少 年

第1章 見ていることしかできない その2

 わたしは学校のトイレでセックスやオナニーをいつもしている。セックスをするときは養護学級用の身障者仕様のトイレを使う。1階の端っこ、職員室の向こう側に養護学級用の教室があり、そのそばに身障者用トイレがある。養護学級の授業が終わった後は車椅子の来客でもなければ使う人もほとんどないし、すぐ手前に職員室があるから、生徒がうろうろしていても不思議じゃない。
 このトイレは広く、ポールの付いた洋式便器と、壁沿いに作りつけのベンチがある。だから、結構色々と使いやすい。
 壁に手を付いてお尻を突きだしてバックで入れる事もできるし、少し狭いけれどベンチに身体を横たえることもできる。彼がベンチに腰掛けて、その上にさらにわたしが座るというスタイルが最も多い。
 だけど、声を出すことが出来ない。誰に聞かれるかわからないから。だからわたしは口にハンカチをまるめて詰め込まれる。すると唇の端からよだれがしたたる。なんてみっともない姿だろう。よだれを垂らしながらわたしは腰を振る。

 オナニーの時は、クラブハウスのトイレを使う。クラブハウスは校庭の隅にあり、トイレは男性用と女性用がクラブハウスを挟んで右と左に別れている。校舎のトイレは男女が隣同士だけれど、ここだけは部室を挟んで離れているので、声を出しても男の子に聞かれることはない。
 女の子達には聞こえるけれど、みんなやっているから平気だ。
 わたしはあの時の過酷な合宿を思い浮かべる。すぐに脳内麻薬のエンドルフィンが分泌される。わたしたちソフトボール部員はこれを自由にコントロールできる。
 そして、わたしは指でクリトリスとヴァギナを刺激した。

 わたしは妄想した。ナンパされてホテルに入ろうとすると、わたし達の後ろからさらに二人の男の子がついてきていた。彼らはわたしをナンパした男の子と知り合いで、誰か一人がナンパに成功したら、その女の子をみんなで味わおうとあらかじめ打ち合わせが出来ていたのだと、後で知った。わたしはかわるがわる3人の男に犯された。

 イク寸前に誰かがトイレをノックした。
 「トーコ、ねえ、そこにいるの、トーコでしょう?」
 独特の甘ったるい声は、緒方直美だ。
 「我慢できなくなったの。一緒にしようよ」
 直美は、智史と幸絵の様子を語った。幸絵はテーブルを引き寄せてその上に乗り、ちょうど智史のペニスがバックから受け入れられる高さに腰を浮かせて、後ろから突かれていたと直美は言った。
 彼女はエッチ仲間だ。直美の彼とわたしの彼、合計4人で入り乱れてセックスする。誰かが欠けて3人の時もある。直美とわたしの二人のこともある。彼同士の二人、というのがあるのかどうかわたしは知らない。だって、興味ないから。
 鍵を開けると、直美はなだれ込んできた。スカートをたくし上げてパンティは半分ずっている。
 わたし達は愛し合ってからトイレを出た。



 翌朝、いつもよりも1時間早く家を出た。部室の様子が気になったからだ。
 部室には鍵がかかっている。スペアキーを持っているので開けてはいると、粉々になった蛍光灯の破片が床に散らばっていた。
 そして、部屋の片隅には、ひとつの毛布にくるまっている智史と幸絵がいた。気分が悪くなった部員を休ませるため、部室には毛布が備え付けてある。
 智史も幸絵も目を覚ましていた。わたしと目があった。
 「すごかった」と、幸絵が言った。智史は無言だった。
 「もう一回するから、出て行って。それとも、見てる? 見ててもいいけど、扉を閉めて鍵をかけて」
 わたしが出て行こうとすると、幸絵が毛布をめくった。智史の怒張したペニスが目に入った。わたしの足が止まった。
 「そう、見てるのね。いいわよ」
 わたしは扉を閉めてロックした。
  

挿画は「かゆう」さんより頂きました。どうもありがとうございます。

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