語り部は由美
大学1年生 淫ら(4)





 トモちゃんを介してのトシアキや順くんとのセックスはあれからしばらく続いたけれど、一月ともたなかった。恋愛感情は生まれなかったし、飽きたのかもしれない。
 だからわたしはちょっと欲求不満に陥っていたのだと思う。
 ゴールデンウイークは誰とも会う約束が無かったので、実家に帰った。そこで久しぶりに昔の友人に会った。真由美もボーイフレンドいない状態だったので二人で呑みに行ったりカラオケを歌ったりして遊んだ。そうそう、温泉も行ったんだ。
「由美ってすごくエッチな身体してるのね。びっくりしちゃった」
「え? そうかな?」
「うん。なんか、すごい・・・」
 身長も体重も平均。プロポーションだってとりたててどうということはない。劣等感を抱かなくてもまあ大丈夫かなという程度。鏡に顔をうつせば、「うん、オッケー」って思う日もあれば、疲れているときなんか「ぎゃー、最悪」と叫びたくなる。それなりにかわいいとは思う。かわいいっていってくれる人も何人もいた。けれど、町を歩いていてスカウトされたりするほどじゃない。10人並なのだ。
 でも、友達に指摘されて、わたしは姿見に自分の裸体を晒してみた。
「ほんと・・・。なんか、すごくエッチね・・・」
 真由美はわたしより少し背が高いけれど、プロポーション的にはほとんど変わらない。なのに、わたしの方が熟れているって感じがする。バストのサイズは同じでも、カーブの描き方が微妙に違う。
「ちょっと、あっち、行こ」
 わたしは真由美に誘われて、乳白色ににごったお湯がタップリの露天風呂へ行った。
 真由美はお湯の中に沈んだわたしの乳首を指でつまんだ。
「うん。違うよ。あたしのより太い」
「え? そうなの?」
「そうよ。たっぷり男のエキスを吸った乳首ね」
 真由美は愉快そうに笑いながら、親指と人差し指でわたしのオッパイをコリコリと弄んだ。
「あ、ん・・・」
「なによう。オンナに触られて感じてるの?」
「うん。ちょっとね」
「じゃあ、こっちは?」
 真由美はいたずらっぽく唇に笑みを浮かべて、クリトリスに指を伸ばしてきた。
「ああ・・、ん」
「こんなところで声を出さないで」
 真由美にたしなめられて必死で我慢する。だけど、そこをそんな風にいじられたら、感じるじゃない!
「クリちゃん、露出してるし、大きいよね」
 真由美は耳元で呟いた。
「バカ。何いってるのよ」
「使い込んでる?」
「まあ、そこそこは」
「ふうん。何人ぐらい知ってるの?」
 さあ、何人になるだろう。もう正確にはわからない。
 30人かな、40人かな。それくらいだと思うとわたしは答えた。
 わずかな風にちいさな波紋をサラサラと描いていたお風呂の表面は、わたしを中心に大きな波が立った。
「痛ったあい! どこつねってんのよ!」
「あはは、ごめんごめん。つい、ね」

 ゴールデンウイーク明けに彼氏が出来た。サークルの仲間だ。
 彼との付き合いは普通の恋人同士と変わらなかったと思う。
 休みの日や学校帰りにデートをして、エッチした。
 特別刺激のあるセックスじゃなかったけれど、決まった相手がいるというのが良かったのか悪かったのか、わたしはそれなりに満足していた。
 やっぱり「恋人」がいると感じる精神状態がいいのね。

 5月下旬の夜の公園。まだ少し肌寒いけれど、女の子達は初夏のファッションへと移行してゆく季節。わたしも、そう。明るい緑のミニのワンピ。ノースリーブで肩を露出。その上からピンクのカーディガンを羽織る。
 わたしの肌に彼、キョウスケが色めき立つ。
 ベンチに座った彼の上にわたしが座る。わたしの中には彼が入っている。
 キョウスケはこれまでベッドの上での正常位しか知らないと言った。本当はこういうこともしてみたいとずっと思っていたと告白した。けれど、これまでの彼女はさせてくれなかったらしい。わたしは彼の求めること一切を拒否しなかったし、むしろその先へと誘導さえした。
