フライデーナイトアベニュー
4月の最初の金曜日 その(1)






 JRはもちろんのこと、私鉄4路線と地下鉄3路線が密集するターミナル駅。午後7時といえば、帰宅ラッシュの真っ最中だ。
 建前ばかりの週休二日制にうんざりしている俺だが、幸い新年度に入って最初の土曜日は「就業規則」どおり休めそうだ。おまけに、休みを前にして片付けねばならない仕事、というのが意外と早く終わったのだ。ラッキーだ。


 4月1日。晴れて俺は「係長」の辞令を受けた。俺が座っていた「主任」の椅子には、他の部署から新しいやつが転属してきた。それまで面識はなかった。この新主任が極めて優秀で手際も良く、おかげで俺は4月の最初の金曜日をこうしてほぼ定時に退社することが出来たのだ。

 帰宅ラッシュのすごさに俺は改めて「こんなにたくさんのやつが定時で帰宅しているのか。あの残業の嵐はなんだったんだろう」と思いながら、JRの快速列車のつり革をつかんでいた。
 妻も子もいるが、家にはいない。前後して恋人とも別れてしまった。定年間際までかかってローンを払う覚悟で手に入れた庭付き一戸建ては、一人暮らしには大きすぎ、毎晩無聊をもてあますばかりだ。それどころか掃除が行き届かず、男子大学生の下宿になりつつある。やがて廃屋となり、幽霊屋敷への道も遠くないだろう。


 俺は妻とも恋人とも別れるつもりはなかったし、どちらとも上手くやっていける自信があった。しかし、どちらとも上手くいかなくなってしまった。俺と恋人との関係は、一般的な言い方をすれば浮気なのだろう。だが、俺は浮気のつもりはなかった。妻も恋人もどちらも愛していたし、俺にとってはかけがえのない存在だった。
 だが、今から思えば、誠実さにかけていたのだ。いざどちらかと駄目になっても、もう一人いる。そんな思いが、結果として不誠実な愛し方になったに違いない。態度や言葉の端々に「お前がナンバーワンだ」というあふれる想いや、「お前を失ったらもう何もない」という危機感が、きっと欠落していたのだろう。
 だとすれば、妻も恋人も俺には必要な存在なのだ、などと言うのは詭弁である。俺と妻の関係は、一見幸せな家族だが実は冷めており、一方恋人とはごくありふれた浮気だった。どこにでもよくある話だ。妻も子もいる俺が若い恋人を持つことが出来て、愚かしくも有頂天になっていたに過ぎなかったのだろう。


 俺は喪失感に包まれていた。心に穴があき、むなしく風が吹き抜けていた。こんな俺を慰めてくれるのは酒だけだった。
 俺はもともと酒にそれほど強くない。だから、ヤケザケをあおることなど出来ないし、ましてベロベロになって現実から逃避するなんて芸当とは無縁である。
 いつもの駅で電車を降り、ふらりと入ったスナックで、高校時代の同級生と偶然出くわした。それ以来、彼と酒を交わすほんのひと時が、俺にとって唯一心和む時間になったのだった。同級生の名は木村という。それほど親しかったわけではなかったが、お互い顔と名前を覚えており、偶然の再会に懐かしさがこみ上げ、話が弾んだ。そんなきっかけだった。

