で特徴の無い顔立ちだった。胸まであるロングヘアーがサラサラと揺れている。前髪はきちんと刈りそろえられていた。まるで人形みたい、とわたしは思った。わたしなんかと違って、清純派で通りそうだった。
「あっち」
 男がそっけなく言って、女の背中を押した。
 だけど、彼女は動かなかった。
 わたしは彼女の気持ちがわかったような気がした。きっと彼女は、さっきまで階段の途中で、わたしがされているのと似たようなことを彼にされていたのだ。そして、今度はそれを見る側の立場になった。されるのと、見るのとでは大違いだ。ロマンチックでエロチックな気持ちのいい愛撫の世界に陶酔するのと、その現実を目の前に付きつけられるのとでは大違いなのだ。
 わたしだって、そうだ。見られている、ということで、急に羞恥心がこみ上げてきた。
 もちろん、まるで羞恥心が無かったわけじゃない。こんな所で、あちこち触られて、そして感じてしまっている自分が、恥ずかしくないわけが無い。だけど、快感がそれを上回り、没頭していた。
 それがいきなり凝視されたのである。
 もしわたしが正常な状態であれば、「いやあああ」と叫んで顔を両手で覆ってうつむいてしまっただろう。
 にもかかわらず、わたしは福島クンにされるがまま。だって、気持ちいいんだもの。
 こんなはしたない自分を見られているというのを自覚して、ますます感度が上がってゆく。

「ほら、早くしろよ」
 動きを失った女の子を彼氏がせかした。
「ほら!」
 彼氏はわたし達の目の前で、自分の恋人のスカートをめくった。彼女はパンツをはいていなかった。既に脱がされていたのだ。
 彼の手が二本の足の真中に差しこまれる。良く見えないけれど、ぐっちゃぐっちゃと音がした。彼が掻きまわしているのだ。穴の中に、指を入れて。
 わたしはカーッと熱くなった。
 女の子はガクッと膝を落とした。彼氏が彼女の脇の下に手を入れて支え、そのままズルズルと壁際まで連れていった。
 その先の出来事に、わたしはもう驚かなかった。このふたりはもう、何でもありの仲なんだ、そう理解したのかもしれない。
 壁を背中にして、彼氏が自分のモノを出し、彼女がソレに手を添えて唇を寄せたとき、わたしは「ああ、やっぱり」と思ったぐらいだ。
 もし彼女が、「口だけよ」と言わなかったとしても、わたしはそれを予想していただろうし、驚かなかったと思う。
 それはきっと彼女が下着を付けていなかったからだ。彼にパンツを脱がされることに抵抗しなかった、あるいは自ら脱いだ、というのはそう言うことなんだろうと思った。

「待って」と、わたしは言った。
 彼は手の動きを止めた。
「脱ぐわ」
 わたしは立ちあがり、下着をとった。わずかの躊躇も無い素早い行動だったと思う。
 再び彼の足の間に入って座ろうと腰を落としかけたら、彼はそれより先にわたしのスカートの中に顔を入れた。
 女のスカートに顔を突っ込んでいる変態男・・・。それはちっとも変態ではなく、とても嬉しかった。
 ・・・わたし、まだ中一なのに・・・。
 ちょっと前まで、好きな男の子と一緒にいることや、手をつないでデートをすることが憧れだった。夢見ていた。そのことを考えるだけでどこからか甘酸っぱいものがこみ上げてきた。どうやって子供が出きるのかなんて知らなかった。
 手をつないだり、抱きしめられたり、キスしたり。それがわたしの世界にある男の子との交わりの全てだった。
 セックスというものの存在を知って、まわりの女の子達がショックを受けているとき、わたしは既にオナニーの虜だった。それが同一のところから涌き出てくる快感であることは実感できなかったけれど、頭の中では理解していた。クラスメイト達はまだほとんど「やだあ」とか「不潔」とか感じていた。