 わたしたちはどんどんエスカレートした。
 キョウスケも色々なところで情報を仕入れてくる。
 リモコンバイブをつけてデートさせられたり、ノーパンミニスカで駅の階段を上り下りさせられたり。公園や公衆便所やビルの非常階段や誰もいない教室などでエッチするのが当たり前になるまでそれほど時間はかからなかった。
 正常位しか知らなかった男の子も、エスカレートするにつれ、わたしは逆に「ああ、普通の男の子なんだ」と思うようになった。
 でも、彼の望むとおりにした。彼の事が好きだから。

 それは学校帰りに二人一緒に電車に乗ったときのことだった。
「おまえ、才能があるんじゃないの?」
 キョウスケはわたしの耳に唇を当てて呟いた。
「な、なんの?」
「淫乱の」
「キョウスケがしたいことをしているだけ」と、わたしは返事した。
 わたしも好きだしね。
「結構、経験あるんだろ、実は」
 今更否定するのも白々しいと思った。で、わたしは「ちょっとはね」と答えた。
「じゃあ、この程度じゃ感じない?」
 キョウスケは短い私のスカートをもろにまくり上げて、お尻の方から手を回してきた。
 ラッシュタイムにはまだ時間がある。空いた電車の中で私達は視線をたくさん浴びた。そのことが私の興奮を増幅させる。
 わたしはキョウスケに抱きついて、「充分感じるよ」と言った。
 多分わたしは普通の女の子よりずっとずっとすごいセックス経験をしていると思う。だけど、この程度の経験をしている子なら他にもたくさんいるはずだとも思う。
 で、もっともっと気持ちいいことに溺れてみたいと思う。
 でもね、だからといって、ありふれた刺激では感じないなんてことはちっとも無い。
「みんな見てるよ」
「あん、そんなこと言わないで。目を閉じて浸ってるのに」
「でも、みんな見てるよ。平気なの?」
「平気じゃないよ。余計感じる」
「パンツ、おろしてやろうか?」
「うん、いいわよ」
 人の目に、私達の行為はどう映っているんだろう? 「すごい、やるなあ、あいつら」かしら、それとも「恥知らず、変態」だろうか?
 どっちでもいい。甘美な悦楽にのめり込んでいくわたしがいる。
 キョウスケの指がヴァギナの入り口を行ったり来たりしているうちに降りる駅についた。
 わたしはそっとパンティをあげてそそくさと電車を降りた。

 そして、夏がやってきた。
 私達のサークルは一週間の夏合宿に行く。
 コテージを借り切り、釣り、登山、サイクリング、キャンプファイヤー、パラグライダー、カヌー、農業実習、肝試し、肢体不自由児の施設でのボランティアなどのメニューをこなす。
 メンバーは15人。男9人、女6人。みんなそれなりに軟派な奴なんだけど、合宿の中身は真剣だ。
 この中で一番ハードなのがコテージを離れて1泊2日の登山である。野営や自炊の道具も自分達で担いで運ぶ。

 もっとも、ただハードなだけの夏合宿ではない。
「男と女が1週間も一緒に過ごすのよ。それなりの楽しみもなくちゃあね」と、意味ありげに笑いながら情報をもたらしてくれたのは1年上のサツキ先輩だった。
 サツキ先輩は女の子としては平均的な身長だけれど、ポッチャリ体型。でも太っているというのとは違う。ギリギリのところで保っている。これがなんともいろっぽい。放っておいたらメデューサになるという天然パーマも手入れが行き届いているから魅力的だ。何気なく目や唇に髪の先端が届くその容姿と丁寧な化粧はどこか水商売系の女性を思わせる。「ねえ」と湿っぽい声で囁かれれば男たちはたまらないだろうなあ。
 サツキ先輩の話によると、初日の夜の「肝試し」で私達新入生の女の子は男子先輩の好みで選ばれたいていは手を出される。夕食後は自由行動だから油断をしたら日毎に男たちの餌食になる。そして乱れるのが最終日夜のキャンプファイヤーから翌朝にかけて。
