語り部は由美
大学1年生 淫ら(9)





 私がうっすらと意識を取り戻しかけた。まだ朦朧としていて、茫漠とした風景の中に羽原クンと愛子チャンがいた。
 二人は私の手当てをし、水を吐かせてくれていたのだった。
「よかったあ」
「ああ、びっくりした。死んじゃったかと思った」
「でも、いいなあ」と、愛子チャンが言った。半分まだトロケたままのような脳みそで、私は「何がいいんだろう」と考えていた。
「何が・・?」
同じことを思ったのか、羽原クンが質問した。
「だって、溺れちゃうかも知れないなんて事も気付かないほど、セックスに夢中になれるんだもの。ここまでやったら死ぬほど気持ちいいよ」
うん、そう。死ぬほど気持ちよかったよ。
 返事をしようとしたけれど、だるくてうまく唇が動かせなかった。多分ロクに声も出ていなかったのだろう。私の耳には「あうああう」としか聞こえなかった。惨めだった。私の声は羽原クン達には届かなかったようで、とりあえず私が息を吹き返した事に安堵して自分達の会話を続けていた。
「そう言えば、愛子はまだイッてなかったよな」
「そうよ」
「じゃあ、やろうか」
「うん、して。お風呂の中で抱っこして、はめて」
「いいよ」

 二人は湯船に浸かった。向かい合って抱き合い、はめているようだった。水中だと浮力が得られるから、男の人も簡単に女の子を抱っこしながらセックスができるんだなと、妙に納得してしまった。
 羽原クンと愛子チャンは何度も何度も唇を吸い合いながら、水面を揺らしている。
 湯船の側の地面に仰向けに寝ころんだまま、時々首から上だけを持ち上げて、私はそれをぼんやりと見ていた。
 息をすると時々ガフッという音と共に、肺の奥に残された温泉が口から飛び出してくる。何度かそんな事をしているうちに、意識は鮮明になり、だるさも取れてきた。
 上半身を起こすことが出来た。愛子チャンはいつのまにか風呂から上がって縁に腰をかけ、大きく足を開いている。羽原クンは湯船に浸かったまま、顔は愛子チャンの股間にうずめている。
 深い快感に彩られた表情から、愛子チャンは一度イッたあとだと思われた。

「おーい、そろそろ飯だぞー」
「いつまで掃除してるんだ!」
 二人の男の声が近づいてきた。
「ああ。ずるいぞ。先にやってやがる」
 羽原クンと愛子チャンのエッチを見つけて、冗談混じりに罵る声が聞こえる。
 やっているのがわかっているのに、二人はどんどん近づいてくる。これまでさんざん乱交してきたメンバーだから、誰と誰がやっていても遠慮する必要などなにも感じないのだろう。
 二人はやがて私を見つけた。
「あれ? 由美ちゃん。なんで裸で寝てるの?」
「さっきまで、すごおおーいのやってて、疲れ切ってるのよぉ」
 アソコを羽原クンの舌にこねまわされながらも愛子チャンが答える。
「だめだよ、もうへたばってたんじゃ。今夜は無茶苦茶になるんだから」
 舌なめずりしながら、二人のうちの一人が言った。
「ぅ。。。ん」
 私は何とか声を絞り出した。
「おい、いまなら全然抵抗できないんじゃないか?」と、一人が言い、もう1人が「やっちゃおうか」と、応じた。
 羽原クンか愛子チャンが助け船を出してくれるかと思ったが、全く無視している。攻守交替して愛子チャンがフェラをはじめた。
 すぐ傍でそんなシーンを見せ付けられて平気でいられるような男たちじゃない。ああ、本当にやられるんだな、と私は思った。もうどうでもよかった。
 二人の男は同じサークルのメンバーなのは明らかだけど、意識がなんだかぼんやりして誰なのかよくわからない。失神から目覚めてから、徐々に回復しているような気になっていたけれど、まだまだ機能の戻っていない部位があちこちにあるのだと自覚した。
 一人が下半身だけ脱いで、私の上にのっかってきた。
「あれ、本当に抵抗しないや。やってもいいの?」
 耳元でささやかれて、私は「うん」と答えていた。
 男はすぐに挿入してきた。
 何の前戯もないのはイヤ、一瞬そう思ったけれど、「うわー、濡れまくり。全然抵抗無く入った」という男の声に、ああそうなんだと私は自分の状態を理解した。
 ぐったりして力が出なかったけれど、快感だけがビンビンに響いてくる。腰が勝手にスイングする。
「お、由美ちゃん、腰振ってくれてる」
「だって、気持ちいいんだもん」
「疲れ切ってるのに?」