   まわりにはまだ子供のままの子もいたし、男の子と交わることに嫌悪を感じている子もいたし、興味の無い子も、縁の無い子もいた。
 オナニーを覚えてしまった子は少なくないけれど、わたしのように完全にそれを受け入れて、セックスに通じる行為であることを理解し、罪悪感無く没頭してしまっている子は一握りだと思う。
 わたしだけが、道を外してしまったような気分になる。誰もがやっていることなのよと自分を説得しようとしても、放課後、学校の片隅で、露出をきめこんだ改造制服を着て、先輩カップルがすぐそばでいちゃいちゃしているのに刺激されながら、男の子にスカートの中に入られて、下着を着けていない丸出しのアソコをいじられている。
 普通ではないと思った。普通の女の子はこんなことはしない。
 でも、嬉しかった。
 彼の指は、タップリと潤ったわたしの中にある。
 指が、動く。
 戸惑うようなぎこちない挿入。けれど、やがてそれは、こそ泥が確信犯になって土足で上がりこんできたときのように、乱暴にかきまわし始めた。
 感じる所を一番感じるように自分でするオナニーとは違い、ただ激しいだけだった。
 時々、指先がどこかにつっかかって、痛い。けれどすぐに潤ったわたしのお汁で滑り、彼の指は思わぬところへ進んでいく。そして、ほんの一瞬、とても感じる所に触れた。
「ああン・・・」
 ・・・・ああ、嬉しい。幸せ。・・・・気持ちいい・・・!!!

 ペチャピチャという音。くぐもったような女の声。
 それはすぐ近くで身体を求め合う先輩カップルから発せられるものだった。
 わたしは福島クンの指にいつしか陶酔していた。オナニーほども感じないのに、うっとりした気分になって、眼を閉じていた。意識してそうしていたのではない。瞳が勝手に外界の受入を拒んでいた。いつしかわたしの全ては彼に触られる性器になっていた。
 それを払拭したのが、ペチャピチャという音と、くぐもった女の声。
 はぐ、はぐ、むぐ・・・・
 気になって目を明けると、そこではフェラチオが行われていた。
 ズボンのファスナーから飛び出したおちんちんは、その正面で膝を突いているガールフレンドの口の中に消えていた。彼女は頭を前後に動かし、その度に彼のモノは、彼女の口に吸いこまれたり、出たりした。おちんちんの表面を彼女の唇がなめらかに滑ってゆく。わたしが知っている幼い男性器とはまるで形が違った。男も女もなく素っ裸になり、子供用ゴムプールで遊んだあの頃とは違っていて当然なのだ。でも、違うのはそれだけじゃない。旅館で父と一緒に男風呂に入って見たそれとも違う。それが勃起という状態なのだ。
 フェラチオという行為の存在は知っていた。けれど、口でするなんて、もっともっと熟れたカップルのすることだと、なんとなく思いこんでいた。
 彼女の口の中はどうなっているのだろう? ただ受け入れているだけなんだろうか。それとも、舌を絡めたりしているのだろうか?
「ええー! あんなものしゃぶるなんて、信じられない」
「気持ち悪〜い」
 フェラチオという行為について友達としゃべったとき、みんなはそんな風に言った。わたしもそう思った。でも、今は・・・
 わたしの身体の中に入って、わたしを気持ち良くしてくれるソレを、舐めてあげることはちっとも嫌だとは思わない。むしろ、口に含んであげたいと思える。
 先輩は時々わたしの方をチラチラと見るけれど、特に反応せずに、ただ恋人が舐めるに任せていた。わたしのスカートの中には彼の頭が突っ込まれている。そんな女を目の前にして、何を遠慮する必要があるだろう、きっとそう思っている。
 いつのまにかわたしは、福島クンのを口に含むのを想像していて、口を開いていた。
 もしかして、そのことに気がつかれた?
