フライデーナイトアベニュー
5月の2回目の金曜日 その(2)





 店を出た俺はアヤコの肩を抱き、アヤコは俺の腰に手を回した。何ひとつ逃すまいとしているがごとく、俺達はぴたりと身体を寄せ合って歩いた。手のひらに掬った砂を一粒も落とすまいと指を密着させ、気を抜かないように注意深く神経を集中するのに似ていた。
 俺達はまさしく全身の神経を集中させていた。寄り添う肉塊は俺たちにとって全てが性欲の対象だ。可能な限り密着した。一切の弛緩は許されないような気がした。強く身体を擦りつけ合いながら肉の感触を楽しんだ。
 肩を抱き寄せていた手の力をいったん俺は緩め、アヤコのわきの下に手を差し入れて、そのまま乳房に手を伸ばした。
 「あん」
 アヤコが声を出す。周囲に気取られないように極力声をひそめようとしたが、耐え切れずに息が漏れる。そんな様子がわかった。乳房の膨らみの上部を少しはみ出させたキャミソールはつるつるした光沢のある素材で、肌に触れると気持ちいい。俺は衣服の上からアヤコの柔らかい乳房をもみつづける。
 盗み見たアヤコの横顔は官能の入り口に立っていた。10代後半の瑞々しい肌の張りの中に、身体の中心から湧き出る肉の悦びを浮き上がらせていた。熟れていないのに熟れている。熟れているのに熟れていない。時の間隙による悪戯なのか、少女でなくては発することの出来ない妖しさに俺は心を振るわせた。

 俺は親指と人差し指でアヤコのキャミソールの肩紐を掴みながら、少しづつづらしていった。そうしながらも、手のひらを乳房にあてがってくるくる回しながら押し付け、残りの3本の指で肌をまさぐった。
 やがて肩紐がゆるんでずれ、腕のヨコにはらっと落ちた。胸元の布にたるみが出来、俺はすかさず指を差し入れた。硬くなった乳首をその指先でこりこりと弄ぶ。
 「ん、んん」
 アヤコは喉の奥から子猫が甘えるような声を絞り出す。
 乳首があらわになる。俺は中指と人差し指で乳首を挟み、親指の指紋を乳首の先にあてがってぐりぐりと動かした。ギュッと乳首を押し倒したり、押しつぶすしたり。最初ほんの少しの抵抗をみせる乳首はすぐに俺の指の動きに従うが、指を離すと男の言いなりになるのを拒否するようにそれはプリッともとに戻る。真っ直ぐ突き出す若々しい乳首だ。
 もう片方の、まだ布の下の乳首も、くっきりと形がわかるほどに突き出して、服を持ち上げている。
 「いやらしいオッパイだ。もうこんなに感じて」
 あらわになった乳房を強く握ったまま、右へ左へひねると、アヤコは「ああ〜、こんなところで」と、小さな悲鳴をあげた。
 「こんなところで感じるからいけないんだろう? 俺はアヤコの感度に合わせてやってるだけだよ」
 「だって、でも、人に見られる...」
 「見られたいんだろう? ノーブラで肌に張り付く服を着てるんだから」
 俺が指摘をすると、アヤコは黙った。その間も乳房への愛撫は休みなく続ける。時々身体に電流が走るのだろう、ピクンと身体をアヤコは硬直させた。
 「だって、見られたいんだもの」
 「見られると、興奮する?」
 「...うん、少し。いやらしい目で見られると、ちょっと幸せ」
 「見られるだけで幸せ?」
 「見られるだけでも幸せ」
 「こうして、触られるのは?」
 「もっと幸せ」
 俺はアヤコを最大限いとおしいと感じた。力の限り抱きしめたい。壊れるほどに、きつく。
 それほど多くはないといえ、通行人はある。彼ら彼女らは、もつれ合う俺達をチラチラと横目で見ながら通り過ぎる。その速度が急に遅くなったり、かっと目を見開いたりするのは、俺達がただじゃれあっているのではなく、アヤコのさらけ出された乳房が男の手の中でもみしだからているのに気がついたからだ。その時の目撃者の反応は様々だが、俺は軽蔑したような表情と視線を浴びせられるのが一番好きなのだと気がついた。時も場所もわきまえずに求め合う幸福感は本人にしかわからないだろう。
 俺はもう片方の肩紐もはずしてアヤコのキャミソールを胸の下までずらしてから、身体をかがめて乳首に吸い付いた。アヤコは俺が今までに出会った女の中でも胸の感度が格段に良く、吸ったり舌先で舐めたり唇で挟んだりしているうちに、やがて「あ、はああ〜ん、感じるゥ」と遠慮のない声量で叫んだ後、その場に座り込んでしまった。
 俺も隣に座ってアヤコを抱き寄せ、唇を重ねる。舌は彼女の方から絡めてきた。ズボンの上から俺の欲棒に手のひらを擦りつけてくる。
 「みんな見てるよ。こんなところで。我慢できないのか?」
 「出来ない。我慢なんて出来ないよォ」
 アヤコは狂おしく声を発した。