「だって、連チャンでやったら、メチャクチャ感じるの。なんだかぐったりしていて何もしてあげられないけど」
 私は本当にぐったりしていた。なのに、身体が勝手に感じて、言葉がひとりでに沸いてくる。
 視野が狭くなり、意識が遠のいていく。さっき水の中で溺れたのと似たような酩酊感が私を取り囲んでゆく。
「おい、大丈夫か?」
「なにがあ? とても気持ちいいよ」
「だって、お前、白目むいてる」
 ハッとした。私は息をしていなかったのだ。私は慌てて深呼吸をした。
「快感が大きすぎて呼吸を忘れるの。それがさらなる快感を運んでくるのよ」と以前きいたことがある。その時はまさかと思った。
「そんなことあるはずがないって顔してる。でも、ホントなのよ。だけど、この境地に至るまでには相当やりまくらないとね。ほら、イクって俗に言うでしょ。あれは逝くに通じてるの」
 それが本当だとしても、私にはそんな日は来ないと思っていた。なぜなら、私のセックス好きは男たちにとってはただの便利な性の捌け口でしかないのがわかっていたから。私を玩具としてしか認識しない男たちには、私を無呼吸にまで導くほどの情熱的なセックスなんて期待できるわけがない。
 ちゃんとした恋人とのセックスも数多くあるけれど、残念ながらそこまで夢中になれなかった。むさぼるようにセックスをするには、身体を性の道具にまで貶めて、その場限りの自虐的な交わりをする方が向いている。
 だけど、この二つの相反する要素をこの合宿が満たしてしまった。男も女もこの合宿ではお互いセックスの道具。けれども同時に、その場限りの間柄ではなく、ひとつのクラブの部員として常につながっている。
「由美ちゃんがもしそういう状態になったら、ひとつだけ注意をしておくわ。それは、オナニーに夢中になりすぎないことよ。自分ひとりでやってて息が止まっても誰も助けてくれないでしょ? だから出来れば、ムラムラしたときは誰でもいいから相手を探して一緒にしたほうがいいわ。無呼吸セックスを覚えると、めちゃくちゃ気持ちよくなれるんだけど、オナニーするのが不便になるのよね。これが欠点よね」
 彼女とのやりとりを思い出しながら、今なら何人もの仲間がいるから息が止まっても大丈夫よね、と私は考えた。
 けれど、そこに達するには何かが足らなかった。
 これまでになく思いっきり感じているのに、それでも足りないと感じるのだ。
 でも、再び感じはじめて、今更やめたくなかった。
「きっと足らないの。サンドイッチにして。もう1人いたでしょう?」
 とくに何も考えていないのに、勝手に台詞が飛び出してきた。

「おまえ、正真正銘の好き者か?」
問われてまた、本能的にせりふが飛び出してくる。
「そうだよ。だから、ね、後ろからも一緒に入れて。今だったらガボガボだからすぐ入るよ」
 私の上に乗っていた男は、嬌声を放った。一気に興奮したらしかった。私をきつく抱きかかえて上下反転する。
「おい、後ろから入れてやれ」
 背中の上に肌の暖かさを感じたと思うと、アナルにもう1人の男が突き刺さった。
 後ろの男は無口で、ひたすらペニスをピストンする。
 ぼんやりしていたはずの意識が急に鮮やかになった。肛門を出たり入ったりする様子がビンビンに知覚できた。
「うわ。急に締め付けやがって」
 ヴァギナの方の男が言った。
「だってえぇ、むちゃくちゃ感じてきたんだもぉん」
「お、俺も。もう出る。やばいよ、この態勢だと外に出せない」
 わずかにもがいた男の耳に、私は息を吹きかけた。
「いいよ。中で出しても」
「でも、まずいよ」
 強姦めいた感情に彩られていたように思えた男もさすがに同じクラブの仲間だった。こういうことにはちゃんと配慮してくれている。だけど、今だけ気を使ってくれても仕方ないじゃない。そのときのシチュエーションに流されただけなのかもしれないけれど、これまでさんざん中出しされてるんだから。
「いいの」と、私は言った。
 この一言が全てのブレーキを解除した。
 前の穴にも、後ろの穴にも、私は男達の大量のエキスを受け入れた。
 
 私は「もうバーベキュー始まるよー」という声を背中に聞きながら、いったんコテージの自室に戻った。熱いシャワーを浴びようと思ったからだ。
 昨日から日付を越えてキョウスケとやった。それからさっき、羽原クンとも。で、今また二人。
 これから再び日付が変わるまでに、あと何人とやれるだろうか?