 急に恥ずかしくなって体が熱くなったけれど、タイミング良くその時、福島クンは指を入れるのをやめて、唇を下腹部に添えた。唇がだんだん下がってきて、やがて、止った。
 そこはお腹と股の間の中間地点。逆三角形になった頂点。全裸で足をきちんと揃えて立ったとき、ギリギリみる事の出きるその部分。
 彼がそこで動きを止めたのは、わたしが足をそれほど開いていなかったせいだろう。
 彼を受け入れるためにもう少し足を開こうかどうしようか、でも、いまさらおもむろに足を開くなんて恥ずかしい・・・
 戸惑っていると、彼は舌を使ってきた。舌先がわたしのとても感じる所に届いては引っ込む。
 彼はそこがそういう場所だとは気付いていないようだ。ただできるだけ奥にまで舌を這わそうとしているだけなのだ。
 そこにピタリと舌が貼りついて、どんな加減か、わたしの身体に電気が走った。
 ビクビクとなったのは多分一瞬。じいんと痺れが残って、痺れた部分がトロトロと溶けていくようだ。
 わたしは自然に足を開くことが出来た。
 すかさず彼は、足の間に顔を押しこんでくる。そして、キス。それから、舌で・・・
 くちゅ、べちょ、にちゃ。
 まるでよくなついた犬が飼い主の手を舐め上げるようにして、彼のした全体がねっとりと貼りついてくる。わたしは腰を振った。最初は彼の舌が気持ちのいい具合になるように少し位置をずらした程度だったのに、そのうち舌の動きに合わせて腰を振っていた。
「いやああああああんんん」
 なんて卑猥な声を立てるんだと先輩達を非難しそうになって、それが自分の声であることに気がついた。立っていられなかった。下半身の感覚が無くなり、ただ快感に包まれて、わたしは崩れるようにその場に座りこんでしまった。
挿画提供は「くれなる」さんです。くれなるの杜はこちら


 福島クンはわたしの横に並んで座り、肩を抱いてくれた。
 場所をはばからない私の声に驚いて、先輩達カップルは行為を止めてこちらを見た。彼氏のペニスの先端とガールフレンドの唇に、ツウッと糸が引いていた。スカートの中から顔を出した福島クンは、その様子から、先輩達がそれまで何をしていたかを悟ったようだった。
「ゆ、由美・・・」
 消え入りそうな声と哀願視線でわたしに訴えかけてくる。
「いいわよ。してあげる・・・」
 わたしはつぶやいた。
 地面と水平に窓からオレンジ色の光を漂わせていた夕焼けの時間はもはや終わったようだ。階段室はどんよりと薄暗く、すりガラスを通して注ぎ込む外の光はなにほども無い。きっともう薄墨の中に風景は溶け込んでいるだろう。
「いいわよ」とわたしが答えたその瞬間、まるで時間が止ってしまったようだ。なにもない静寂の中、特殊効果でクローズアップされたように、運動部の部活の終わりを告げる「あいさつ」だけが響いてくる。かと思うと、妙にはっきりと届く車のエンジン音。先生が帰宅するのだろう。わたしたちがこんなところでこんなことをしているなんて、きっと知らない。
 限りなく初夏に近い陽気も、太陽の恩恵が無くなれば、まだ春の延長線上だと思わせる。閉ざされた場所だから風こそないが、肌に接した空間からは、白けてしまった恋人達のように急速に熱が冷めていった。熱いのは、わたしと福島クンだけだ。
 壁にもたれたまま福島クンはこれといった行動を取らない。
 わたしは彼が自分で出すのを待ちきれなくなって、彼のズボンに手を重ねた。
 先輩カップルはさっきまでと違った愛し方を始めていた。わたしたちとは違う壁に平行に並んで座り、お互いに身体をひねってキスをしながら、触りあっている。男の子の左手はめくりあげたセーラー服の下、ブラジャーの上から胸を揉んでいる。乳首がカップからはみ出していた。右手は、壁にもたれて膝を三角に立てたガールフレンドのスカートの中。といっても、スカートは乱れていて、わたしたちから性器が丸みえ。そこで彼氏の指が蠢いている。
 彼女はされるがままに官能を受け入れながら、かろうじて出したままの彼氏のおちんちんを握り締めていた。
 わたしは福島クンのそれをズボンの上から掌でしばらくこすった。本当はファスナーを下げ、中身を取り出したかったけれど、出来なかった。本当はさっさとむしゃぶりつきたい。彼のソレがどんななのを見たい、という好奇心もあった。

 彼の先端から漏れたラブジュースがズボンを湿らせる。
 触りつづけると染みがどんどん広がっていった。
「出る・・・・」
 先輩カップルの彼が切ない声を出した。
 身体の力を全て抜いて壁にもたれ、彼の愛撫に任せていた彼女は、ゆっくりと身体を起こし、再びフェラチオを始めた。さっきまでと違う激しい動きだった。ボーイフレンドも彼女の頭の後ろに手を添えて引き寄せている。
 さらに、口だけでなく、ガールフレンドの手がペニスに添えられ、かなり速いスピードで上下にピストンしていた。あんなに激しくして男の子は平気なんだろうか?
