放  課  後  物  語

蒼く熱く喘ぐ

第1章 淡い別れと出会い

 

 私立清山学園高校。地元では名の通った進学校であるが、部活動もまた盛んであった。
 この清山学園に通う成山雅人は3年生。
 雅人は中学からはじめたトランペットが好きで、高校に入学してからもブラスバンドに在籍していた。
 今日は清山学園の入学式が終わって10日目。部活動の盛んなこの学校ではほとんどの生徒がなんらかの部に在籍する。

 今年、念願の清山学園に入学した西山加奈と深野優美は中学も同じで、中学でもブラスバンド部に在籍していた。そんな二人は迷うことなくブラスバンド部を選ぶと、今日の入部式に参加するため、校舎の4階にある音楽室へと向かっていた。
「あれっ、4階だけ階段が外にあるんだね」
 二人が3階に来ると4階への階段が続いてなく、通路を挟んだ反対側にあるのに気づき、加奈が優美に向かって言った。
 二人が外にでる渡り廊下を歩き4階への階段を上り終わると、優美が通路の左側に音楽室と書いたプレートを見つけ、「加奈こっちだよ」と、加奈の手を引っ張った。二人は小走りに音楽室の入り口の前まで行った。
 音楽室の中ではすでに先輩部員達が揃っており、新入部員達も数名の欠席者を除いて全員が揃うのを待っていた。

 加奈と優美は入り口の前で、
「加奈、先にはいんなよ」
「え〜、優美が先に入ってよ」
「やだよ」
「優美、お願いだから」
と二人でふざけたようにはしゃいでいると、
「君達、入部希望者だろ」
一人の男子生徒が声を掛けてきた。
「は、はい」
優美が慌てて応えた。
「じゃ、中に入って」
 その男子生徒に促され、優美と加奈はおずおずと中に入り、先に入って来ていた他の新入部員の後ろに立った。
「じゃぁ、来てない人がいるかも知れないけど、そろそろはじめまーす」
その言葉を発したのは、先ほど二人に中に入るように言った男子生徒だった。

「えー、ブラスバンド部にようこそ、部長を務める川上一哉といいます」
 優美と加奈はその言葉を聞きながら、小さな声で
「あの人かっこいいね」
「えっ、どれどれ」
「右から3番目の人だよ」
「ほんとだ」
などと、3年生の並んでいるところに立っている雅人を見て囁きあった。
 一哉の一通りの挨拶も終わり、それぞれのパートごとに別れて挨拶をすることになった。
「じゃあとでね」
「うん」
優美と加奈は言葉を交わすと自分のパートが集まる場所へと移動した。
 優美のパートは女の子にしてはめずらしくトロンボーンで、そのパートには一哉がいた。
 加奈はフルートのパートで、そこに行くと女子生徒ばかりであった。
 加奈はフルートの先輩部員の話を聞きながら、先ほどから気になっていた雅人のいるトランペットのパートが目の前に集まっていたので、一哉の横顔をみたり、優美のほうを見て微笑んだりしていた。
 そうこうしているうちに音楽室はパートごとの挨拶も終わり、歓迎会も兼ねた先輩部員達による演奏会へと移っていった。

 優美と加奈も他の新入部員たちに混じり、先輩達の奏でる校歌を聞きながら、
「やっぱ、かっこいいよね」
「もう、加奈ったらそればっかだな」
 などと、トランペットを軽快に吹く雅人を見て小声で喋りあった。
 演奏が終わると、「では、新入部員のみなさん、明日の6時限終了後、なるべく早く部室に集まるようにしてください」という一哉の声で解散ということになり、新入部員たちは音楽室からザワザワと出ていった。
 4階から3階へ通じる外階段を降りながら、
「ねえ、優美、清山学園入ってよかったね」
「なんだよ加奈ったら何しに清山にはいったんだか」
 優美はそう言いながら自分も、少し雅人に淡いあこがれのようなものを抱き始めていた。
 二人は学校からの帰り道も、雅人のことばかり話ながら帰った。話すというよりも、加奈が一方的に優美に語りかけるといった具合であったが、友達が嬉しそうに話す姿を見て、優美も悪い気がしなかった。
 むしろ、自分も雅人に少し淡い恋心が芽生え始めていたせいか、話しを聞いていても楽しいくらいだった。