「こんな話を聞かされたら辞めちゃう子もいるから、黙っててね」
「じゃ、どうしてわたしには話したんですか?」
「由美ちゃんはそういうの、好きなんでしょ?」
「え、まあ、嫌いじゃありません」と、わたしは控えめに答えておいた。
「でも、ある程度はみんな気がついているみたいだし。もともと期待してる子もいるし」
 ここだけの話だけどと前置きをして、サツキ先輩はこっそりと教えてくれた。
 最終日の夜の乱交を成功させるために、1年女子はそれまでの間に二人以上とセックスさせなくてはいけない、という決まりが男子の間にはあるのだ。
「ええー?」
 わたしにとっては今さらどうということはないが、それでショックを受ける子だっているだろう。きっとセックスに対する考え方が変わってしまうに違いない。
 わたしがそう言うと、サツキ先輩は「それが目的なのよ」と言った。
「もうどうでもいいやー、って思わせるのよ。そしたら、大乱交の始まり始まり〜」
 サツキ先輩は嬉しそうに語った。こんな話をしながら先輩のアソコはもう濡れているのかしら、などとわたしは考えていた。
 
 合宿の前日、わたしはキョウスケを公園に誘った。大学から電車で駅ふたつ分離れた所に、大規模な森林公園がある。大勢の人がいっぺんに弁当を広げられるような芝生広場もあるし、ボートが浮かべられるような池もある。自然の地形を生かして木々の生い茂るままの森もあり、そこには遊歩道が整備されて、気持ちよく散策する事が出来た。遊歩道にはあちらこちらにベンチがある。そのうちいくつかには屋根もついていた。
 わたしとキョウスケはその屋根つきの休憩所の裏側にいた。遊歩道に面した側は完全にオープンになっているが、それ以外の3方は腰から下は壁に囲まれてベンチが作り付けになっている。その裏側に座り込めば少なくとも遊歩道からは見えない。
 人目からは隔絶されているけれど、木々に囲まれ森の匂いがめいっぱいたちこめたとても気持ちのいい空間だった。
 わたしもキョウスケもそこがお気に入り。ここに目をつけるカップルはたくさんいて、先を越されることも多かったけれど、今日は一つ目の休憩所で場所を確保する事が出来た。
 わたしたちは何度も何度もキスを交わした。ねっとりと舌を絡ませあうディープキスだ。

「合宿中はきわどいカッコでいてくれるよな」と、キョウスケが言った。
「え、でも・・・」と、わたし。サツキ先輩の話を聞いているから少し不安になる。キョウスケが悦んでくれるのは嬉しいけれど、そそる格好をすればあっという間に先輩達の餌食になりそうだ。
 餌食になるのは好きだけれど・・・、キョウスケがいるしね。
「ずっと、ノーパンミニスカでいてるとかさ」
 キャンパスではそういうことも少なくないけれど、さすがに合宿ではまずい。だって、絶対気付かれる。
「まわされちゃうよ、そんなことしてたら」
「そういうの嫌い?」
 さすがに「好き」とは言えなかったけれど、寄ってたかってなぶりものにされているところを想像すると下半身がジュンとなる。
 ハザマ先輩は大きそうだし、小柳君はしつこそうだし、カトー先輩は経験豊富そうだからきっとテクニシャン。クラブ員の顔が次々と浮かび、くらくらしてくる。
 前にも後ろにも挿入されて、口でも誰かのを舐めながら、全身をいくつもの手や舌がはいずり回る。
 他にも女の子はいるから独占できないけれど、一度だけでいいから9人まとめてやられてみたい。
「好きなんだろう?」
 キョウスケはスカートの中に手を入れて、おもむろにわたしの股間をまさぐった。
「今日だってノーパンじゃん」
「それは、キョウスケとこうして会うから・・・」
「ほら、こんなに濡れて」
「・・・いやん・・・」
「好きなんだろう?」