 「大学を出て、普通にサラリーマンやってるよ。どうやら4月からは係長らしい」
 内示をもらって、その新しい肩書きにうっとおしさを感じつつ、しかし同時に出世は嬉しかった。つい口が滑べって、しまったと思った。卒業したあとの木村のことは俺は何も知らない。他人の出世話をいっしょに喜んでくれる境遇に彼があるのかどうか、それすら俺は知らないのだ。もし彼がリストラにあった直後だったりすれば、こんなに場にそぐわない話題などないではないか。
 しかし、彼は幸い、俺よりも出世していた。
 「そうか。俺は二つほど会社を移ったが、二つ目の会社も辞めたよ」
 「なぜ?」
 「先行きに不安を感じた。いや、業績が急激に悪くなったわけじゃない。ただ、漠然とした不安だ。俺の窺い知ることのない場所で経営方針が決められ、そこには俺の意志はない。将来が絶対的に保障されているのならそれでもいいさ。でも、そんな保障はどんな会社にだってない。ばかばかしいだろう? 自分の意志など存在しない他人の操る船に乗って難破、なんてのは」
 俺は会社についてそんな風に考えたことなどなかったが、言われてみればその通りかもしれない。自分で決めたわけじゃないのに、会社が勝手に倒産して、そのあおりで失業してしまう。確かにばかばかしいことだ。  「でも、だからって会社を辞めてしまったら生活に困るだろう?」
 「ああ、だから自分で会社を作った。自分で意思決定して、それでコケたのなら、諦めもつく」
 「すごいじゃないか!」
 俺は思わず叫んでいた。
 「自分で会社を興すなんて、よくやったなあ。それじゃ、お前、社長か!」
 「社長なんて大げさなもんじゃない。社員は一人だ。あとは学生アルバイトが数人」
 「それでも、社長だよ」
 「あのな、社長なんてもんは、誰だってなれるんだよ。大きな組織の中の係長のほうが、よっぽどすごいことだ」
 木村は皮肉でもなんでもなく、本心からそう思っているようだった。
 それが彼のすごいところだと、俺は改めて感心した。俺なぞ、「社長」という肩書きだけで恐れ入ってしまう。なるほど俺は妻にも恋人にも捨てられるつまらない人間なのだ。


 木村は結婚をしていなかった。だから好きなことをできるんだよ、とも言った。しかし、それは違う。結婚していようがいまいが、出来るやつは出来るし、そうでない人間はどんなシチュエーションだって出来ない言い訳にしてしまうだろう。

 ともあれ、そんなことがきっかけで、俺はこのスナック「鷹」に出入りするようになった。木村がいることもあったしいないこともあった。でも、たいていはいた。一人のときもあるし、アルバイト学生を連れているときもあった。
 木村の知人だと言うだけで店は俺のことを歓迎してくれた。居心地が良かった。

 そして、今日。
 正真正銘の土曜日を目の前にして、かつ、時間も遅くない。俺は「鷹」に立ち寄った。年度が変わってはじめての「鷹」だった。
 俺は木村がいることを期待した。係長に「なれるらしい」から「なったぞ」に変化したことを報告したかった。あまりにも俗っぽい想いだということはわかっていたが、木村なら一緒に喜んでくれそうな気がした。
 だが、彼はいなかった。しばらく俺は一人で飲んでいたが、彼は来なかった。
 今日は諦めることにして、俺は店を出た。