 射精に導くラストスパート、という感じだった。
 好きあう者どうし、一歩先へ進むのに、いったい何の躊躇が必要だろう。
 わたしは福島クンのズボンのファスナーをおろした。けれど、いきり立ったそれを、トランクスの前の穴からわたしは上手に取り出せない。福島クンはベルトを緩め、ボタンを外し、腰を浮かしてズボンを太腿まで下げた。トランクスと一緒に。
「わあ、大っきい・・・」
 先輩の男の子に負けていないそれに、思わずわたしは感嘆の台詞を口にした。わたしが彼のをこんなにしたんだ。表面は濡れてテラテラしていた。
 ぐっと頭を近づけて、思いきってわたしはそれを口に含む。独特の臭いがしてむせそうになった。けれど、我慢した。臭いにはすぐになれた。だけど、口に含んだ後、どうしていいかわたしにはわからなかった。
 それどころか、弓なりにしなった彼のおちんちんは、私の口から飛び出してしまった。
 体勢が辛くなったので、わたしは彼の正面に行き、四つん這いになった。左手を床につき、右手を彼のモノに添えて、しっかりと位置をキープしてからむしゃぶりついた。
 身体を支える左手がしんどくなって力が抜けると、わたしは前のめりになり、ペニスが喉にまで達した。腰の力だけで上体を起こして、わたしは舐めた。口の中央に彼がいて、その心棒を回りに下を這わせながらペロペロと。しばらくそうしていると、彼の感じる所が掴めてくる。ペニスの裏側、太くなったすぐ後ろの部分。わたしはそこを集中的に舐めた。
「帰ろ」と、女の声が背中でした。
「ああ」
 男の子がガールフレンドの口の中でイッたんだなとわたしは思った。
「ちょっと、どこ見てるのよ」
 女の子のピシャリとした声。
「だってよお。丸見え・・・」
「他の女なんて見ないで」
 そうか、ミニスカートにノーパン、四つんばいのわたし。後ろからはアソコが見えるんだ。でも、そんなことに構っていられない。福島クンはピクピクと反応し、声も漏らすけれども、射精にはまだ至らないようだ。
 そんなの、イヤ。わたしの口の中に出させてあげる。
「あの子、1年生よ。きっとすごい淫乱・・・」
 同性の他人に「淫乱」と言われて、心がざわめいた。めくれあがったスカートの中から下着のつけていないアソコを人目にさらしながらフェラチオしてたのは、あんただって一緒でしょ! そう言ってやりたかった。その一方で、その通り、わたしは淫乱なの、っていう思いもあった。どっちでも良かった。わたしはただ、わたしにされることによって、彼をイカせてあげたかった。
 それからどうしたか、具体的な手順はあまり覚えていない。
 彼のを掴んだ右手を一生懸命動かしただけだ。それだけははっきりと自覚している。先輩がそうしていたから、それをいつのまにか真似していたんだろう。痛くないのかしらと思ったのはほんの一瞬だけで、わたしはどんどんエスカレートしていった。穴からこぼれたお汁がわたしの太腿を伝わっている。
 どれだけそうしていただろう。わたしたちの回りはすっかり闇に溶けこんでいた。
 福島クンは口の中に射精した。
「うえっ」
 とっさにわたしはそれを吐き出そうとした。けれど、吐き出すべき場所が無い。口の中に広がるいやあな感触。わたしは呑み込んだ。きっと先輩のガールフレンドもそうしたのだろう。
 喉を伝って彼がわたしに入ってくる。
 じんわりと彼がわたしの中に彼が溶け込んでいった。