 俺とアヤコは身体のどこかを常に触れ合いながら、互いに引きづり、引きづられながら、公園まで移動した。さすがに乳房を放り出したままでは人目をはばかると思ったのだろう、アヤコはキャミを引っ張りあげて乳首を隠した。肩紐は相変わらず腕のヨコにだらりと垂れたままなので、布はたるんでいる。俺は肩から回した手を胸に差し入れて、乳房や乳首に悪戯をしながら歩いた。ベルトを緩めホックを外したズボンの中にアヤコも手を入れている。奥まで手を突っ込んだりはしないものの、カリから上の敏感な部分を指先でアヤコは刺激してくれた。ラブジュースがチョロチョロと湧き出してくる。アヤコの蜜窪に俺はまだ触れていないが、アヤコのそこもネットリと液体が絡み付いていることだろう。

 それほど大きな公園じゃない。子供達が走り回れる程度の広場と、それを取り囲むようにブランコや滑り台などのありふれた遊具があった。広場の隣はポツリポツリと木が植えられたスペースになっており、ベンチや水のみ場が配されている。昼休みにサラリーマンがお弁当を広げたり昼寝をしたりするには絶好に思えた。子供達が走り回れる広場よりも少し狭い。木立のため見通しがきかないからそう感じるだけかもしれない。片隅に無愛想な公衆便所があり、中の光が入り口付近にまで漏れていた。公衆便所のコンクリートの壁にもたれて高校生がたむろしている。
 いくつかあるベンチは二つだけ空いていた。俺とアヤコはそのひとつに腰掛けた。ベンチの裏側の叢の中などが戯れには最適かもしれないが、整備されていてそのようなものはない。
 スカートなら下着だけ脱がせて挿入することもできるだろうが、今日のアヤコはズボンである。キャミソールの丈も短く手の動きに応じてお腹が見える。この状態でズボンを脱げば下半身丸出しになるのだ。木の陰に隠れる状態で設置されたベンチは既に占領されており、俺とアヤコの座ったところは、広場からは見えにくいものの公衆便所前の高校生からは丸見えだった。彼ら彼女らはベンチのカップルには無関心のようだが、ここでセックスが始まれば注目するだろう。それも悪くないかもしれないが。何しろアヤコは彼らと変わらない年齢なのが愉快だ。
 アヤコは体の力を抜いてぐんにゃりと俺にもたれかかりながら、ズボンのファスナーを下ろし、ビョンと飛び出した俺の欲棒をいとおしげにしごき始めた。