 そんなことを考えながらシャワーを浴びた。
 高校時代友達と海に出かけてやりまくった事を思い出していた。
   私は本当にセックスが好きなんだなとしみじみと思った。シャワーから立ち上る湯気がスクリーン代わりになり、そこへ私と交わった男たちの姿が映し出された。
 しっとりと心に染み込むようなセックスもあったし、無理やり犯されそうになったときも結局は自分から股を開いて受け入れた。
 さっきまで湯船に浸かったり、外に出たりの繰り返しだったから、シャワーを浴びているだけでふやけてしまいそうだ。現に、わたしのアソコは随分ふやけてしまっている。前から後ろから責められて、充分にほぐされていた。そっと指を入れてみる。どちらの穴もすんなりと受け止めてくれた。それどころか痺れるような快感がまだ残っている。こういう余韻は、そこでその日のセックスを終えれば確かに余韻だが、今の私にとっては前戯でしかないのだろう。合宿最後の夜、このあとどんなことが待っているんだろう?
 期待に身体は震えたが、同時にかすかな不安もあった。
 それは「いつまでもこんなことしていて大丈夫なのだろうか」という漠然としたものだ。
 中出しを繰り返していたら誰の子かわからないままに妊娠してしまうとか、そういう具体的なものではない。セックス漬けの生活そのものに対する不安である。人として、女として、これでいいのか?
 
 シャワーから出ると、同室の成美サンも部屋に戻っていた。着替えるためだ。成美サンは上半身はチューブトップで、下半身はフレアなミニスカートだった。肩も胸の膨らみもお腹も脚もたっぷりと露出している。下着をつけていないことははっきりとわかった。
「もしかして、乳首立ってます?」という私の質問に、「まあね」と成美サンは答えた。
 ちょっと大きめの乳首がツンと布を押し上げている。カッコイイ。
 成美サンの「私を見て。触って。犯して」と言わんばかりの気合の入り具合に、私の中のぼんやりとした不安も払拭しつつあった。行ける所まで行かなくちゃという思いのほうが強くなった。無呼吸セックスの境地まで味わった私がいまさら後戻りなどできようはずがないとも思った。
 私はこれまで着る機会のなかった一番セクシーな服を身に付けることにした。襟付きの前開きシャツだけど、ボタンがない。胸とお臍の間くらいのところで縛るだけだ。本当は見せブラか水着などの上に羽織るんだけど、もちろんノーブラ。下は巻きスカート。腰をくるりと巻いて大きな安全ピンで留める。
「あらまー。由美ちゃん気合入ってるねー」
 成美サンに誉められれば、まずまずかしらね。
 私のセクシーコスチュームのことかと思ったら、そうではなかった。
 成美サンは私の太ももに垂れた粘り気のある液体を見逃さなかったのだ。指でそれをそっと救い上げる。
「既に、男を何人か食べた?」
 シャワーを良く浴びたつもりだったのにまだ膣の中に誰かの精液が残っていて、それが流れ出したのだった。
 私は自分の淫乱さ加減が露呈して恥ずかしかった。
「別に自分の役どころをちゃんと抑えてたら誰も何も言わないよ。露天風呂の掃除と準備はきちんと終えてあるんでしょう?」 「はい」 「さ、これ、塗っていきな」
 成美サンは虫除けスプレーを貸してくれた。
 
 バーベキューの準備は整っていた。
 あちこちが欠けて崩れる寸前という風情だったかまども、応急の修繕がされて炭がカッカと燃え、金網が載せられると、それなりに見えるから不思議だ。
 食材はコテージの食堂から持ち出したテーブルに並べられている。けれども、わたしたちの座るべき場所は、随分といいかげんだ。どこから持ってきたのかわからないペンキの剥げた広告入りベンチや、丸太、大きな石などに適当に腰をかける。大きな木のふくれあがった根本にお尻を置き、木の幹を背もたれ代わりにもたれるのも気持ちよさそうだ。地面にそのまま座り込んでいるのもいる。魚政と焼き印された発泡スチロールの中に氷が詰められ、各種アルコールが突き刺さっていた。魚臭いお酒になるのだろうか? まさか、ね。