 彼は繰り返した。
「だって、キョウスケはそんなの嫌でしょう? わたしが他の男とするのなんて」
「うん、本当はね。でも、それがこのサークルの不文律というか、条件なんだ」
「え?」
「女の子を分け合うって言うの。もちろん女の子は嫌だったら拒否してもいいんだけど」
「キョウスケは、それで平気なの?」
「平気じゃないけど、こないだ先輩に説得されてさ。ここはそういう所なんだって。いやだったら二人して辞めてもいいけど、他の女子部員とやり放題だって。・・・俺だって、他の女とやりたいし・・・、あ、ごめん」
 なるほど、それが本音か。そうだろうなあ。
 彼は本とかビデオで新しい情報を仕入れるとすぐ試したがったし、わたしも受け入れたし、そうしているうちにすっかりエッチになっちゃったもんなあ。
 あんまり女性経験の無い彼に調子に乗ってわたしも色々教えたし、仕方ないな。でも、全ての女がそうじゃないんだけど。
「でも、ノーパンは嫌。約束できない。すっごくいやらしい気持が盛り上がったらするかも知れないけど」
「じゃあ、思いっきりエッチなパンティーはいてきて」
 ま、それなら、いっか。わたしは頷いた。
「そのかわりちゃんと食い込ませろよ。スカートめくったときに、はいてるのがわからないくらいに」
「うん、いいわよ」
 だって、いつもそうしているから。
「やだ、本格的に変な気持になって来ちゃった」
「由美の部屋についたらすぐ入れてやるって」
「だめ、すぐにして」
 わたしはキョウスケのズボンのファスナーを下ろしてペニスを出し、その上にゆっくりと腰を沈めた。
 チラッと見ただけではただいちゃついてるだけなのだけど、ちょっとよく見ればやってることがわかる。
 遊歩道からは見えなくても、休憩所に足を踏み入れればわたし達の存在は明らかだ。ベンチの上は壁に大きく穴が穿たれていて素通しだ。森の風景と空気が休憩所内にもいっぱい入り込むようになっている。要するに柱と屋根だけなんだよね。
 さっきから人の気配がする。振り返って見るとわたし達と同年代の二人連れだった。さすがに挿入まではしていないけれど身を寄せ合っていちゃいちゃしていた。その二人もチラチラとこちらの様子を窺っている。結合部分はスカートに隠れて見えないけれど、何をやっているかはわかってるに違いない。
 キョウスケはTシャツの裾から手を入れて、乳首をつまんだ。色の濃い布なので透けて見えることは無い。だからわたしはノーブラだった。透けなくても乳首の形がはっきり現れているからブラをしてないのはわかるんだけどね。
「ああん、感じる。ねえ、掌で転がしてぇ」
 ふわっと力が抜けて腰がどすんと彼の上に落っこちる。はめたまま彼の上に座っているので、ズドン、という感じで子宮が突き上げられる。
 そうこうしているうちにシャツは完全にめくりあげられた。わたしはオッパイをさらけ出して、彼に揉まれていた。
「そんなに激しくしたら、もう出ちゃうよ」
「中で出していいよ。今日は」
 許可をもらったキョウスケは、わたしの中に熱いしぶきをほとばしらせた。
 
 
 合宿の一日目はほとんどが移動だけである。5台の車に分乗して、目的のコテージに向かう。
 わたしとキョウスケはカローラの後部座席に乗っていた。
 既に出来ているカップル4組が2台の車に乗っていて、後は適当に入り乱れていた。
 運転しているのは3回生の岡寺先輩とその彼女サツキ先輩(2回生)だった。岡寺先輩とサツキ先輩は公認の仲。
 岡寺先輩は体育会系のいっけんちょっとこわい感じのする人。5分狩りでがっしりした体型だからそう感じさせるのかもしれない。顔のパーツがどれもこれも四角いなあという印象だ。実際にはとても気さくなんだけど、黙っていればボディーガードみたいですらある。
 カローラは岡寺先輩の車だ。