 優美と加奈の家は学校から徒歩で10分くらいのところにあり、二人とも歩いて学校に通っていた。
「じゃね、ばいばい」
「また明日ね」
 加奈の家の方が学校から近く、大通りから加奈の家がある小路のところまで来て、二人は別れの挨拶をした。
 優美は加奈と別れたあと、春の心地よい風を受けながら一人家に向った。
(もう、加奈ったら、でも、あの人かっこよかったな)

 一方そのころ、明日からの本格的な部活動に備えて、楽譜の用意やら名簿の作成をしていた3年生部員達も、ちょうど校門をくぐりはじめていた。
「なぁ雅人、今日二人して入り口にいて、俺が声を掛けた子達覚えてる?」
校門を出て少し歩きはじめたころ一哉が雅人に聞いた。
「えっ、そういえばお前、なんか言ってたよな」
「なんだよ、見てなかったのかよ」
「そんなのしっかり見てないよ」
二人は冗談ぽく会話を交わした。
「それで、その子達がどうかしたのかよ」
今度は雅人の方が聞いた。
「かわいかったじゃんかよ、今年の新入部員の中じゃあの二人がいいよな」
「そうだったっけ」
「雅人はいいよな」
「なにが」
「雅人はもてるからいいっていってるんだよ」
「なんだよ、またひがみかよ」
 そんなことを話しているうちに、一哉と雅人はいつもの別れ道にたどり着いた。
「じゃ明日な」
「おぅ、ばーい」
 言葉を交わすと手を挙げて二人は別れた。

 雅人は家に帰り玄関のドアを開けると、
「ただいま」
と声を掛け、居間に向かった。
「おかえんなさい」
母親が雅人に声を掛ける。
 雅人は母親が入れてくれたコーヒーを飲むと2階にある自分の部屋に行った。
「ふうー」
と大きな溜息をつくと雅人はベッドの上にドタッと寝そべった。
 そのまま目を閉じた雅人の脳裏にある女性の姿が浮かびあがってきた。
 その女性の名前は坂口留美といって、清山学園のブラスバンド部の1年先輩でこの春卒業して、東京にある大学に行っていた。
 実は雅人は留美とこの3月まで恋人としてつきあっていたのだった。
 今風の顔で、優しさが表面に現れている雅人は上級生からも人気があり、ブラスバンド部で一番可愛かった留美にも好意をいだかれていたのである。
 留美との交際期間は半年ほどで、アプローチを掛けてきたのは留美のほうからだった。
 雅人はちょうど彼女と別れたばかりで、留美のアプローチを快く受け入れ、2月の終わりに留美に別れを告げられるまで二人は周囲もうらやむほど仲がよかった。二人が別れた原因は、留美が東京の大学に進学するのでこれ以上は付き合えないということだった。
 雅人はベッドから起き上がると、机の上に置いてある写真立てを取り、再びに横になった。
 写真に写っているのは留美であった。
 雅人の脳裏につづけてある光景がよみがえってきた。

 それは、最後の別れをした時のことである。
「雅人くん、今日でお別れだけど、最後に私からプレゼントがあるの」
「えっ、プレゼントって」
 最後の別れの日、雅人は留美の部屋へ誘われて行っていた。
 雅人は留美の家へはそれまでも何回か行ったことがあったが、彼女の両親が共働きで留美には兄弟もなく、いつ行っても彼女以外の誰にもあったことがなかった。
「雅人くんにとって最高のプレゼントになると思うけど」
留美が思わせぶりに言う。
「最高ってなんだよ」
雅人は訳もわからずきょとんとするばかり。
 留美は無言のまま雅人の瞳を見つめ、雅人は少し照れくさそうな顔をした。
 留美は立ちあがると、制服のブレザーを脱ぎ、中に着ているブラウスのボタンを外し始めた。
「る、留美ちゃん」
雅人はこれから起ころうとする出来事を察知してか、胸をバクバクと鼓動させた。