 合宿中は毎朝の朝礼以外はあまり目立たなかった部長が、「さあ、乾杯するから」と、触れ回っている。
 目立たないと言ってもそれは私的にであって、色々な場所に訪問したときにサークルを代表して最初に挨拶をしたり、サークルの自己紹介をしたりと、活躍した。
 わたし的に目立たないと言うのは、肉体的接触がいままでなかった、ということだ。
 「さっきはどうも」とカトー先輩が声をかけながら近づいてきた。
 さっき?
 そうか。露天風呂の側で後ろから前から犯してきたのは、カトー先輩だったのか。朦朧として誰がわたしに迫ってきたのかわからなかったのだけれど、まさかそんなことは言えないし、「えへへ」と笑いながら先輩の渡してくれたビールのグラスを受け取った。
 付き従うようにやってきた天野君が「由美さんて噂通りだったんですね」などという。どうやら二人組のもう1人は天野君らしい。
 「同級生なのに、さんはやめてよ」
 「じゃあ、由美チャン。で、いいのかな?」
 天野君は照れくさそうに言った。
 「いいわよ」と返事したけれど、こちらの方が照れくさい。同じサークルで同級生だから親近感はあるけれど、その分余計にエッチしづらかった。それが一挙に解決したから、わたしは少し気持がほぐれていた。
 もっともこれは変な話だよね。だって、エッチしないとうち解けないなんて言うのは、前提条件からして間違っている。世の中にはエッチ無しで仲のいい異性の友達なんて関係はいくらでもあるのだから。でも、エッチによってそれが一歩進展する、ということはある。
 ん〜、まあ、なんでもいいや。
 それにしても、バーベキューは全く普通だった。最後の強烈な夜、を想像していたけれど、わたしたちは健全に食欲を満たし、キャンプ中の想い出ばなしに花を咲かせ、お酒も決して行き過ぎることのない量だった。
 夏の陽はなかなか落ちない。
 男の子たちはTシャツにGパンとか、トレーナーとか、ラフなスタイルだったけれど、サツキさんと愛子チャンは男たちの視線を集める格好をしていた。
 サツキさんはTシャツにホットパンツ。Tシャツは大きなVネックで胸のふくらみが、ホットパンツからはお尻のお肉が見えている。露出度は私や成美サンと比べ物にならないけれど、単に見せればいいというもんじゃないなと思った。普段見えないはずの柔らかな部分がチラリと覗くのがなんとも色っぽい。
 愛子チャンは成美サンと同じく肩紐のないチューブ。しかも背中の部分には布がない。スニーカーのように紐がたすきがけになっている。スカートは思いっきり短いタイト。伸縮性のある素材を使って縫製されているらしく、ピッタリと肌に張り付いている。股上が浅くて、臍下がたっぷり露出。限界に挑戦している。下腹部のスタイルが美しくないとあそこまではできないなと思う。
 合コンとかの初対面でこれだけの女の子たちに取り囲まれたら、男どもは勃起のオンパレードだろうが、普段から顔を合わせているメンバーだけに何事もなかったように食事は進む。
 乾杯の直後は、食べるスピードに焼くのが追いつかなかったけれど、周囲の風景が色彩を失って薄紫色になる頃には、空腹感はおさまっていた。網の上の食材はどちらかというと無聊をもてあましつつあるようだ。あとは酒のあて風に「つまむ」程度になるだろう。
 いったん陽が落ちかけると、暮れるのは早かった。キャンプファイヤーに火が入る。ボーイスカウトのように歌ったりゲームをしたりはしないけれど、赤々と燃え上がる炎は、人間くささと神々しさを同時に兼ね備えて、深く心にしみ込むようだった。
 ぼんやりと炎を眺めていると、その向こう側でさらに木の陰に隠れて、いちゃついている二人がいる。ぐるりと周囲を見渡してメンバーを確認すると、どうやら参堂さんと愛子チャンのようだ。
「もっと近くで見ない?」
 わたしの手を握ってひっぱったのは小柳君だった。
 1回生同士ということでなんとなくわたしと小柳君と天野君の3人で雑談をしていたけれど、誰も盛り上げようと言う気などなくって、ポツリポツリと思い出したように喋っていた。
