語り部は由美
大学1年生 淫ら(2)





 トモちゃんとそのセックスフレンドは、わたし達が喫茶店の勘定を終えるのを確認すると、先にたってコンパ会場になっている居酒屋へ向かった。その後ろをわたし達がついてゆく。
 その間にトモちゃんが簡単にメンバー紹介。
 喫茶店でいい雰囲気になった背の高い彼は、トシアキ。紹介を受けてあらためて彼を見る。見上げるという感じ。平凡な容姿だけど、よく観察するとかなりガッチリした体格だ。トモちゃんの彼氏と比べるとよくわかる。身長があるので、彼1人だけを眺めていても体格の良さまでは思い至らなかった。彼が普通の肉付きだったら逆に貧弱に見えただろう。
 トモちゃんの横にいるのが、順くん。短い髪。太くは無いが濃くてくっきりした眉。目も鼻も細く、唇も薄い。ちょっと不気味な感じ。けれど時々わたし達のほうを振り返りながら見せる笑顔は、ひとなつこい子犬を連想させた。
 わたしのことは、「大学の友達。とても気が合うの」とトモちゃんは言った。
「じゃ、スケベだろ」と、また子犬のように笑いながら振り返る順くん。
 トシアキがわたしを見下ろして、ニヤと笑った。わたしは彼のお尻をひっぱたいてやった。
 
 トシアキに既に濡らされていたわたしは、彼と隣同士で座るつもりでいた。
 他のメンバーの目もあるし、彼がどれだけ大胆に迫ってくるかはわからなかったけれど、程度の差こそあれコンパ中ちくちくと彼は手を伸ばしてくるだろう。それを期待していた。わたしも状況に応じて手を出してやろうと思っていた。肝心な場所は座敷机の陰に隠れて見えないはずだ。
 トモちゃんの説明では、最終的にエッチに突入する確率が高そうだし、場合によっては乱れてもいい。
 そう思うとますます濡れた。わたしの最も女の部分がじんじんしてる。
 トモちゃんと順くんが暖簾をくぐる。わたし達の視界から消える。その瞬間、わたしはトシアキに抱きすくめられてキスされた。
「んん・・・」
 一瞬だけど舌と舌が触れ、ぬんめりした感触がわたしを一気にセックスモードへ引き寄せる。
 でも、トシアキはわたしを解放すると、何事も無かったように店に入った。
 
 座り順はくじ引きで決められた。
 トモちゃんがあらかじめ用意していた。
 わたしはトシアキと離れてしまった。
「コンパが終わったら続きをやろうね」と約束して別々に座る。
 あれからメンバーは増えなかったらしく、女が3人、男が5人。このまま乱交になったら面白いなとワクワクしかけたけれど、座敷とホールを仕切るものは薄い襖だけで、ちょっと無理だろう。
 わたしの席は奥の壁側。右隣に順くん。左隣にまだ紹介してもらっていない男の人。さらに左に女、男の順。
 向かい側、ホールを背にした列に3人。わたしの正面がトモちゃんで、その両隣に男。
 トモちゃんの右にトシアキが座り、左が初対面の人だ。上野芝さんといい、少し年上で落ち着いた感じ。全ての女の子に万遍なく話しかけてくるけれど、とりたててガツガツした感じではない。きっと飢えてはいないんだろう。
 こっち側が5人で向こう側が3人とアンバランスな座り方だけど、こうしないと男女交互にならないから仕方ない。5人並んでいるわたし達の列は少し狭いけれど、密着感がちょっといい。
 わたしにとってのやりたい順番から行くと、トシアキ、順くん、上野芝さん、かな? とか考える。
 あとの二人は食指が動かない。ブ男というのではないけれど、イマイチ。ピンと来るものが無いのだ。わたしの下半身を刺激しない。
 トモちゃんが連れてきたもう1人の女は敵じゃないな、と思った。ヨーコちゃんといった。
 化粧が濃いめで瞳が潤んでいて全体的にぽっちゃりした感じ。何かと言えば両隣の男の子の二の腕や膝にてを触れたりもたれかかったりしている。
 男大好きって顔に書いてある。会話も所作も直接的で下品な感じがする。ま、男の子はそれでも十分感じるんだろうけれど。
 わたしだって直接的だけれど、例えばわたしが肩に触れた後そのままアソコに直行するタイプだとしたら、彼女はずっと太腿の付け根でうろうろして結局手を出さないタイプだ。あまり経験が無いのかもしれない。
 もっとも、わたしと同等の経験をしている女の子なんてめったにいないと思うけどね。だけど、トモちゃんは相当やってそうだ。
 