 アヤコは背もたれから背中を離していたので、俺はアヤコのベルトを緩めてホックを外し、背中側から手を入れた。まさぐるとアヤコのパンティーはサイドを紐で結ぶスタイルであることがわかったので、両サイドともほどいて引っ張り出した。これでアヤコはノーパンである。
 しかし体制が悪いのか、お尻がわから差し込んだ手は、かろうじて蜜窪の果汁を感じるだけで、そのものには届かない。仕方がないのでアナルの近辺に指先を遊ばせた。
 「あ、そこ、なんか変な感じ」
 「感じるだろう?」
 「よくわからないけど」と、言いながらもアヤコは、菊の花弁をときおりひくつかせる。俺を愛撫する手がおろそかになりつつあるのは、感じている証拠だ。触れるか触れないかの微かなタッチで肌をなぞるのと、優しくかつねっとりと肌を押し当てるのを交互にすれば、性感帯でなくても感じるものだ。ユレギュラーな圧迫をそこに混ぜれば身体が反応しないわけがない。ましてそれが、性的な興奮状態であれば、なおさらでだ。俺はひたすらアヤコに奉仕するのだが、俗に言う「女をヒイヒイいわす」征服感を俺はアヤコによって思い出さされたのだ。既に淫乱の要素を引き出されたアヤコとはいえ、10代の女を仕込むのは至福だ。それがアヤコのような貪欲な女ならいうことはない。
 アヤコは俺の欲棒にむしゃぶりついてきた。だが、自らの身体を駆け巡る快感にとらわれて、十分に俺を悦ばすことはできない。だが、それでいい。アナルという今までに味わったことのない快感に身を沈めながら恍惚の表情を浮かべ、荒く息をするアヤコはそれだけで今の俺にとっては極上の女だ。

 俺はアヤコの肛門に指を2本あてがった。指を肛門に密着させたままマッサージをするように前後左右に揉みほぐしてやる。指先にこめる力は強すぎず弱すぎず。決して穴を穿つような強さではない。しかし、穴があればするりと滑り込む程度の力加減。
 アヤコは指の動きに合わせて「ううん、ううん」と声を漏らす。性器を直撃する快感とはまた別の奇妙な感覚に、肯定と否定を繰り返しながら、しかし拒絶できないでいるのだ。
 「やだ。お腹の中をかき回されているみたい」
 「お腹の中じゃないよ。外だよ。それとも、中を試してみる?」
 指先に力をこめると、アヤコのアナルは硬直した。だが、これはアヤコの意思で閉ざされただけであって、俺の愛撫で菊皺は既にやわらかく揉みほぐされている。
 俺はアヤコの上体をそっと起こした。口からペニスが離れ、糸を引く。俺はアヤコに身体を密着させ、前側からも手を差し込んだ。割れ目はぐっしょりと濡れていて、大きなクリトリスが剥き出しになっている。
 前と後ろから同時に快感を与えられ、アヤコは腰を浮かさずにはおれなかった。ベンチごとに繰り広げられるラブシーンに視線を漂わせていた高校生達は、今は俺達の行為だけに注目している。
 前から入れた手で激しくクリトリスをいじっているうちに、ズボンのファスナーがどんどんずり下がり、肌が露出してゆく。
 俺の手の動きに呼応してアヤコはあえぎながら身体を震わせ、引き上げたはずのキャミソールは徐々に下がって、乳首があらわになった。
 高校生達はトイレの壁のコンクリートに背中を預けているが、首から頭が極端に飛び出している。こちらを凝視しているようだ。だが、圧倒的に光量が不足しているので、アヤコの茂みや乳首は確認できないだろう。せいぜい、俺がアヤコの股間に前と後ろから手をあてがっているのがわかる程度のはずだ。

 「はあ、あう、ああん、ああー・・・・いい、いいわ、もっと、もっと、あああんん」
 アヤコはわれを忘れて腰を振る。俺の手の動きに合わせれば求めたとおりの快感が走り、俺の手の動きに反すれば、予想外の刺激が身体を駆け巡る。蜜窪から太ももを伝う液体は粘度を増し、後から後から沸いてくる。
 俺はアヤコのキャミをしたから捲し上げて、彼女のお腹に欲棒を擦りつけた。