 でも、それは表向き。どちらがわたしをモノにするかで牽制し合っている感じだ。女性の絶対数が少ないから仕方ないけどね。
 ヨタヨタと引っ張られるままに小柳君に従うわたし。ポツンと取り残される天野君。でも、いいよね。さっきしたんだから。
 所在なげにしていた天野君は、すぐにメインの集団に合流した。バーベキューのかまどの側で、他の人達はひとかたまりになっていた。
 
 参堂さんと愛子チャンの近くに寄ったわたしと小柳クンは、炎に向かって並んで座った。遠目には仲のいい恋人同士がささやき合っているように見えるだろうけれど、実際はチラチラと参堂さんと愛子チャンを観察している。で、二人は何をしていたかというと、口移しで食べさせ合っていた。
 参堂さんがお肉を口に含む、噛む。それを舌に載せて唇から突き出す。愛子チャンはそこに愛おしそうに口を寄せ、お肉を吸い取るように食べる。それが終わると、今度はドリンク。濃厚なキスをしながらアルコールが二人の口を行ったり来たりした。
 わたしのアソコはジュンとした。胸が少し苦しくなってくる。
 小柳クンのズボンが大きく膨らんでいるのがわかる。そっと手を伸ばした。状態を確認するだけのつもりだったのだけれど、たまらなくなって握りしめた。
 「あんなの、見せられたら、感じるよね」と、彼が言った。
 「うん、感じる」
 
「僕たちも感じることしようよ」
 小柳君はわたしの後ろに座り直し、背中から前へ手を回してきた。巻きスカートなんて上に載せられたただの指に過ぎない。サイドではなく前で布を合わせていたから、座り込んでいる今はそこが割れて丸見え状態だ。しかも私はノーパン。たっぷりとあふれ出ている愛液に導かれるようにして、するりと彼の指が入ってきた。
「もう、こんなになってる」
「うん」
「いつから?」
「合宿中ずっと」
「え?」
「だから、ずっとなの。軽蔑する?」
「するわけないよ。素敵だよ」
 小柳君はとても丁寧に指を滑らせて、わたしは時々のけぞった。

 左手が肩の上から胸に回ってくる。胸元に挿入された手はすぐに乳首に到達する。親指の先で乳首をこねくり回しながら、残る4本の指でぎゅぎゅと乳房をつかまれる。あー、この瞬間。これがいいのよ。
 服は着ているけれどノーパンノーブラで生で触られているから、裸でいるのと変わらない。ううん、服を着なくちゃいけない場所で、着ていないのと同じ状況で愛撫されるのが興奮なの。
 背中に固いものが当たっている。彼のだ。
 わたしは手を後ろに回して、彼のを握った。小柳君はいつの間にズボンのファスナーをおろしておちんちんをむき出しにしてた。本当は目の前にある方が色々してあげられるんだけど、多少もどかしさを感じながらもわたしは一生懸命指から快感を伝えてあげた。
 液体があふれ出している。私は掌で彼のジュースを亀頭全体に塗りつけながらマッサージしてあげた。
 お互いの手の動きが早くなり、わたしの快感曲線もぐーんと急上昇。いつものことだけれど、ここまできたらもうどうでも良くなってしまう。クリトリスからアナルまでを存分に指で感じさせられたわたしは無意識に腰を浮かしていた。
 あ、ああ、あん、あん。
 参堂さんと愛子チャンに聞かれるなと思ったけれど、それを意識するとまた気持が昇っていく。
 「ねえ、脱いでよ」と、彼は耳元でささやき、すぐに耳たぶを唇で挟んできた。あ、これ、好き。そして、耳の穴に舌をやさしくはわせて欲しい。思った途端、彼がその通りのことをしてくれたので、「いやあ〜ん、もっとオ〜ん」と叫んでしまった。
 巻きスカートの安全ピンをはずすと、布がふわりと左右に落ちた。肌を空気にさらし、お尻の下にあるスカートは単なる敷物。とってもエッチな感じ。
 愛液のあふれ出した穴をクニュクニュとかきまわされ、ピチャピチャといやらしい音が響いている。性器からびんびん伝わってくる快感と耳に届くリアルな音、そして、乳首と乳房をもみしだかれる感触に、わたしは声を上げてのけぞった。浮いたお尻の下に小柳君はすかさず腰を差し込んで、わたしたちは背面座位の状態になった。
 (入れて突き上げて欲しい!)