 お酒も食事も会話も進み、順くんが「トイレ」と言って席を立った。
 実はその前に、わたしの耳元で彼は囁いた。
「席を立つから、少ししたら、来て」と。
 座敷の中も盛り上がっていたし、ホールの喧騒も届く。彼の囁きはわたしにしか聞こえなかったはずだ。
「なに?」
 わたしは声を出さずに訊いた。
 立ちかけている彼を視線だけで追いながら、クチパクで。
 彼も何かを言った。けれど、聞こえない。順くんもクチパクだったのかもしれない。しかも彼は言い終わらないうちに顔を出口の方に向けている。わたしは彼の口の動きを最後まで見届けることが出来なかった。
「誰も来ない所へ行こう」と言ったのか、「続きをやろうよ」と口を動かしたのか。台詞そのものはわからないけれども、意思は伝わっている。
 ミニスカートからはみ出したわたしのお尻に触れた彼の手は、あっという間にわたしの中に吸い込まれた。そこは既にトシアキの手技でタップリと潤っていた。ミニスカノーパンの中身に指を差し入れ、そこが既にとろんとろんだったら、男の子が黙っていられるわけが無い。順くんがそこで何を思ったのかは容易に想像できる。間違いなく「やれる」と思っただろう。喫茶店でのトシアキの続きを引き受けた順くんは、不自然な体勢ながらも一生懸命わたしを感じさせようとしてくれた。何度もイキそうになった。こらえる身体が小刻みに震える。
 わたしはそっと彼のものに手を触れた。
 光線の加減で染みは目立たないけれど、彼のそこは湿っていた。
 わたしは形を確かめるように彼の先端部分を指でなぞった。
 そのときだった。順くんは「席を立つから、少ししたら、来て」とわたしに囁き、そして、「トイレ」と立ち上がった。
 そのほんの数瞬のうちに、わたしたちは聞こえない声で言葉を交わした。
 青く深い海の底、音声以外の何かで大切なことを伝え合っている魚のカップルみたいとわたしは思った。
 くぐもった海のざわめきはホールから届く喧騒、気泡が割れる音はグラスの響き。別世界にいるような錯覚に、わたしはクラリとした。
 裸で泳ぐわたしの全身をやわらかな海水がふわふわとなで官能を際立たせる。
 周りに悟られないように少し時間を置き、わたしも立ち上がった。
 
 わたしはまっすぐにトイレには向かわず、トシアキの斜め後ろでいったんしゃがんだ。耳の穴に息を吹き込むようにして言葉を注ぎ込む。
「やきもち焼いてる?」
「ちょっとね」
 やっぱり。わたしと順くんが親密そうに話をしているのを、時々心配顔で彼は見ていた。
「きみだって・・・、トモちゃんと」
 わたしと順くんのようなことにはなっていないけれど、トシアキだってトモちゃんといい雰囲気だ。トシアキの手はトモちゃんの太腿の上にある。
「そ、そんなことないよ。お互い飲んでるし」
 振り向かずに話をしていたトシアキだったが、慌てたようにこちらを向いた。トモちゃんの太腿に載っていた手も、何かに感電したかのようにさっと引っ込めた。  気持ちはわかる。トモちゃんともうまくやりたい。けど、わたしも失いたくない。
 足を触らせるくらいトモちゃんには何でもないことに違いない。トシアキだってそのことは知っている。太腿の上を滑らせた掌を払いのけられなかったからといって、有頂天にはなれない。
 いわば、わたしをキープしながらトモちゃんの様子を窺っているのだ。
「大丈夫。わたしはキミのものよ」
 わたしもトシアキをキープする。  わたしはトシアキの手をとって、そっと自分のヴァギナに導いた。
 お酒も随分まわって賑やかな座敷。きっと誰も気がつかない。ううん、見られたからといって、どうってことない。だって、座はもう乱れ始めていて、上野芝さんとヨーコが口移しでお酒を飲ませっこしているぐらいだもの。
 上野芝さんの落ち着いたその動作に惹かれるのか、「私も、私もー!」とトモちゃんが叫んでいる。
「ほら、まだこんなに濡れているの。きみが触ったからよ。あれからずっとこうなの」
「この後、期待してていいんだね?」
 トシアキは割れ目に指先をわずかに沈ませながら、つつっと前にひく。開花寸前のつぼみに触れて、わたしは思わずのけぞりそうになった。
「うん、いいよ」
 そう返事する代わりに、わたしはわずかに喘ぎ声を漏らした。
 
