アヤコはその夜、3回イッた。 |
失神から覚めたアヤコは「ああ、すごく気持ちよかった。むちゃくちゃ感じちゃった。死ぬかと思った」と、言った。そして、俺の欲棒を手にとりマッサージをはじめた。 |
朝、目が覚めると、アヤコはいなくなっていた。テーブルに置手紙があり、「アルバイトがあるので先にチェックアウトします。ホテル代だけおごってね」と書いてあった。 |
思えば妻や恋人だけでなく、友人にしても家族にしても、そしてありとあらゆる知り合いにおいて、「始まり」や「終わり」がきちんと演出されていることなんてありえないのだろう。まだしも「始まり」はいい。出会いである。それまで全く見知らなかったものがその時点から知り合いになる。それはいい。しかし、終わりは? |
なにものにもわずらわされることのない一晩だけの関係とは、「始まり」と「終わり」がきちんと演出されていて、完結している。 |
アヤコについてはわからないことだらけだ。 |
俺はホテルをチェックアウトした。通りに出て、ああ俺は今ラブホテルから一人で出てきたんだと思った。不思議な気がした。 |
心の底からくつろいだ気分になると、不思議なものであれこれ身体を動かしたくなった。 |
「鷹」で再開を果たした同級生の木村に、彼の仕事の話を訊いたのは確か3回目に彼と顔を合わせたときだった。 |
すっきりと家事を終えた俺は「鷹」で一人飲んでいた。 |