 雅人と留美の関係はキスまでしかなかった。
 以前、キスをしているとき、雅人が興奮して留美の胸を触ろうとしたことがあった。
 その時留美は、
「ごめんね、私、そういうことをする人って嫌いなの」
そう言われ雅人は即座に胸から手を離し、
「ごめん、その気になっちゃって」
と謝り事無きを得たことがあった。
 意外なのは、女の子にもてている雅人が童貞であるということである。雅人は留美と付き合いをはじめる前、何人もの女性とつきあったが、キス止まりか、せいぜい服の上から胸を触るぐらいであった。
 しかし、留美と最後の別れをした日、自分をたしなめたはずの留美が、何も言わずにブラウスのボタンを外している。
 雅人の心臓の鼓動はますます大きくなり、留美がシャツのボタンを外し終えた頃には、股間が熱くなっていくことを憶えはじめてきた。
 それは、友達と悪ふざけで成人雑誌などを読んでいるときに感じる熱さとは、まったく別のものだった。まさに体中から血が沸き立つというのであろうか、それとも、体全体の血が股間に集中したといったほうがいいかもしれない。
 それぐらい新鮮で、はじめて味わう熱さを雅人は感じていた。
 留美がボタンの全て外れたブラウスの襟に手を掛け、するりと背中に向かってブラウスを脱いでいく。雅人の瞳に真っ白で透き通るような留美の上半身と、柔らかそうな胸を包むピンク色のブラジャーがうつしだされた。
「留美ちゃん」
雅人は額と背中にじっとりとした物を感じながら留美に向かって言った。
 留美は、尚も無言のまま、スカートのジッパーを下げ、するっとそのまま床に落した。
 留美の履いていたパンティーは、ブラジャーとおそろいの物であったが、雅人はそんなことより、パンティーのあそこのこんもりした部分だけを見つめていた。
「る、留美、留美ちゃん」
雅人は堪えきれなくなったのか、立ちあがると留美に抱きつき、その場に押し倒した。
「雅人くん、そんなに慌てないで、はじめてじゃないんでしょ」
留美は自分を押し倒して、口付けをせがんでくる雅人に言った。
 雅人は無言のままだった。
 雅人がはじめてであることを察した留美は、
「ちょっと待って。お願いだから、乱暴にしないでね」
と言い、上半身だけを起こすと、雅人の接吻を受けながら手を自分の背中に回し、ブラジャーのホックを外した。
「雅人くん、取ってくれる」
接吻を続けてくる雅人の口から唇を離して、留美が雅人の耳元で囁くように言った。
 雅人は留美の体から少しだけ自分の体を離した。
「お願いね」
留美はにこっと優しく微笑みながら両腕を前に差し出した。
 すでに後ろのホックを外されたブラジャーの肩紐は腕の付根の部分までずれていたが、乳房を覆っている部分はまだそのふくらみを隠していた。
 雅人は留美の胸の谷間を見ながらそっと肩紐を自分の方へとずらしていく。パラッと乳房を覆っていた部分が胸から落ち、形のよいピンク色にほど近い乳首をつけた、留美の乳房があらわになった。
 息を呑み、思わず手の動きが止まってしまった雅人。
 留美は自分で片方づつ肩紐を腕から抜いていった。