 わたしは欲望にかられたが、彼は入れてくれない。彼の棒はギンギンにはちきれんばかりの状態で、わたしの足の間からニュッと前に突きだしている。私の身体が柔らかければこのまま上半身を折り曲げてしゃぶってあげられるのに。でもまさか、そんなサーカスのような芸当が出来るわけもなく、両手で包み込むようにして愛撫してあげた。
 横から激しいあえぎ声が聞こえる。そちらを向くと、参堂さんと愛子チャンは「いちゃいちゃ」を終えて、本格的にエッチを始めていた。愛子チャンは木の幹に両手をついて体重を支えながらお尻を突きだし、参堂さんがバックから押し込んでいた。
 セックスって不思議。人のしているのを見たり、自分がしているのを見られたりすると、興奮が激しくなる。だんだん訳がわからなくなってくる。
 「あ、ちょっと」
 小柳君は、彼のモノを愛撫しているわたしの手の上に掌を重ね、わたしの動きを制した。
 「え、なあに?」
 「僕たちも、アレ、やろう」
 小柳君は立ち上がって、愛子ちゃん達のほうへ行った。アレってなんだろう? そう思っていると、木の切り株の上に載っていたお皿を手に取った。ホンバンがはじまって、参堂さんと愛子チャンに見捨てられたお肉2切れとカボチャひときれが残っていた。栓だけ開いていたが全く飲まれていないビールの瓶もつかんでくる。
 「のどが渇いただろう? まず飲ませてあげるよ」
 小柳君はビールをラッパ飲みして口に含み、唇を重ねてきた。舌と同時にわたしの喉にビールが流れ込んでくる。唇からはみ出したビールがひとすじふたすじ、頬や顎をツーと伝ってくる。恍惚とした表情で唇の端から液体を流す姿を自分で想像して、そのエロっぽさに陶酔してしまいそう。
 「じゃあ、次は由美チャンの番。お肉を食べさせて」
 うわあ。いよいよわたしが口移しで食べさせてあげるのか。わたしの中にあったモノを彼の中に入れるというだけで、そこには性器の触れ合いなんてないのに、行為自体にものすごく敏感に感じてしまう。頭の芯がしびれてくる。こんな愛の表現があるんだ。
 わたしは肉を何度か噛んだ後、小柳君にキスをして、舌を使って彼の口の中に肉を押し込んだ。
 次に彼は、カボチャをくわえた。半分は口の外につきだして。
 彼が何をしようとしているのか、わかった。
 彼の口から出ている部分をわたしが食べる。その途端、彼はカボチャを吸い込んで、わたしの口から奪い去った。え? え? 仲良く分けッコしてキスしながら食べるんじゃないの? あれ? と思っていると、すぐにカボチャはわたしの口に押し戻された。え? え?
 お互いの口を何度切ったり来たりしているうちに、カボチャはだんだん崩れて唾液といりまじりドロドロになってくる。それをさらにやりとりする。やがてお互いの口の中を食べ物のカスを求め合うような激しいディープキスに発展する。彼は舌を絡ませるだけでなく、口の中をこそげるように舌を動かしてきた。歯茎と唇の間にまで。
 あはーああん!
 こんな所が感じるなんて!!