 「鷹」はいわゆる駅の裏手にある。バスターミナルやタクシー乗り場、商店街などとは反対側だ。今日は時間が早いため、会社帰りにいっぱい飲んでも、まだバスはある。終バスが出た後ならタクシーを使うか、40分ほどかけてぶらぶら歩くしか帰宅の方法はないが、いずれにしても「裏側」から「表側」に戻らなくてはならない。
 橋上タイプの駅のコンコースを通り抜ければ近いが、階段を上り下りしなくてはならない。酔いが回って億劫だったので、俺は駅をぐるりと回り込んで、踏切を越えてバス乗り場に向かうことにした。
 「鷹」の周辺は郊外型ステーションの典型的な駅裏で、ラーメンの屋台が立ち、カラオケスナックや小さなすし屋、エロ本の自動販売機などが並んでいた。ちょっとした空き地は全て駐車場になっている。
 カラオケが店の外にまで響いている。店の2階は住居なのか倉庫なのか、見当がつかない。通りの一本か2本はそんな風情だが、その他はもう古くからの住宅地で、ときおり存在するパン屋や薬屋なども、その回りに住む人間だけが相手のようだった。「駅前まで行って○○を買ってくる」というような人は、全てバスターミナルがある「表側」の商店街やスーパーマーケットを利用するのだ。
 俺の現在位置からは見えないが、遮断機が閉じているらしく警報機の音が聞こえる。このまま踏み切りに向かっても待たされるだろう。呑んだせいか、俺は甘ったるい缶コーヒーが飲みたくなった。どうせ遮断機は下りている。向こう側に行けば、まだ気の利いた喫茶店もあいているし、飲み物の自動販売機はゴマンとあるが、こっちがわにだってベンダーぐらいあるだろう。俺は気まぐれに辻を折れた。
 そこは、初めての足を踏み入れる通りだった。
 路地と言うほど狭くないが、かといって、全く別の目的地に向かう車が「通過」するような道路でもなかった。
 店のネオンも電照看板もないが、さりとて暗すぎもしない。外灯がしっかりしているせいだった。豆腐屋、新聞屋など、朝早い商売の店舗があり、あとは住宅や駐車場。日が暮れた後は寂しくなる一方の路地に思えたが、それでも人通りはある。彼ら、彼女らがなんの目的でこんな通りを歩いているのか皆目見当がつかない。
 しかし、駅の「裏側」であっても、駅前であることには変わりない。この先には彼らが向かうべき様々な目的地があって不思議はなかった。
 意外とジュースの自動販売機が見つからない。パン屋の店先ぐらいにはありそうなものだが、営業時間中は飲み物を店内で手売りをしているのか、店頭には販売機は設置されていなかった。

 そのかわり、俺は一人の少女にめぐり合った。

 彼女は、「こんばんわ」と言った。
 制服こそ着ていないが、どう見ても彼女は子供っぽい高校生か、ともすればちょっと大人びた中学生のように思えた。多分、人違いだ。歩くのに不自由はないと言っても、もうとっくに日は暮れている。少し距離をおけば顔かたちをみまちがえても仕方ない。おそらく彼女は礼儀正しく育てられており、俺の姿を認めたときからすれ違いざまに挨拶をしようと思っていたのだろう。そのことに気をとられて、すぐ傍に来ても人違いに気がつかなかったのだ。
 俺は軽く会釈をして、通り過ぎようとした。
 そして、ドキリとした。俺の目は彼女に吸い付いた。なんて美しく、可愛らしい少女なんだ。目と眉はクッキリとしていて存在感をアピールしていた。鼻はすらりと細いが、それほど高いわけじゃない。唇は厚くもなく薄くもなく、まるで絵画に出てくる典型的な美少女画のように、そっと佇んでいた。髪に隠れて耳は見えない。タレントのような派手さはないが、きわめて整った容貌をしていた。
 あごまでの髪は真中よりすこし左側できちんと分けられ、かすかな風にきらきらとなびき、風がやむと元通りになった。
 どこか遠くを見ているような冷たさと、言葉を発した後、口を閉じる際にわずかに見せる笑顔が対称的だった。
 笑うと唇がわずかにめくれて、白い歯とピンク色の歯茎がのぞいた。彼女の唯一崩れた部分だった。そこにようやく人間的な温かみが感じられた。

