全てが始めての一夜  by 蓮芭璃玖 その1





 

 こんにちは、ハスバリクです。私の初体験は、私自身未だに信じられず、妙に浮遊感の漂うものでした。

 それは先日、会社の納涼会がきっかけでした…
 会社の自社ビルの、他のテナントの会社も含めたビル親睦会での催しで。十数の多会社の人間が集まって。
 その時私の隣に座ったのが、ケンジという名前の、私の会社の社長の息子でした。ケンジさんは自分で起業していて、本拠地は東京であるものの、親孝行という意味もこめてビルのテナントに入ってきたのです。

 27歳。24歳である私は会社でも最年少で、まわりはおじさんばかり。27歳のケンジさんは、私の姉と同じ年。
 爽やかな好青年で、隣同士の席になった縁から少し話をしました。
 自分の親の会社の人間たちに囲まれて、しかもビル親睦会では新人。馴染みづらいだろうなぁと思って、気にかけて話しかけていました。
 実際話をしてみると、普通の青年で。けれど学生の頃に起業して今年で10年目という事もあり、今までの経歴も含めてさまざまな体験もしており、その話は私にとっては興味深いものでした。

 その夜、会社の人間だけで二次会に。
 けれど、社長の息子という事もありケンジさんも誘われて。
 その際私は、ケンジさんに、この後別の店に行こう、と誘われていたんですけれど会社では最年少で、上司によく目をかけていただいたのでそちらに行かないわけにも行かず。
 良かったら一緒に行きましょう、と会社の二次会に。

 そこでは、最初の店では席が離れていた私の上司もいて、ごく普通の酔宴。
 深夜0時を迎える頃にはいつものように、お開き。帰り間際、ケンジさんを交えて少しの立ち話。他の人の目を離れてそっと囁かれました。

 別の店行かない?

 少しどきんとして。
 けれど、いつも家が同じ方向でタクシーに一緒に乗って帰っている上司のOさんがその場にいたものだから即答できずにいた私。
 Oさんは飲み足りない様子で、気が付けばケンジさんと私とOさんともう一人で三次会に行く事に。
 ぐだぐだと静かに飲んだその帰りにケンジさんは、じゃあ明日のみに行こうか、と言ってきました。

 私には好きな人がいて、6年の片想い。
 去年に想いを告白してからは電話をよくするようになったものの、住んでいる場所が離れているためなかなか踏み切れず、彼は私を、友達として好きだけど、と言っていた。
 6年。
 彼を好きでいる事に、疲れていたのかもしれない。

 帰宅した私は、名詞を貰っていたのでケンジさんの携帯に電話した。お疲れ様でしたを言うだけのつもりだったのに、明日、行こう?と誘われていいですよと応えてしまった。
 翌日、ケンジさんの会社に私が行くと笑顔で迎えてくれた。
 他の社員の方もいて、訪れた名目は顔見せ。
 ケンジさんは少し仕事をして、それから私に、「じゃあ」と挨拶をして一人事務所を出て行った。
 ああ、一応内緒なんだ、と思いながら数分後、私も事務所をあとにしてケンジさんと合流した。

 タクシーで繁華街に向かい、まずは食事。お洒落な店で、夜景を見ながらお喋り。そして次は、お洒落なバー。
 そこでケンジさんは本格的に、私を口説き始めた。
 ちなみにこの人、私を誤解していた様子。
 それなりに経験をして、結構遊んでいるように見えたらしい。

 それはさておき、時折私の手を握り指を絡めたり、二人きりで話したいよね、とか。
 私は緊張していた。男と女だもの、二人きりで食事をして、呑んだりなんかしたらそういう事になっても可笑しくないって分かってたはずなのに。

 店を出てすぐに、抱きしめられた。思わず身体を固くする私。
 耳元で、囁かれた。
「いや?」
 胸がドキドキしていた。私は、キスもセックスの経験も、一切なかったから。
「いやじゃ、ない、です…」
 自分でもびっくりするぐらい、震えたかすかな声。どうしていいかわからなかった手が、ケンジさんの腕に触れた。