 「ひいい、もうだめ、イク、イク、いっちゃうぅ」
 俺の手技だけでぐちゃぐちゃになったアヤコは、挿入をせがんだ。
 「お願い、もう、キテ、キテ、キテ、ああああ〜〜ん」
 哀願の混じった叫びに、俺は冷淡に答えた。
 「こんなところでか?」
 「お願い、お願い、ここでいいから」
 「みんな見てるぞ」
 それは事実だった。高校生だけではなかった。アヤコの声に他のカップルの視線もこちらに降り注ぐ。
 「いい、いい、見られてていいから、ねえ、ああ、もう、あああん、いく、いくぅ」
 「じゃあ、ベンチに顔を伏せて、ケツを突き出せ」
 「・・・うん」
 アヤコはベンチの前の地面に両膝をついた。俺はその後ろに立つ。ズボンの前部を開帳させ、ブリーフは太ももの一番上のところまで下げた。そそり勃つ欲棒の先端では透明の液体が表面張力の水玉を作っては、崩れる。
 アヤコの背中に手をあてて軽く押す。アヤコはベンチに両手を突いた。腰をしならせてお尻を突き出す。
 俺はあらわになった性器に顔を寄せ、指でひだを左右に広げた。
 しばらくそのまま眺める。夜の微かな光は、あちらこちらの外灯や照明の寄せ集め。それらに照らされてアヤコの蜜窪はどす黒いピンク色に浮かび上がる。
 「ねえ、はやく、ねえ、お願い・・・・どうしたの?」
 「眺めているんだよ」
 「やだ、恥ずかしい。はやく、欲しい・・・」
 「ああ」
 俺は肯定の返事をしたが、アヤコのソコに唇をべったりと接触させ、舌を挿入してかき回しただけだった。欲棒はまだ挿入しない。
 俺は舌がだるくなるまで何度も何度も花びらとクリトリスをしゃぶり、吸った。舌を押し込んで膣の内壁もたっぷり味わう。
 「ああ、ああ、ああああー、もう、もう、あああー」
 登りつめる一歩手前で肝心の欲棒が得られないもどかしさだろう。アヤコは自ら快感を深めようと腰を激しく律動させる。膝と地面がこすれて奇妙な音を発する。その音と、俺がアソコを舐める音だけが響く。自分を中心とするほんのわずかの範囲の音しか耳に入らなかっただけなのだが、それはまるで無音の深海に2人だけで遊ぶ自分達を思わせるほど幻想的だった。夜だから余計にそう感じたのだろう。
 アヤコが発する強烈な息づかい。「もうイク」「きて」という意味のある言葉がほとんどなくなり、ふいごが風を噴出す中に母音が混じっているような、そんな喘ぎ声を間断なく発するだけになった。

 屹立した欲棒をアヤコの入り口にあてがうと、アヤコの蜜窪に俺はスルリと導かれた。いったん奥まで挿入して穴の深さを確認してから、ゆっくりと抜き差しする。アヤコの肉襞がからみついてくすぐり、そして締め付ける。
 何度か角度をわずかに変えながら子宮口を突き上げる。やがておれはアヤコの一番感じる角度を探り当てた。集中的にそこへ欲棒の先端を叩きつける。
 アヤコのお尻と俺の腹が衝突して、一定のリズムで音を出す。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、」
 突き上げるごとにアヤコは短く声を発した。
 アヤコの蜜窪は俺がいままでに体験したことのない器だ。抜こうとするとネットリと絡みつき、突こうとすると締め付けてくる。ピストンを繰り返すたびにその度合いを増しながら。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あああああああ〜〜〜!!!」
 突然、アヤコがリズムを乱した。俺を飲み込んだアヤコの性器は激しく振動する。
 俺の欲棒は余すところなくアヤコから恍惚を与えられ、まるでそれは俺の全身が一本のペニスになってアヤコの中で快感のシャワーを激しく浴びせられているかのようである。
 「イッたのか?」
 俺の問いかけにアヤコは答えない。だが、アヤコがイッたのは間違いない。俺に向かってグイと突き出したお尻から力が抜けている。