   「ごめん、きみ、誰だっけ?」
 人違いと断じてさっさとその場を去っていれば、こんなことを訊く必要はなかったろう。しかし、俺は足を止めてしまった。もしかしたらかなり長い間、彼女の顔を見つめていたかもしれない。
 「えへ」と、彼女は笑った。
 ベージュの縁取りをした白いカーディガンの前は開いていた。カーディガンの下には薄い緑色の衣服を身に付けていた。それがTシャツなのか、タンクトップなのか、それともキャミソールなのか全くわからない。わかっているのは、鎖骨が妙に色っぽく自己主張をしていたことだけだ。胸元が広くあいている服だった。さほど大きくなさそうな胸のふくらみの最上部が、わずかに外気にさらされていた。
 「ごめんなさい。本当は『はじめまして』、なんです」
 え?
 「それじゃあ、俺に何か用かい?」
 俺は直感的に「おかしい」と思った。
 夜中ではないにしろ、中学生か高校生ぐらいの女の子が日の暮れた町の裏側で、俺のような30男にいったい何の用があるというのだ。
 「これを、見てください」
 彼女は、紺色のミニスカートのポケットから紙片を取り出した。乱暴に突っ込まれていたと見え、あちこちに折れ目や皺がある。
 彼女はそれを開いて、丁寧に皺を伸ばした。さしだされたそれはA4サイズで、おそらくはノートからちぎられたものだ。
 タテヨコに線が引かれ、所々に「タバコ屋」「駅」「駐輪場」などと書き込みがある。地図だ。
 「これ、ここですよね」と、彼女は地図の一角を指差した。
 そこには、他の場所よりも太く濃く線が描かれていた。俺はじっと地図と周囲の風景、そして頭の中の駅周辺の様子を思い浮かべた。
 「そうだな。ここだ」と、俺はいった。
 そして、安心した。彼女は頼りなげな地図をもとに、訪ねていくべきところを探しているところで、ようするに俺に道を聞きたかったのだ。おかしくもなんともない。もう日は暮れているし、目的地ははっきりしないし、不安に駆られて通りすがりの人に道を聞こうとしただけなのだ。
 「よかった」と、彼女は言った。
 どこかしら緊張した彼女の表情がほぐれた。
 美しく可愛らしいがどこか冷たい印象を与えた彼女だったが、しゃべり終える一瞬だけ見せたあの心和む少しばかり崩れた表情が、全面的にでてきた。
 「わたし、お金もあんまり持っていないし、今晩泊まるところもないんです」と、彼女は言った。
 俺は自分の耳を疑った。
 彼女は地図を持ち、そして、通りすがりの人に道を聞こうとしていたのじゃないのか?
 さらに俺は、すばやく状況を理解しつつあった。
 家出少女。お金もなく、行くところもない。だが、彼女たちには売るべき身体があった。
 援助交際で日々の糧を得ながら、都会を放浪する家出少女たち。その存在は知っていた。ただし、知識として。まさか自分がそういう少女たちと出会うことがあるなどとは思ってもいなかった。
 俺は浮気もするし、性風俗の店で遊びもする。だが、制服の女の子たちを買おうなどと思ったことはなかった。もちろん、俺も男だから、そういう少女を買う男たちの気持ちはわかる。だが、自分にとっては縁のないことだと思っていた。
 どうせお金を使って遊ぶのなら、プロにサービスしてもらう方がいい。こちらがお金を払って女の子たちのご機嫌をとって気を使って、などと馬鹿馬鹿しいし、面倒くさかった。もっとも俺は援助交際をしている少女たちの実体はしらない。実はプロ顔負けだ、なんて状態だったら、世も末だ。

 「あのお…」
 黙りこんでしまった俺に、少女は恐る恐る話し掛けてきた。
 「なんだ」
 俺はそっけなく言ったつもりだった。だが、唇の端がにやけていることに気がついた。俺の中に下心が芽生えていた。
 少女と一晩ラブホテルで過ごし、若干のお小遣いをやるくらいの金なら持っている。
 「ここ」と、彼女は俺を見て、そして手書きの地図にもう一度視線を落とした。「本当にココですよね」
 「ああ、間違いない」
 俺は自信を持って答えた。つまらないことには自信があるものだ。俺は自分が情けなくなった。
 「ついてこいよ」と、ひとこと言えばすむ。それだけのことが言えないのだ。
 「フライデーナイトアベニュー、ここ、ですよね?」と、少女は言った。