 座敷からホールに出ると、順くんが待っていた。
「こっち」と、手首を握られる。
 ひっぱられるようにしてわたしは男子トイレへ。
 小便器がひとつ。その隣に個室。誰かがオシッコをしているけれど、背中を向けている。その後ろを一組の男女が通り過ぎたことなど気がつかない。
 順くんが個室の扉を開ける。中は最低限の広さしかない。狭い。背中を押される。すぐあとに順くんが身体をねじ込んできた。仕方が無いのでわたしは便座をまたぐ。目の前の壁に手を突いて身体を支えると、すぐにスカートがめくられた。
 わたしの背中に順くんがのしかかってくる。
 彼の右手がタンクトップの裾から肌に沿って這い上がる。ミミズのようなねっちょりした感触がわたしの背筋を凍らせ、どうやらそれは彼自身の愛液をすくいとってわたしの肌に塗りつけているのだと気付いてうっとりとなった。
 順くんが乳首をつまみながら、言う。
「トモが言ってたよ。由美ちゃんは相当エッチだと思うよって。だから狙ってたんだけどね、まさかこれほどとは思わなかったよ」
 割れ目に沿ってあてがわれた彼の左手。ぬぷりと差し込まれた指が、粘液にまみれながらゆっくりと動く。
 にゅぷり、にゅぷり、にゅぷり・・・
 いやらしい音がわたしの耳にまで届く。
「誰かに脱がされたの? 違うよね。最初っからノーパンで来たんだろ? おまけに、こーんなに濡れてさ。期待のし過ぎ? それとも、男を誘うつもりでこんなになってるの?」
 じゅぶじゅぶじゅぶ・・・
 順くんの台詞がわたしを卑猥な女におとしめてゆく。その度に下半身が反応してしまう。ジュースはどんどん溢れ、彼の指の動きはスムーズになる。まるで、もっともっとと誘っているみたいだ。
「いつもセックスのことばかり考えてるんだろう。それとも考えるだけじゃ足りなくて毎日男漁りか? 今日は誰のチンポをしゃぶろうか、ってね」
 順くんはいつの間に取り出したのか、わたしのお尻を彼のものでつっついてくる。彼の先端から滴る甘い蜜をわたしのお尻にこすりつける。その度に彼だって快感を得ているのだろう。その快感が彼をより欲情させているんだと思うと、頭の芯までボーっとしてくる。
「はやくぶち込んで!」
 そう叫びたいのを我慢した。
 個室のすぐ隣の小便器には新しい人が来たらしく、オシッコが便器にあたる音がする。ああ、あんな勢いで、わたしの中に出して!
「お、お、おお」
 ヴァギナの中の指が2本、3本と増えてゆく。
「いくらでも入るな、由美のおまんこ」
 乳首が勃って、痛い。
 乳首とヴァギナへの刺激をやめた順くんは、わたしの腰を両手で抱えて、彼の方へ引き寄せた。わたしは壁に突いた手の位置を変え、お尻を突き出す。
「入れて欲しいのか?」
 わたしはコクンと頷いた。
「さっきからいっぱい入れてやってたじゃないか」
「だって、あれは、指だもの・・・」
「じゃあ、なにが欲しいんだよ」
 わたしは「コレ」といいながら、右手を壁から離し、後ろ手に彼のものを握った。
 え!?
 掴んで、びっくり。すごく、大きい。
「うそ・・・・。なに、これ・・・」
 まるでビール瓶の底を掴んでいるような気がした。
 慌てて振り向こうとするわたしを、「見たらダメ」と、順くんが制止した。
「え、どうしてえ?」
 自分でも信じられないような甘い声を出すわたし。
「びっくりして、冷めるから」
「そ、そんなこと、ないよぉ」
 手で感じるこの大きさを目に焼き付けておきたいという衝動に駆られる。
「だあめ。これで何度も逃げられたんだから」
「だって、トモちゃんだって逃げなかったんでしょ?」
「あいつは特別。処女の頃から、色々なもの入れて遊んでいたらしいからね」
「じゃあ、ガバガバなの?」
「まさか。思いっきり締まりいいよ。死にそうになるほど締め付けてくる」
「ふうーん。じゃあ、わたしも試してみてよ」
 言葉を交わしている間に彼の先端部分はじわりじわりとわたしの膣に迫ってきていた。もうわたしはじれったくて狂いそうなくらい。
「これを味わったら病み付きになるよ。トモの他にも3人いるけど、みんな俺から離れられない」
「いいから、もう、入れてよ。はやく・・・」
 
