遥の私的日記
03年8月


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2003/08/08
 お久しぶりです。日記をお休みして、ずいぶん経ちました。あれから就職活動はずっと続いています。なかなか決まらないです…。
 あと一歩! ってところまでいったこともあるんだけど、その「あと一歩」が大変なんですね。もうヤダ〜ってなりながらも、今日も説明会に行ってきました。
 学校も夏休みに入った事だし、これからもっと頑張らなきゃ。
 ふえ〜、大変だ…。

 お休みの間、相変わらず達也とは仲良くやっていました。同棲は就職が決まっていないから、まだです。パパも達也に同棲宣言をされた時は本当に落ちこんでたけど、娘の就職が決まらないのにどこかほっとしている様子です(笑)。

 先週の土日は、私の就職活動疲れがピークでした。土曜日に達也の家に行っても、料理も掃除も洗濯もしないで、ずーっとベッドでごろごろ。
 ブランケットに包まって、ベッドの上でお茶を飲んだりチョコレートを食べるだけ。
 それ以外はねっころがってうとうと。
 その間達也は会社から帰ってきてお風呂を掃除し、買い物に行ってご飯をつくって、残りの仕事を片付けてDVDの整理までやっていた。
 自分がグウタラな時は、テキパキ動ける人が何となく冷たく思える。なんだか物悲しくて達也になにかと声をかけた。
「お茶もって来て」
「こっち来て〜」
「今どこにいるの〜」
「早く構って〜んーんー」
 駄々をこねるようにぐずっていたら、達也が顔を覗かせた。両手を伸ばして達也に抱き付くと、私に覆い被さるように倒れこんできた。
「甘えたさんだなー、遥は」と眼鏡越しの目が苦笑している。
 甘えてるっていうより、達也に触ってないと落ち着かないの。

 抱き枕みたいに腕と足を達也に絡ませる。首筋に鼻を押しつけてクンクンと匂いをかぐ。二の腕に頭を乗せて、胸にぴったり顔を寄せる。くっついてるだけで少しずつ元気になれる。髪の毛を撫でる腕の重さと、鼓動が心地よくてまたうとうと。
「ご飯食べないの?」っていう声が遠くのほうで聞こえた気がしたけど、そのまま眠る。

 達也がベッドに入ってきたとき、ふと目が覚めた。お風呂上りのいい匂いがする。上半身を起こして本を読んでいる達也をうつ伏せのまま見上げる。
 髪が伸びたなー、とか、ちょっと日に焼けたなーとか、思っていたら「あんまり見ないで」と本から目を離さずに、口元だけ笑って達也が言った。

 もぞもぞと動いて達也の体によじのぼる。本を持っている達也の腕の下をくぐって、両手を背中にまわす。
 こうしてると落ちつく。
 達也の手が背中を撫ぜると、気持ちよくて眠たくなってくる。赤ちゃんになったみたい。

 体を起こして顔をじっとみる。
 「ん?」ってまゆを少し上げて唇をきゅっと結ぶ、その表情がすごく愛しい。すごく好きだと思うし、同時にすごく切なくなる。腰にまたがる姿勢になって、ぎゅっと抱き付く。何度も何度も抱きしめて、抱きしめられて、体がすっかり覚えてしまった。
 達也の体つき、匂い、動きかた、触感。肌をあわせたときの、体の芯が疼く感じ。達也の閉じた瞼と指の力。
「ハルカー、そのまま動かないで…」
 顔を見上げると、ちょっと情けなさそうな顔で達也が言った。
「がまんできなくなるー」って。
 私の足にちょっと硬くなったモノがあたっていた。がまんなんてしなくていいのに。

「なんで? いいよ、しよう?」そう答えた。
「だって疲れてるでしょ。いいから。がまんしますよ」
 そう言って私の体を隣に横たえる。私が寝るまで起きてると言う。顔にかかった髪を払いのけ、こめかみにキス。本当に、私はしてもよかったんだけど、でもこういうときがまんしてくれるのがすごく嬉しい。


2003/08/09
 メールの着信音で目が覚める。4時。酔っ払った友達からのメール。
 達也が目を覚まさなかったのにほっとして、それからまた寝ようとしたけど、さすがにもう眠たくなかった。シャワーを浴びようとそっとベッドを抜け出る。
 髪を乾かした後、なんだかお腹がすいて桃を食べる。テレビをつけても面白い番組がないから、とりためておいたドラマを見た。井川遥ちゃんが出てたドラマ。

 6時をすぎた頃、達也が起きてきて、めずらしくボーっとした顔で私の隣にもたれかかって座った。
 眼鏡をかけていないから、ものすごく目を細めてテレビを見ていた達也が「この女優、遥に似てない?」と呟いた先には篠原涼子サマ!
 もちろん似ても似つきません! あんなにきれいな人じゃない!