 「最後の一切れは、下の口で食べさせてよ」
 うわあ。ついに来たか、という感じ。なんとなくそうなるんじゃないかな、とか感じていた。愛子ちゃん達は口移しだけだったみたいだけど、それよりすごいことをするんだと思うと、ちょっとどきどきする。
 わたしは足を開いて膝を少しだけ立てた。両手の指でアソコを拡げる。
 「自分で盛りつけてね」
 ちょっと気の利いた台詞を言えたつもりだ。
 小柳君はお肉をわたしのヴァギナに挿入した。何とも言えず気色の悪い感じ。そんなに奥まで入れてどうするのよ。思ったけれど、されるがままだった。
 そして彼は唇をアソコにあてがって、深く埋まった肉を苦労をして食べようとする。吸ったり、舌を入れたり。
 わたしを感じさせるためじゃなく、お肉をただ引っぱり出すためだけに。
 だから、変な感触しか伝わってこないこともある。でも、突然予想のできない快感が身体を突き抜ける。いままでに感じたことがないような。けれど、それはすぐに終わり、私はじれったくなる。瞬間的に駆け抜ける快感を求めて腰をよじると、食べにくくなるのだろう、小柳君の動きがイレギュラーする。そして、また電気が走る。
 何度かそんなことを繰り返すうちに、小柳君はアソコからお肉をついにゲットした。
 異物感が無くなったので、わたしは「どう? どんな味?」と聞きながら目を開けて、仰天した。いつのまにかわたしたちの周りをみんなが取り囲んでいた。めちゃくちゃ恥ずかしくなって、ますます感じてしまう。
 それからは男も女もない。わたしは格好の餌食にされた。
 「バーベキューの女体盛だ!」
 誰かが号令をかけると、わたしの身体の上に、お肉や野菜がいっせいに載せられた。もちろんお箸を使って食べてなんかくれない。身体のあちこちに唇が触れ、舌をはわされた。男だけではない。女の子たちまでが私の肉体に舌を這わせる。
 これっていったい何人プレイ?
 全身性感帯の私の身体に、いっせいに電気が走り始め、勝手に腰がぴょんぴょん動く。絶大な悦楽が血液を逆流させて、細胞のひとつひとつが快感をむさぼっている。
 誰かがチンポをわたしに握らせたので、ピストンしてあげる。するともう片方の手にも握らされ、口の中にも挿入された。
 食べ物が無くなると、タレを塗られて、また舌でねぶられた。上に下に右に左に動き回る複数の唇と舌。タレが塗られ、綺麗にふき取られ・・・。その間わたしは何度もイッた。失神しそうになった。
 足を持ち上げられてお尻に何かを挿入された。見るとビール瓶だった。
 「こうしたら、すぐにベロベロになるぞ」
 わたしはお酒は強い方だけれど、前にコレで急性アルコール中毒になったことがある。アナルプレイではもっとも危険な行為のひとつだ。上から飲むのとでは吸収率がまるで違う。
 「いやあ! やめてえええ!」
 必死に抵抗したけれど、3人くらいでがっちりと押さえつけられていて身動きできない。そもそも、力で何かをなすなんてことがもはや出来ないくらい、セックスに没頭していた。
 「おい、いくらでもはいるぞ」
 瓶がぐいぐい押し込まれる。
 「痛あああい! いやあああああ!」
 絶叫したけれど、抵抗が出来ない。瓶をぐりぐり回されると、お尻は避けそうなのに、また気持ちよくなってくる。直腸の内壁はものすごく感じるのだ。
 お腹の膨張感と便意がごちゃ混ぜになり、やがてビール瓶が引き抜かれると、いやあな音がしてお尻からビールがあふれ出した。
 酔いが急に回ってきて、意識が薄れたり戻ったりする中で、わたしは男達に次々犯された。
 もうほとんど感覚がないのだけれど、アソコだけはビンビンに感じている。
 隣では他の3人の女の子達も次々と男を変えてプレイをしていた。
 キョウスケの上に愛子チャンがまたがっていた。
 ああ、わたしたち、恋人同士なのに、それぞれ違う人と隣同士でやっているのね。
 手を伸ばすと、キョウスケもわたしの手を握ってくれた。