「おい、キョウスケ、少しは遠慮しろよ。こっちは運転してんだからな」
 後部座席でいちゃついているわたし達を彼はルームミラーで時々監視していた。
 わたしはキョウスケにもたれかかっていて、彼の手はわたしの胸に差し込まれていた。掌が軽く乳房を覆うような優しい愛撫だったけれど、ときおり指先が乳首を通り過ぎた。わたしはその度に徐々に感度を増して行っていた。
 もう少し激しくやって欲しいなとも思うけれど、いちゃつきで済まされる範囲を超えたらまずいかも知れないなと、ほんわかした快感程度で満足していた。
「すいません」
 キョウスケはわたしの胸から手を引っ込めた。
「やめなくていいよ。ミラーで楽しませてもらってる。ただ、もう少し遠慮がちにやってくれってこった」
「いやあ。見られてた」と、わたしは小さく叫んだ。
 同時に激しく濡れ始めた。
 わたしはちょっと焦ってしまって、慌てて席に座り直す。キョウスケがその時悪戯をした。ちょっと浮かした腰の下に彼が手を入れたのだ。指を立てた手を。
 そこへどすんと腰を下ろすわたし。指先は命中した。食い込み気味にはいていたハイレグパンティの布がぐいっと押し込まれる。
「あ、ふにゃあんん」
 わたしは声にならない声を上げ、キョウスケを見た。キョウスケは事態を把握したようだった。お尻の下の手を抜き取ろうともせず、指先をくねくねと動かした。
「ちょ、ちょっと、あん、や・・」
 耳元でキョウスケは「感じる?」とつぶやいた。
「・・やあん、遠慮しなくちゃ先輩に悪いわよお〜」
 スカートをまくり上げて直に指を突っ込んでくれればまだしも、そうしない。スカートの布越しにもごもごと指が動くものだから、パンティの布が指先の動きに合わせて出たり入ったりこすれたりした。
 ああ、こんな不安定な動き、はじめて。
 これ以上声を漏らしたりしないように耐える。だって、さっき先輩に注意されたばかりだから。
 わたしの興奮度数は、「もうだめ、むちゃくちゃにしてえ」の一歩手前の状態。
 やがてドライブインに入って、休憩。
「遠慮しろって言ってるのにますますエスカレートしやがって。頭に来た。今度はお前が運転しろ」
 食事をしながら岡寺先輩はそう言ってキーをポンとキョウスケに投げてよこした。
 キョウスケは免許を持っている。初心者マークはとれたばかりだけれど、先輩には最初から交代要員として期待されていた。
 彼が運転席に座るのに合わせ、わたしも助手席に移動。
 岡寺先輩と一緒に後部座席に移動したサツキ先輩は「なんかシート湿ってなあい?」と、声まで湿らせて言った。
「何やってたんだかねー」と、岡寺先輩もニヤニヤと反応する。
 まさか。シートまで濡らしているなんて。でもあり得るかも知れない。彼の指はスカート越しだったけれど、溢れた雫が太股を伝っていたのを自覚している。
 でもまてよ。食事休憩に1時間かかっているし、その間車の中の温度はぐんぐん上昇しているんだから、とっくに乾いているはずだ。きっとありもしないことを言ってわたし達をからかっているのだろう。

 そんなことを考えていると、後部座席でラブシーンが始まった。
 私達のイチャツキどころじゃない。ぺちゃぺちゃという音に誘われて振り向くと、岡寺先輩のファスナーは既に下ろされ、ペニスが屹立している。そこに唇を寄せているサツキ先輩。
 すご。わたしも野外セックスの経験はいっぱいあるし、見られるのは嫌いじゃないけれど、それでもなんだかこの先輩同士のフェラはすごい。ねっとりと念入りにしゃぶりあげるサツキ先輩と、官能に眉を寄せる岡寺先輩。表情まで含めて見るものの性感を刺激する。熟成したカップルってこうなんだとわたしは思った。
「由美もする?」と、サツキ先輩。
「ええ?」
 このとき、わたしのコードレスバイブにスイッチが入った。
 ドライブインで休憩しているときに、キョウスケに入れられたのものだった。