「似てないよー、もー、ひいきめに見すぎだよー」とは言いつつも、言われていやな気持ちにはならなかったんだけど、よく考えたら達也の裸眼は0.1以下それに加えて乱視。全然当てになりません。

 朝ご飯を食べて、掃除、洗濯。
 お昼を外で食べるためにお出かけ。ちょっと蒸し暑かったからノースリーブのワンピースを着て、達也と手をつないで駅近くのお店まで。
 そういえばもうすぐ達也の会社はカジュアルデーになる。私はスーツが好きなのであんまり嬉しくないんだけど、でも達也はラクで嬉しそう。
 仕事の後にどこかに行くのも便利なんだって。でもつまんなーいぃ。
 達也の用事で文房具を買ったり、本屋を眺めたりして、美味しいケーキやさんであれこれ買って(もらって)、おうちに帰る。

 達也がソファに座って新聞を読んでいた。食器をしまっていると、達也が私の名前を呼んだ。
 振り向くと達也がソファをぽんぽんと叩いて隣に座るように促す。べたべたしたいってサインだ。
 近寄っていくと達也の両手が腰にまわされた。
 おなかに顔を押しつけながら抱きしめられる。子どもみたいな達也。かわいくて胸がきゅってなる。そのまま膝立ちになって目線を合わせて、私からキスをする。
 耳たぶにうなじに、鼻の頭に、おでこに、頬に。されるがままの達也がくすくす笑う。
 絡めた指が温かい。
 眼鏡をとって唇を合わせる。閉じた瞼に息がかかる。ぴったりくっついて胸に頬を寄せる。
 どうしてこんなに好きなのかわかんない。いくら抱き付いても満足できない。いつでもいつまででも体のどこかで達也に触れていたい。
 こういうときに、恋愛小説やラブソングは生まれるんだろうな。私には文才も音感もないから、達也にこの気持ちをそのまま言葉で伝える。
 好き。すごく好き。
 もっとぎゅってして。もっと触ってって。達也は笑って言う通りにしてくれる。

「ベッド…行く?」
 頭の上から聞こえた声に、頷いて返事をする。
 だっこ、と両腕を伸ばすと苦笑して、軽々と肩に担ぎ上げる。

 嬉しくて楽しくてキャーキャー言っているうちに、寝室まで運ばれる。
 ベッドに横たわって達也を見上げる。達也はシャツを脱いで私に覆い被さる。大きな手が腕をなぞる。
 キスをしている時から吐息がもれる。達也の肌に触れる。まっすぐ伸びた鎖骨をなぞる。

 達也の手が背中の下のファスナーを探る。私がうつ伏せになると、髪を払いのけてファスナーを下ろす。ブラのホックも外して背中に唇があたる。
 髪をかきあげてうなじからゆっくり下に降りてくる指。肩からするりと服がとられて、むきだしになった肩をあまく噛まれる。
 大きな手が胸を包んで、片方の手はワンピースを足元まで下ろす。
「あ、遥ちょっと太った?」腰にまわした手の動きを止めて、私を覗きこむ。
「うー…、どうしてそういうこと言うの〜…」振りかえって達也を睨む。そりゃ、ちょっとだけ太ったけど…。
「別に。俺嫌じゃないよ?ふにふにして抱き心地いいし」そう言ってキスをしようとしたので、手で制した。
 私は気にしてるのに。痩せてやるー。