「キスしようか」
 言われて、思わずうつむく私のうなじと耳の間ぐらいをケンジさんは、そっと撫ぜながらそのまま顎に触れて、覗き込むように唇を、その唇で塞いだ。
「んっ」

 経験はない、それは嘘じゃない。だけど、興味は当然人間だからある。
 だから、それなりの知識はあった。思わず私は、自分から口を開いてその舌を受け入れた。
 離れてからケンジさんはくすぐったそうに微笑んで、一言。
「キスしちゃったね」
「ん…そう、ですね」

 嫌じゃなかった。
 心の中で、ぼんやりと思う私。
「二人きりで、もう少し話しようか」

 黙ってうなずく私の手を、自分の腕に絡ませるケンジさん。
 バーで飲んでいた時に、腕を組まれるのが好きと言っていた事を思い出して、この人カワイイな、とか思ったり。店から離れてエレベーターに乗ると、ケンジさんはそこでも私を抱きしめてキスをしてきた。
 途中の階で人が入ってくると、さっと離れるものの、いわゆる恋人つなぎと呼ばれるやつを影でしてきたり。

 それから少し歩いて、コンビニでお酒を買って、ホテルに。
 ホテルも私は始めて。二重になった自動ドアに興味を抱いたり。
 高い階がいいよね、と言いながら8階の部屋に。
 まずはお部屋探検。

 ここで私は改めて、本当にやっちゃうんだ、この人と…と思ったり。
 実はこの日、生理中で。三日目で。
 だから抵抗感があったのだけど、ケンジさんにもバーでそんな話をしていたんだけど気にしていないようだったので、まーいっかーとか思ったり。

 お部屋の探検中に、お風呂にお湯を張って、ソファに腰を下ろす。お酒を飲んで…この時ケンジさんは、ラムネを飲んでいた(笑)
 私はとにかく雰囲気が恥ずかしくて恥ずかしくて。
 ふっと会話が途切れた時に、キス。
 キスはいいな…そう思った。
 だから自分から唇を舐めて、ケンジさんの口の中を舐めたりとか。

「んっ、ん…」
 手が胸に触れた。そのまま、シャツのボタンを外しながら何度もキスをして。
 胸を触られると、なんだかくらくらしてきてついその手を掴んでしまったり。
「どうしたの?」
 どう表現したらいいのかわからずに、「はっ、はずかしいんです…」
「そう、恥ずかしい? そっか、明るいしね」
 優しく言いながら、灯りを落とす。
 改めて寄り添いあい、耳たぶやうなじを触るケンジさん。
 胸に、また手がくる。
 また抑えそうになったので、コレじゃ堂々巡りじゃん、と思い切って自分からケンジさんの唇を塞いだ。

 びっくりした。
 私ってこんなに、激しいんだ…
 シャツを脱がされ、キャミソールを下ろされて。太ももを撫でながらスカートを捲り上げられるとぞくぞくする。
「やっ、け、ケンジさん…手つきがエッチ」
「いや?」
「え?」
「璃玖、かわいい…」
 手が、そのままスカートを捲り上げて足の付け根を撫ぜた。
「…や、じゃ、ないです」
「ん?」
「いやじゃ、ないですよ」

 そして、再び私からキス。
「一緒にお風呂はいろっか」
「そうですね」

 あー、長くなってしまった。
 大丈夫です、こんな変な終わり方しません。小休止(笑)
(女の子の初体験告白掲示板より 2006/07/30)

 
 ハスバ・リクさん、ってお読みするんですね。ステキな名前だなあ。文章もとてもいい感じ。雰囲気がよく出てて、臨場感もあるし、璃玖さんのドキドキが伝わって来ます。はじめてにふさわしい夜になりそうですね。続きが楽しみです。

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