「やさしく、絶対にやさしくしてね」
留美はそう言い、雅人の背中に手をまわすと唇を重ねてきた。
 柔らかく繊細な留美の唇と滑らかな舌の感触を口全体で受けながら雅人は今度はゆっくりと留美を押し倒した。
「あん」
留美の口から吐息が漏れ始めると、雅人は留美の乳房を揉み始めた。
「あっ、あーん、や、やさしくね」
「う、うん」
 雅人の手に留美の人肌の温かさと、きめの細かいすべすべとした肌の感触、そしてなによりも留美の形のよい乳房の柔らかさが伝わってくる。
「る、留美ちゃん、すごく、すごく柔らかいね」
「ほんと、うれしい」
留美はチユッと音がするように雅人の頬に口付けした。
 雅人は頭に火がついたようにかーっと燃え上がり、もう片方の乳首にくらいつくようにすると、思いっきりピンクの乳首を吸い上げた。
「あー、あー」
留美は乳首に心地よいような痛みを感じながら、甘い声をあげ、雅人の唇の中でその乳首を固くさせていった。
 留美の乳房を揉んでいた雅人の手が、留美の股間に伸び、パンティーの上から少しこんもりした留美の恥丘をまさぐった。留美は片方の手で、自分のパンティーを巧みにずらしていった。雅人は何も覆うものがなくなった恥丘に繁る黒い恥毛を指に絡めた。
「雅人くん、あなたも裸になって」
留美が優しく雅人に囁き、
「わかった」
雅人は少し姿勢を変えて起き上がると、そそくさと着ているものを全て脱ぎさった。

 留美の目の前に現れた雅人のペニスに彼女は一瞬びっくりしたような表情を浮かべた。
 留美が初体験したのは13才の時で、18才になる今まで5人の男性と肉体関係をもった。しかし、いくら完全に勃起した状態とはいえ、雅人のような大きいペニスの男性とは経験したことはなかった。
(大きい)
留美は心の中で自然につぶやいた。
 留美の驚きなど関係なく再び雅人は留美にのしかかった。乳首を吸いながら手を留美の股間にやると、繁みに囲まれた恥丘の割れ目に指をあてがい、訳もなくいじりくりまわした。
「ま、雅人くん、そっと、そっとやって」
あまり激しくいじくりまわすので、たまらなくなった留美が雅人をさとした。
「どこを、どんなふうにさわればいいの」
雅人が無邪気に留美に聞く。
「ここ、ここを指で優しくして、優しくよ」
留美は雅人の人差し指を掴むと、クリトリスの上にあてがいこすってみせた。
 雅人は留美の手が離れ、自由になった人差し指で今度は自分でこすってみる。
 雅人の指先に柔らかいよな、それでいて芯のあたりだけが固いような不思議な感触が伝わり、
「あん、いい、いいよ」
と留美もクリトリスに心地よさを憶えはじめ声を再びあげだした。
 雅人は留美の甘い泣き声を聞きながら、留美のクリトリスをこすっている自分の指に目をやった。留美のあそこは、ピンク色をした乳首とは対照的にどす黒く、恥丘の割れ目がぱっくりと大きく開いて、その中からどどめいろをしたグロテスクなびらびらが顔をだしていた。
「雅人くん、舐めて、留美のこと好きなら舐めて」
雅人は一瞬ドキッとしたが、なんのたためらいもなく、生まれて初めて女性器に口をあてた。雅人が口を当てたところは、ちょうど留美の蜜壷のとこであった。
 雅人の舌にとても酸味の強い、ねっとりしたものがまとわりついてきたが、雅人はそれをいやだとは思わなかった。むしろ動物の本能のようなものが沸き立つような感じさえ受けた。
 雅人が、どこを舐めていいのかわからず、とりあえず口を当てたところから上に向かって舌を這わせると、
「あぁーん、気持ちいい、いっぱいなめて」
雅人は一生懸命にそれを繰り返す。
 雅人の目には浅黒い皮に半分だけ包まれた真っ赤な留美のクリトリスが見えていた。
「もっと、もっと上の方」
 留美は一向にクリトリスまで舌がこないのにしびれを切らしながらも、甘い声で雅人にせがんだ。雅人は言われるままに舌をもっと上ほうまで這わせる。
「あーっ、あっ」
留美の体が小刻みに震えだした。
 少しの間、雅人は留美のあそこに舌を這わせつづけた。
「雅人くん入れて、入れていいよ」
すっかり気持ちもよくなり、あそこも十分に潤ってくると留美が半目を開いて雅人に言った。