「もっと全体的に肉ついてもいいくらいだよ。特に…こことか、こことか」
 腰を撫でて胸を触った。黙って達也を睨む私の目線に気付いてか、苦笑して続ける。
「でも、どんな遥でもいいって。」
 鎖骨近くに赤く跡が残るくらいのキスをして、私になにも言わせない。鎖骨を柔らかく何度もなぞりながらキスをする。
 ぞわぞわっと鳥肌が立つ。
 それを知っててやってる達也が憎らしい。目が潤んでうつろになっているのが自分でも分かる。自然と達也の手を握っている。

「好きだよ、遥」
 そう言われたらなにも言えない。達也の動きに身を委ねる。
 気持ちいいからすごく好き。熱を帯びた肌が触れるたびに、私の肌も熱くなる。指と舌だけで頭が真っ白になってくる。
 背中に力が入ってじっとり汗ばんだ肌に髪の毛がはりつく。頬に汗の伝った達也の顔が、じっと私を見下ろす。
 こういうとき、感情が昂ぶり過ぎてなんだかもやもやしてくる。
 手を伸ばして達也の汗をぬぐう。

 達也はしばらく目を閉じて、それから「ごめん」と言った。
「今日、ちょっと無理っぽい」
 そう言って私の横に体を横たえる。時々こういうことがある。
 拍子抜けするけど、よく分からないことだし、私はそんなにショックじゃない。達也は口にはしないけど、ちょっとショックなのかもしれない。
 達也の首に腕をまわしてじっと顔を見る。「ごめん」また言った。
 いいのに。そんなことなんでもないのにな。じっとりとした髪の中に手を入れて、私からキス。そのまま、達也の頭を抱いておでこに唇を押し付ける。
 達也は私の体をとてもいとおしそうに抱く。キスをたくさんして、とてもとても優しく触れる。それが私にとっては一番大切なこと。
 それが分かるから思わずんふふふってくぐもった笑いをしてしまう。
 幸せだなって素直に思えるから、それを達也に伝えた。

 汗がひくまでじっと黙っていたけど、達也がフッと笑いながら言った。
「…遥の体って、ちっさいよなぁ」
 なにを今更。達也がでかいんだよ、183センチめ。
「ね、やっぱり遥ちょっと太った?」
 気になっていたことを聞いてみる。
「太った。すぐ分かったよ」
 イジワルな顔でニヤッと笑う。
「これくらい全然普通じゃない? いいって。痩せなくて」と、きっぱり言う。
「女の子は柔らかくていいの。痩せようなんて思わなくていいよ」…。
 参ったなぁ、甘い恋人を持つと、女子はそれで「まいっか」なんて思っちゃうんだろうな。うー。

 日曜日だから、本当は家に帰らなくちゃならなかったんだけど、何だかとても離れがたくて今日もお泊まりすることにした。
 達也がシャワーを浴びてるうちにママに電話して、その後私もシャワーを浴びた。
 お風呂上りにクーラーのきいた部屋でゴロゴロするの、すごい好き。ソファに隣り合って座って、お茶を飲む。
「髪、伸びたね」括っていた髪をほどいて、弄りながら達也が言った。ずっと切ってないから、もう肘のあたりまで伸びてる。髪を触られるの、好きな人多いと思う。だってすごく気持ちいい。

 何だか眠たくなって達也の膝に頭をのせる。
「遥ってほんと、猫みたい」そういって顎の下を人差し指でなでる。冗談で鳴き真似をしながら首にまとわりつく。お姫サマだっこの格好で体を預け、うとうとしながら眠ってしまった。
「ちゃんとベッドで寝て」
 達也の声が聞こえて、そのまま抱えられてベッドで眠った。虚ろな意識の中で、達也の大きな手が頭を撫でているのを感じた。


2003/08/17
 今日から、達也の夏休み。私の就職活動もお盆で休みだからふたりで出かける。
 と、言ってもやり残した仕事を片付けに、取引先の会社に行く達也の付き添いなんですが。本当は家で待ってたら?って言われたんだけど、でもちょっとでも一緒にいたいから、会社の近くの喫茶店で仕事が終わるのを待つことに。