 さすがにビール瓶の底というのはありえないと思う。掴んだそれが常人を逸脱したサイズだったのでとっさにそんな連想をしただけだと思う。けれども、ばかでかいことは確かだ。
 小さいのも大きいのも経験あるけれど、いろんな人と回数を重ねるうちに、わたしのアソコは相手に合わせて伸縮するようになった。
 さすがにこの大きさは初めて。でも、相手が大きい分には気は楽だ。向こうがぶちこんでくれたらそれでいいのだから。
 これまでに味わったことの無い圧迫感が膣口にかかる。すんなりとは入ってこない。
 濡れまくっているにもかかわらず、何かがギシっと音をたてた。そして、わたしはねじ込まれた。
 まさに、ガッボオ! という感じだった。
 わたしの肉を掻き分けて彼のモノが入ってくる。
 ズシンと全身に響く重量感。メリメリと裂けゆく膣壁。絶大な異物感。
 たった一ミリの進入が数センチも押し込まれたような気分。
 じゃあ、最後まで入ったら、感覚的には何メートルになるのかしら。
 ああー。こんな風に入ってきたらわたしおかしくなっちゃう。
 彼のものを受け入れるためなのか潤滑油が異常なほど溢れ出し、太腿を伝う。
 おかげで次から次へと訪れる痛みがどんどん快感に変化し、下半身が宙に浮いて溶けていきそうだ。
 熱い杭が細胞を蒸発させてゆく。
 ああー、いー、はああーん、ああー、ああんんー!!
 ここがどこかなんてこと、とっくにわからなくなっている。
 普通の男だったらとっくにピストンを始めているところだ。けれど、順くんのはまだ奥まで入ってすらいない。多分イッキに突っ込まれても大丈夫だと思うけれど、気を使ってくれてるのだと思う。
 みし、めり、みし、めり・・・
 絶対に入らないものを無理に押し込まれる感覚。膣が削り取られてゆく。トモちゃんがどんどん大きなものを入れたくなるのもわかるなあ。
 頭の隅で冷静に考えているつもりでも、耳に届く悲鳴が自分のものだとわかって、わたしがとんでもない状況にいることがわかる。
 ひいいいー!! いやあああーーーー!! こわれるーーーーー!!!
 あああー、もっともっとーーーー!! いたあああああいいいいい!!!
 死ぬ死ぬ死ぬ。ダメダメダメーーーー!!!!

 
 
 全てが終わったあと、拭いても拭いてもドロドロと中から出てくる彼のザーメン。キリが無い。
 トイレットペーパー越しに触るわたしのアソコは開ききっている。
 鈍い痛みがいつまでも消えない。じんじんしている。まだ何かが挟まっているようだ。
 目の前が真っ白。
「どう? またしたい? もうコリゴリ?」
 わたしは「したい・・・」と、こたえた。
 意識が別世界にふっとびそうなほど感じたけれど、あまりの強烈さにわたしはイクことが出来なかった。でも、普段のイク状況への上り詰めてゆくあの感じとは違う感覚があった。順くんのをイクまで受け入れていたら、本当にあの世まで旅立ってしまいそうなほど・・・。
「じゃ、このあと、タップリと味あわせてやるよ」
「ごめんね。トシアキくんと約束してるの、今夜は・・・」
「今夜? それは無理だろう? 俺とやったあとは、広がってるから、他の男のは・・・」
 わたしはそっと彼の手を導いて、意識してアソコを締めた。
 本当はもう少しこのままでいたかったんだけど。
「あ、すご・・・」
 いつもどおりに締めることが出来るかどうかちょっと心配だったけど、大丈夫みたい。
「ね?」
「ああ・・・」
 でも、ダメージは残っていた。彼に続いて個室を出ようとすると、足がガクガク震えた。
 男子便所だというのに、個室の前にはトモちゃんが待っていた。
「お願い、わたしも・・・」
 頬を紅潮させ、瞳は潤んでいる。
「ああ・・・」と、順くんは言った。
 二人は個室に消えた。

