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私は昭和34年日本海に面した寒村に産まれた。もの心ついた時は、すでに母親は家にいなかった。 あの日は朝から時化で強い風が吹き荒れていた。夜中に夢を見ていた。大男が私を追っていた。叫んでも声が出なかった。恐ろしかった。 ヒッ!
捕まってしまった。 ギッ ギエエエーーェェェーーッッ! 身体がまっぷたつに引き裂かれるように思った。
目を開けた。夢か現実かわからなかった。大男が私に覆いかぶさっていた。両足を男に抱えられていた。熱く焼けただれた杭を打ち付けられていた。 長い時間だった。何かが弾けた。男が静かになった。祖父57歳だった。終わって初めて泣いた。私の11歳のときだった。
その夜から毎晩祖父に抱かれて寝た。女の歓びも教えられた。 一月ほどして出稼ぎに行っていた父親が帰って来た。 祖父も私を抱きに来なくなった。ほっとした。
だがそれも長くは続かなかった。祖父は父親の目を盗むように私を求めた。 「優、おまえ、爺さまと…………」 ひ いやッ! 「爺いがよくて 俺は駄目か」 とうとう実の父親にまで犯されてしまった。
それからは毎夜のように二人の大人に抱かれて寝るようになった。
15歳のときに身体の変調があった。祖父は見知らぬ男を連れて来た。歳は30ぐらいだった。私の知らぬ内に産まれた男の子を、その男との間に出来た子として届けられた。 三人の男が代わる代わる私を抱いた。逃げ出したかった。子供を置いては逃げられなかった。 三人の内誰かがいつも私のそばに居た。
その頃は三人掛かりで私を責めた。このままでは殺されると思った。とりあえず落ち着く先を探して、見つからないように子供を連れに来るはずだった。
時化の夜、男達が家の修理に表に出た。隙を見て、用意しておいた風呂敷包みを持って家を飛び出した。 各地を転々とした。落ち着く先など見つからなかった。 出稼ぎに来て飯場に住み込んでいた父親に見つかってしまった。 東京のアパートに住んだ。祖父は亡くなったと云うことだった。夫にさせられた男も居なかった。聞いても教えってくれなかった。私が31歳、父親が55歳、息子が16歳だった。 流石に家では私を求めて来なかった。外へ連れ出された。逆らえなかった。
男恋しさもあった。父に抱かれ泣きながら歓びに震えた。 息子は頭に髪の毛が生えなかった。高校へ進学しレスリング部へ入った。誰に似たのか身体は大きかった。父親も私も小柄だった。
その日は夏休みの暑い日だった。夕食の支度をして待ってるのに、二人とも帰って来なかった。 夜の9時頃に二人一緒に帰って来た。二人は酔っぱらったいた。一人で夕食をして寝た。
夜中に息苦しくなった。 グフッツ、 ンン……… ング グエエエーーッ 寝ている私を二人掛かりで襲った。手足を縛られた。父親が私に乗っていた。息子が目を爛々と輝かせて見ていた。
女の悲しさ、段々よくなってきた。歯を食いしばって耐えた。 無駄だった。声が漏れた。父親が果てた。息子に変わった。いやいやをした。十分に大人になった男性が入ってきた。
涙が流れた。 ………ウウウーッ クク 駄目。絶対に息子の行為では、イってはいけないのだ。 自分に言い聞かせた。
はう ッ ククー ッ はああ〜 無意識に声が漏れ、女の歓びを伝えていた。身体は自由になっていた。息子の背中を抱いた。自分から尻を持ち上げた。歓びに震えた。
いいいーくくーー ッ とうとう一線を超えてしまった。悔いはなかった。頭が真っ白になって気を遣っていた。
翌日又家を飛び出した。死ぬことを考えていた。 谷中の陸橋に来ていた。優しそうな男性に拾われた。車に乗せられ大きな家に連れて来られた。 綺麗な奥様が居た。ほかに家族は居なかった。少しずつ生活になじんでいった。
奥様が夜私のところへ来た。女同士の歓びを教えられた。 私より一つ上だった。いつの間にか旦那様も加わるようになった。 ただ私をさんざん燃えさせて、最後はご夫婦で上り詰め、私は一人置いてけぼりだった。 でもそのこと以外は家族のように接してくれた。
今はご夫妻でアフリカへ出掛けている。私は一人留守宅を任されている。現地の昼間は日本の夜中。午前1時頃になると、このパソコンや電話で仕事の指示が来る。 英語の苦手な私は、仕事が終わるのが、朝明るく成る頃。 これからお風呂に入って寝る。11時頃遅い朝食を兼ねて町へ出る。
いまでも時折息子のことを思い出すが。もう二度と戻る気はしない。
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