 子宮を突き上げる固くて太いモノの動きが急に激しくなり、わたしはイッた。目を閉じると、意識が朦朧として、不意になにもわからなくなった。

 気が付くと、わたしは温泉の中にいた。
 キョウスケが湯船の中に座っていて、その上にわたしが座っている。キョウスケはわたしの中に入っている。ほんのりと石鹸の匂いがした。あとで訊くと、私は気絶したわけではなかった。でも、私自身はまるで覚えていない。キョウスケに連れられて入浴して、そして我に返った、という感じなのだろう。
「洗ってくれたの?」と、わたしは訊いた。
「うん」と、キョウスケは答えた。
 まだぼんやりとしていたけれど、いつもより固く太くなっているのがわかった。
「ねえ、キョウスケは何回出した?」
「3回」
「それでも、こんなにすごいの?」
「今日はいくらでも出来そうな気がする」
「思い切り出して」
「由美も、ものすごく締まってるよ」
「お互い成長したのね」
 お湯の抵抗のため、思ったほど素早く動くことが出来ないけれど、それがまたいつもと違う快感を与えてくれる。
 ぎゅーっと抱きしめられたと思ったら、キョウスケは射精した。4回目なのに、量も多いのがわかった。何度も何度もわたしの中に出してくれた。
 合宿の途中から少し気持が離れかけていたけれど、わたしはやっぱりキョウスケが一番好き。
 キョウスケは出し切ってしまうと、わたしから抜いた。
 わたしは軽くキスをして、「ねえ、今夜はずっと抱いていて」と言った。
「うん、そうしてあげたいけど」
「けど、なによ」
「部長のご指名がかかったんだ。絶対服従なんだ。もちろん、由美が拒否することは出来るけど、しないだろう?」
「・・・ごめん」
「いいよ」
「そのかわり、合宿が終わったら、キョウスケ一筋だから」

 わたしが意識を失っているうちにキャンプファイヤーは始まっていたらしい。しかしそれも、温泉の中でキョウスケとふたりでいる間に終わりつつあるようだった。
 ふたりが広場に戻ったときは、歌やゲームなどはもう行われていなかった。暗闇の中に熾き状態になったファイヤの残骸があり、そこからチロチロと小さな火がふっと立ち上る程度だった。
 わたしは部長に声をかけられて、部屋に連れて行かれた。
 部長のセックスは普通だった。キスして愛撫してはめる。特別なプレイは何もしない。
 ただ、ものすごく強かった。
 挿入時間も長かったし、乞われるままに口に含むと、すぐに回復した。
 わたしは何度も昇り詰め、部長も何度も放出した。
 でも、コーラか何かを飲む程度の休憩で、すぐに始まる。
 いつ終わるんだろうとうんざりしていたのが、朝になる頃には「いつまでもやっていたい」と思うようになっていた。
 けれど、朝食だと呼ぶ声がして、そこで終了。
 わたしはけれど、立ち上がることさえ出来なかった。ヘトヘトになっていたせいもあるけれど、全身に染みついた快感をちっともぬぐい去ることが出来なかったからだろう。
 部長に抱きかかえられるようにしてシャワールームに運ばれ、丁寧に洗ってもらった。
 シャワーを終えると、身体の水分を部長は綺麗にタオルで拭き取り、バスローブを羽織らせてくれた。
 そしてまた、ベッドルームに運ばれる。
 わたしはなんとかベッドの縁に腰掛けることが出来たが、そこまでだった。
「先に行ってるよ。お腹ぺこぺこ」と、部長は部屋を出ていった。
 お腹が空いているのはわたしも同じだったが、シャワーを浴びたくらいでは余韻は全く消えない。余韻どころか、まだ身体はイッた状態にある。
 しばらくするとキョウスケが迎えにきてくれた。
 足がふらついたけれど、服を着て、キョウスケに支えられて食堂へ行く。コーヒーの香りをかぐと少し元気が出てきた。
 食欲はたっぷりあった。相当な空腹状態にあったのだと自覚した。
 食事をすませて部屋に戻り、もう一度ベッドに倒れこむと私は眠ってしまった。
 午後、わたしたちはコテージを綺麗に掃除して、合宿を終えた。