 戦慄が走った。
 あのフライデーナイトアベニューがここだって?
 性の欲望渦巻く、と噂される、一本の謎の道。
 昼も夜も、なんの変哲もない通り。だが、いつしかココには、セックスの相手を求める男女がつどうようになった。ここにはプロは来ない。純粋に性の悦楽を求め合うもの達が集まり、そして一夜の相手を見つけて快楽に溺れるという。

 噂が噂を呼び、その名を知らぬものはいない。だが、そんなアベニューがどこにあるのかを知る者に俺はまだ会ったことはない。
 会社の同僚や友人の中には、真剣に探す者もいたし、「それは一種のロマンだな」とはいうもののその存在には興味を示さない者もいた。
 実在するならどうして誰もその場所を知らないんだと本気で怒る奴もいたけれど、誰も彼もがその存在を知ってしまったのでは多くの人が殺到するだろうし、警察だって黙ってはいないだろう。だから、「本当の場所」を知るものは硬く口を閉ざし、誰にも教えたりはしないだろう。いわば、秘密クラブみたいなものだ。
 おいしい話があれば飛びつきたいとてぐすね引いている中年男すらその実態を知らない「フライデーナイトアベニュー」を、どうしてこの家出少女が地図まで入手しているのか、その理由は俺にはわからない。

 しかしさすがに野暮なこの俺でも、「へえ、ここがあのフライデーナイトアベニューか。じゃあ、君の目的はソレなんだね。だったらおじさんと遊ぼうよ、エヘエヘエヘ」なんてことを言ってぶち壊しにしてしまうほど阿呆じゃない。

 「ああ、そうだよ。ここがフライデーナイトアベニューだ」と、俺は言った。下を噛まなくて幸いだった。

 「わたし、アヤコって言います」
 「俺は、ヨシフミ」

 フライデーナイトアベニューでの決まりごとは少ない。そのひとつ、「この人」と思ったらファーストネームで自己紹介し、オッケーならばやはり自己紹介を返す。セックスのときに相手の名前を呼ぶために必要だからだ。だが、それ以外に教えあうことは何もない。一晩だけの関係なのだから。
 もし、もう一度会いたい、相手の連絡先を知りたいと思ったら、自分の連絡先を先に教える。例えばメモなどに書いて相手に渡すのだ。それを相手が受け取れば、相手も連絡先を教えなくてはならない。いやならメモを受け取らない。それだけだ。
 場所も実態も分からないのに、噂話の中でこういったルールだけが一人歩きしていた。

 「じゃあ、行こう」
 俺はアヤコの手を取った。柔らかくて暖かい手だ。
 「わたし、今日着いたばかりです。どこに何があるのか知りません。よろしくお願いします」
 「心配いらない」と、俺は答えた。
 アヤコは俺に歩調を合わせながら、「激しくしてください」と言った。
 ホテルに入る前に、女性はプレイ内容の注文をつけることが出来る。これもフライデーナイトアベニューの伝説の中で語られていたルールのひとつだ。アヤコはそれを忠実に守っている。
 「アヤコは男性経験は多いの?」
 「それを訊くのはルール違反です」
 お互いの男女関係は詮索してはいけないことになっている。
 「ルール違反じゃない。『激しくする』といっても、相手がバージンなのか淫乱なのかで、女の扱いは異なる。これは君の希望にこたえるために必要な質問だ」
 「処女ではありません。けれど、そんなに経験もありません」
 「イッたことはあるのか?」
 「セックスでイクことを覚えたのは最近です。でも、オナニーではいつもイッてました」
 明快に答えられて、俺は少々タジタジとなった。親しい友人や特別な関係ならともかく、今日会ったばかりの男にこんなことを普通言うだろうか?
 いや、今日会ったばかりで、そして、おそらくはこれが最後。こういう関係だから言えるのかもしれない。

 看板は色とりどりのネオンで飾られていたが、それ以外は質素なたたずまい。そんなラブホテルに、俺とアヤコは入った。


4月の最初の金曜日 その(2)

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