 雅人は留美の股間から口を離しておきあがると、留美も上半身を起こした。
「机の上のケースの中にあれがあるからとってくれる」
「わかった」
雅人は机の上のケースを開いた。
「あるでしょ」
留美が確かめるように言う。
 それがなんであるかは童貞である雅人にもよくわかっていた。
 雅人がその袋をとりだし封を切ろうとしたとき、「私がつけてあげるよ」と留美は言った。
 コンドームの袋を受け取り、
「さぁ、ここに座って」
雅人は留美の前にあぐらをかいて座った。
「もう、こんなに出しちゃってる、すごく興奮したんだね」
 ハッと思い雅人が自分の股間に目をやると、いきり立った大きなペニスの先端の割れ目から、透明の液体が湧き出し亀頭全体を濡らしていた。
「ほーら」
 留美は冗談っぽい顔をしながら、指を雅人の亀頭の先に付け、今度は指を天井へ向かってあげた。
 留美の指と雅人の亀頭の間にはその透明の液体が糸を引き、10センチぐらいのびたところでプチリと切れた。
 それを見て、雅人は不思議な感じがしたが、少しおかしくなり笑みを浮かべると、留美も一緒に微笑んだ。
 そんな淡い初体験の思い出に浸っているとき、携帯電話のメール着信音がなった。
「だれだよ、まったく」
 雅人はベットから起き上がり、携帯電話を手に取った。
「一哉か、なんだっつーの」
 メールの内容を読む雅人。
 メールには、
「今日の女の子、やっぱかわいいよ。アタックしてみようかな。とくに、髪の毛をショートにしてた子、俺はあれをゲット、雅人は?」
と書かれていた。
 その時はまだ優美と加奈のことなど眼中になかった雅人は、どっちがどの子かもわからず、「よーし、お前がショートの子なら、俺はもう一人の子だ、どっちが先に落すか勝負すっか」とメールを打ち返した。
 一哉の言っているショートの女の子とは優美のことで、雅人が適当に打ち込んだもう一人の子とは、加奈のことになるのだった。

 翌日になりいつものように授業を終えた雅人と一哉は音楽室に向かった。
「おい、雅人、勝負わすれんなよ」
「わかってるよ」
二人はそう言い合いながら音楽室にくると、もう半分ぐらいの部員達が集まっていて、それぞれのパートに分かれて練習を開始していた。
 雅人と一哉も自分のパートにいくと練習を始めた。
 加奈は昨日から目をつけていた雅人のほうを気づかれないようにちらちらと見ながら練習をした。
 部活の時間の終わりがきて、
「みなさん、今日はこれで終わりにしましょう、部長、あとは頼むよ」
と顧問の鈴木教諭がそれだけ言い残して、音楽室を後にした。
「では、片付けた者から先に帰ってください、みんなご苦労さん」
と一哉が部員達に声をかけた。
 加奈と優美が揃って音楽室を出ようとしたとき、みんなが帰るのを待っている一哉が雅人に向かって、
「あれ、あれ、あの二人だよ、かわいいよな」
と言った。
 雅人は二人を見て、というより加奈を見て
「おっ、ほんとだな、いいなぁ」
とつぶやき、
「そうだろ、よしっきまりだ」
一哉がうれしそうに言った。
 雅人は昨日までは気づかなかったのに、今日、加奈の無邪気に優美と話す笑顔や、少しだけ茶色い肩まで伸びたしなやかそうな髪、そして、スラリとした美しいスタイルを一発で気に入ってしまった。
 雅人は、優美も顔は可愛いが、なんとなく控えめのような感じがして、一哉好みだと同時に思った。
 一方の加奈と優美は、
「ねぇ、加奈、あの人の事ちらちらみてたでしょ」
「見てないよ」
「見てたよ」
「そういう優美もみてたんでしょ」
「私は別に」
「別になによ」
ふざけ合いながらも、同じ男性を意識し、二人は思いをつのらせていくのであった。

 

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