 コンパの会場は妙に盛り上がっていた。
 残された女の子はヨーコちゃんひとり。ヨーコちゃんは畳みに足を投げ出していて、今にも寝転がってしまいそう。肘を畳に突いてるからかろうじて頭だけが少し浮いている。だが全身を畳に横たえるのは時間の問題だ。彼女に手を出しているのは、わたしが興味ないなと感じた男二人だった。上野芝さんとトシアキはさほど大きくない画面のテレビの前に座っている。ニュース番組だ。
 ヨーコちゃんのスカートの中には男の1人が誰かが顔を突っ込んでいた。少し破れたTシャツの胸元からはオッパイがはみ出している。誰かが引きちぎったのだろう。ヨーコちゃんはポワンと上気した表情で、はみ出した胸を隠そうともしない。スカートに隠れてわからないけれど、多分パンティも剥ぎ取られているに違いない。そして彼女の敏感な部分は舌の餌食となっているはずだ。快感の虜となったヨーコちゃんはされるがまま。もう1人の男がはみ出したオッパイの上に何らかの食べ物が載せ、食べる。食べ物がなくなった後も丁寧にペロペロと舐める。彼女はどの程度意識があるのだろうか。望んでそうしているのかどうかわたしにはわからなかった。表情は色っぽいと言うより崩れていて、アヘアへと息が漏れていた。時折ピクッと身体が震える程度だ。
 もしわたしが同等程度に興奮していたら、されるがままなんていうことは絶対にない。自分からも男性を攻めていただろう。
 ヨーコちゃんがもともとそういうタイプのセックスをする人なのか、それともスカートの中行われているめくるめく愛撫のために恍惚とせずにはいられないのか、それともお酒のせいなのか。
 ひょっとしたら妙な薬でも盛られたのかなと思うほど、彼女は反応が少ない。
 彼女はセックスを楽しんでいるというより、男に玩具にされている悦びを享受しているかのようだった。
「大丈夫? 長かったね」と、トシアキが言った。ちょっとご機嫌なナナメだ。
 大丈夫と訊く限りは、座敷の外で何があったのかわかっているのだろう。
 わたしも途中から声をセーブすることを忘れていた。
 わたしはそのことには触れず、「ごめんなさい。飲み過ぎたみたい。送ってくれると嬉しいな」と返事した。
「ああ」
 わたしとトシアキくんはこの場を抜け出した。
 座敷の襖を閉めようと振り返ると、さっきまでトシアキと一緒にテレビを見ていたはずの上野芝さんが、ヨーコの口にペニスを入れていた。
 な、何なの、この集まり・・・

 カウンターの前を通り過ぎて出口へ向かう。カウンターの中には店のおじさんが包丁を握っているけれど、「ありがとうございました」と声をかけてくるだけだ。
 座敷がどういう状況なのか察していないはずがない。トイレの男女区別が意味をなしていないどころか、思いっきり声を出してセックスしても何も言われない。客の男女が何をしてようと意に介していないみたいだ。
 そうか。だからここがコンパ会場なんだ。
 座敷での乱交も、トイレでのエッチもオッケー。
 トモちゃんが男子トイレの個室の前で待っていても、オシッコをしに来たほかの客はなんとも思わない。
 ここはそういう店なんだ・・・
「いつもあんなことをしてるの?」
「まあ、時々ね」
 ま、いいけど。
 二人で歩きながら、「ホテル、行くだろ?」と、トシアキは言った。
「もちろん」
 そして、しばらく続く無言状態。なんだか気まずい。
 わたしを先にその気にさせたのはトシアキ。コンパの後でエッチしようって約束したのもトシアキ。なのに、わたしはコンパ中にトイレで別の男としてしまった。
「あ、あのね、もうばれてるんでしょ? わたしが何をしてたか」
「・・・ああ」
 そう言ったきり、黙り込むトシアキ。
 うわ。余計に気まずい。言わなきゃ良かった。
「ねえ、触って。まだこんなに濡れてるの。さっきより濡れてるの。全然足らないの。トシアキとするんだって身体が求めてるの。だって、その気にさせたのはトシアキだから」
 適当なことを言ったけれど、まんざら出鱈目でもない。
 おあずけを食らったままのトシアキが、「触って」と言われて従わないわけがない。
 予想通り彼はわたしの股間に指を差し入れてきた。
「? 本当にしたの?」
「したわよ。どうして?」
「あいつの入れて、どうしてこんなに締まってる?」
「知ってるの? 見たことあるの? ああそうか。男の子同士だもんね。並んでオシッコしたら目に入るよね」
「っていうか、あいつも含めて乱交したことあるけど、あいつの後は使い物にならないんだよ」
「ガバガバになるから?」
「それもあるし、女の子壊れちゃうし」
「わたしはそんなにヤワじゃないの」
 歩みを止めたトシアキは「ふうーん」と言いながら、わたしの顔を見つめた。
「由美ちゃんて、もしかして、ものすごくスケベ?」