 達也の家から、ガラガラの電車に乗って会社まで。今日はスーツを着てる。やっぱりスーツだよー。ステキ。それにしてもお盆だし、すごい雨で人も少ない。

 駅に着いて、達也は会社に。私は併設されているドトールでココアを飲みながら読書。ここも人が少ないなぁ。ほとんど貸し切り状態。達也は30分もしないうちにお店に来た。コーヒーを飲んで、これからどうするか相談。
・家に帰って大掃除
・吉祥寺に出かけて買い物(おもにユザワヤで)
・新宿で買い物
・渋谷で映画、美術展を見る
・この駅周辺を散策
・とりあえず帰って寝る
 などなど、いろんな案は出たものの、結局は私の吉祥寺買い物案で落ちついた。ま、基本です。吉祥寺。

 そこから電車で約1時間かけて吉祥寺に。まだ12時にならないうちからユザワヤをうろうろするなんて初めて。布も見たいし、ボタンも見たいし、今安くなってる刺繍糸も。あー、リボンと、今のうちから秋冬に向けて毛糸の下見も。
 ベッドカバー新しくしたいから、思いきって欲しかったあの布、買おうかなあ…。
 あ、ビーズも見たいなぁなんて色々考えながらユザワヤをうろうろ。ものすごく楽しかった。全身でウキウキしてた。
 達也はその間中、ずーっと付き合ってくれて、荷物も持ってくれて、水も買いに行ってくれた。(どこかに休憩しに行く時間が勿体無くて、とりあえず水が飲みたかった)

 その時に某芸人と女優の結婚話という新聞の見出し記事の情報まで仕入れてきてくれた。結局私達がユザワヤを出たのが4時。4時間以上いましたユザワヤに。
 えっ、4時!? ごめん! と謝ったら、「全然いいよ」と、いちばん大きな紙袋2つを持ってくれた。
 良い人ー。もう、本当に良い人。スーツ姿でユザワヤうろついて、周りから浮いてて辛かったかもしれないのに。

 お腹がすいていたから、すぐご飯。
「それにしても、キミの手芸愛は恐ろしいものがある」と、お粥を食べながらボソッと達也が呟いた。
 やっぱり、根に持ってる〜?
「いや、そういうんじゃなくて、ものすごい集中力だったから…」
 うわっ、彼氏にひかれるくらい集中してた。…反省だよ…。でもね、下見した毛糸は達也が家で着るカーディガン用だし、達也が買ってくれたふわふわのガーゼ生地は、達也の家のベッドカバーになるんだよぅ…。
 ま、それ以外、大部分は特に目的もないけど買ったり、自分の物を作る為の物だったりするんだけどね…。それもほとんど、達也のお財布からお金が出てるんだけどね。
「それだけ夢中になれるんだったら、手芸関係の仕事に就いたら良いのに」
 全くね。私もそういう仕事がしたいっす。どこかにないかなそういう仕事…。

 ご飯の後、電車に乗ってマンションに帰る。なんだかすっごく寒い。本当に夏なの?ってくらい。半袖で寒がっていたら達也がスーツの上着をかけてくれた。エヘヘー、ありがとうー。

 最寄駅のスーパーで材料を買って、お鍋の準備。寒いんだもの。キムチ鍋。
 お豆腐と葱をいっぱい切って、ご飯の時間まで達也のマッサージ。なんだかもう、私のすることしたいこと、なんでも許してくれちゃうから逆に心配になる。我が侭ばっかり言って、ごめんね。
 肩もこってるし、背中から腰にかけて筋に沿って丹念にマッサージしてあげると、すごく気持ちよさそうにしてる。足も揉んで、足裏を踏む。
 全身くまなくマッサージした後、妙にスッキリした顔で達也が
「彼女にマッサージしてもらえて、そのあと鍋が食えるなんて、俺って幸せだなー」
って言ったとき、なんて簡単な幸せなの! と思わずにはいられなかった。そんなことで幸せなら、いつでもやってあげるよ。

 片付けをして、テレビを見た後一緒にお風呂に入る。髪を洗ってあげて、上がってからビールを飲んでいる達也の髪をドライヤーで乾かしてあげる。
「ごーくらくー。幸せだなー」って言いながら、美味しそうにビールを飲む達也。
 2度も幸せになっていただけて、光栄です。よかったよかった。
 今日はHなしで。寒いって程じゃないけど、少し肌寒かったからくっついて眠った。


プロフィール

HN:遥
年齢:21
彼氏:います。
経験人数:一人。今の彼氏のみ
メアド:こちら(悪戯、悪ふざけ等お断り)


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