 だが、俺はまだだった。
 年々早漏になっていた俺だが、アヤコとのセックスはそれが嘘のように長持ちする。
 妻とのセックスが早く終わったのは、俺の性能力が劣化したためではなかった。性欲の捌け口としてサッサと出してしまおうと無意識のうちにしていたのだ。
 だから、アヤコを相手にしたときの俺は違う。アヤコとふたり、たっぷりと性の喜びを分かち合おうとしている。だから長続きするのだ。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あああああああ〜〜〜!!!」
 俺はアヤコがイクのもお構いなしで、どんどん腰を振った。アヤコはすぐに昇り詰める。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あああああああ〜〜〜!!!」
 何度イッても、俺が腰を振りつづければ、アヤコはお尻を突き出して、俺を受け入れつづけた。
 「あっ、あっ、あっ、あっ、あっ、あああああああ〜〜〜!!!」
 明るくなった。月明かりだった。それまで雲に隠れていたのだ。今夜の月は大きい。アヤコのお尻はテラテラと月明かりを反射した。
 俺は周囲が気になりだした。
 アヤコの中で欲棒を動かしながら、首を回す。高校生達は飽きてしまったのか、チラチラとこちらを見るだけで、何かの話に興じている。スーツを着た中年男がポツンと立って鑑賞していた。俺達の所から一番近いベンチでいちゃついていたカップルはいなくなっていた。本物のセックスを目の前にさらされいたたまれなくなったのか、それとも自分達も刺激されてホテルへでも行ったのか。空いたベンチにその後座るものは居なかったようだ。
 ベンチは空いたままだが、木の幹にもたれて立ったままきわどいことをしているカップルが新しく登場していた。最初は通りかかって足を止めただけだったのだろう。だが、そのうち自分達も我慢できなくなったに違いない。女のTシャツが胸の上までめくりあげられており、男の手は女のスカートの中。女の片方の足首にパンティがあった。男の衣服に乱れはなかったが、こちらに背中を向けて女に密着しているから、実態はわからない。女の手は片方が男の背中、片方は密着した男と女の身体の間に割り込んでいて、多分男のものを握っているのだろう。ズボンの上からなのか、生でなのかはわからないが。
 俺の欲棒の先端に異変が起きた。感度が急に増し、子宮口に押し付けると、熱く爆発しそうになる。
 俺は腰の振り方を変えた。これまでは突くだけだったが、奥に達したその瞬間にグリグリと擦りつけるようにした。熱くなるその感覚を長く得るためだ。
 アヤコの喘ぎ声が変化する。
 「アアッ! アアッ! アアッ! アアッ!」
 俺は背中からアヤコにのしかかり、重力で地面に向かって真っ直ぐのびた乳房を鷲づかみにした。
 乳を搾り出すようにきつく掴み、それを左右にねじったり引っ張ったりする。
 「アアッ! アアッ! アアッ! アアッ!」
 欲棒の先端に走っていた快感が俺の全身を駆け回りだした。フィニッシュの瞬間は近い。頭の芯が真っ白になる。そして、真っ赤になる。
 俺はアヤコの一番深い部分で身体の動きを止めた。
 ぎゅぎゅぎゅうううっと、アヤコが俺を絞り上げる。だが、硬くなった俺はそれを跳ね返そうとする。隙間なく密着していたはずの俺とアヤコは、ますます一体化する。
 出る!
 俺はアヤコから欲棒を抜こうとした。だが、アヤコはそれと察したのだろう。
 「いやああああ! そのままで! 中でイッて!」
 「でも」と、俺は言った。今なら間に合う。アヤコを妊娠させることは出来ない。
 「抜いちゃイヤ! 思いっきり出して! お願い! 最後まで感じたいの!! 中でぶちまけて! それが好きなの!」
 彼女が叫び終えるのと、俺が出すのは同時だった。
 アヤコもそれまでになく激しく昇天した。
 俺もアヤコも獣のような雄たけびを上げた。
 俺は何度も何度もアヤコの中で射精した。飛び出す勢いも、濃さも、量も、これまでで最大であることが自分でもはっきりとわかった。
 アヤコはベンチの隅に放り出されていた自分のパンティーを丸めて、自分のヴァギナに詰めた。
 「お、おい・・・」
 俺は自分の精液をアヤコの中から掻き出し、さらにティッシュで何度も拭き取ろうとさえ思っていた。その後、ホテルで洗い流さなくてはとも考えていた。
 なのに、アヤコは妊娠の危険を自分から高める行為をする。
 「だって、あなたのエキス、全部欲しいんだもの」




5月の2番目の金曜日 その(3)

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