「どうせ先輩達後ろでいちゃいちゃするんだから。我慢できなくなるに決まっている」
「だからって」
「スイッチが入ったら合図だから。俺のを口でしてくれ」
 全くもう、フェラされながらの運転だなんて、どこで覚えてきたんだろ。
「今日はバイブつきだから、いいだろう?」
 運転中のフェラは、するばっかりでしてもらえないからつまらない、とわたしは以前言ったことがある。それならばとリモコンバイブを用意してきたのだった。
 後部座席では濃厚なシーン、そしてわたしのアソコでうごめくバイブ。
 頭がおかしくなりそうだった。
 わたしがキョウスケのものをしゃぶっていると、わたしのシートが倒された。
 サツキ先輩の仕業だった。
 体勢を崩しながらもしゃぶっていると、サツキ先輩がわたしのスカートをめくり上げた。
「わあ、由美ったら、なにこれ」
 サツキ先輩はわたしのバイブを掴んで、出したり入れたりし始めた。
「あ、はあーん」
 とうとうわたしは快感の渦に引き込まれてしまった。車の中だとか、先輩カップル二人がいるからとか、どうでも良くなってしまう。
「もうダメだ。集中できない」
 キョウスケは呟くと、道の傍らの空き地を見つけて、車を止めた。
 車内はすごいことになっていた。
 キョウスケのペニスをくわえたわたし。わたしのアソコにはバイブ。バイブのスイッチはキョウスケによって入れたままにされ、そのバイブをサツキ先輩が持ってわたしの中をピストンさせる。サツキ先輩は岡寺先輩の膝の上。下半身むき出しで挿入されている。頭が天井にぶつかるので身体を傾けていて、その胸を揉まれている。
 狭い車内で制約される動き。
 ぎっしぎっしと車のサスペンションが妙な具合に反応し、のどの奥に彼のペニスが、膣の奥にバイブが、不意に突き刺さる。
 バイブじゃなくて、本物が欲しくなる。
 感じに感じまくって、もうわたしはどう動いたか覚えていない。
 気が付いたら、背もたれの倒れた助手席にうつ伏せになっていて、下半身が後部座席側に伸びている。
 そこに、岡寺先輩のペニスが。。。いままさに突き刺さろうとしていた。
 焦らすようにおちんちんの先端がヴァギナの入り口付近を行ったり来たりする。ときどきわずかに穴に入りかける。
「ねえ、いいの?」
 わたしはキョウスケにきいた。
「こういうのを望んでいたんだろう?」
 心の中を見透かされたようなことをキョウスケは言う。
「本当に、いいの?」と、わたしは繰り返した。
「こういうの、好きなんだろ?」
 こういうのを望んでいたんだろう? 好きなんだろう?
 キョウスケの言葉が頭の中をぐるぐる回り、身体の中を通り抜けていく。
 もうわたしは返事が出来なくなっていた。それにわたし達の会話など岡寺先輩はきいちゃいない。有無を言わさず突っ込んできた。
 岡寺先輩はとてもパワフルで、いったんインサートした後はがんがん突いてきた。
「あ、ああ、ああああー!」
 腰から足の先までがピクピクひきつるように跳ねる。
 先輩に視線を向けると、わたしの中で熱く固いものを震わせながらも、その手はサツキ先輩のアソコを弄ぶのを休まない。
 サツキ先輩は上半身をのけぞらせながら手技に酔いしれている。
 わたしは手を伸ばしてキョウスケのペニスを激しくマッサージした。
 わたしの中の岡寺先輩に変化が現れた。
 いままでたくさんの男を味わってきたけれど、こんなのは始めてだった。
 まるで脈を打つように、彼のチンポは太さを変えているのだ。
 ぎゅい、ぎゅいっと、膣壁を圧迫する。あるいはわたしが締め上げているのかもしれない。
 その都度わたしをイク寸前の快感が支配する。
 どれくらいそれが続いただろうか。わたしをきつく押し広げた状態でそれは停止した。
 (あ、くるな)と、わたしは思った。
 出来たら外で出して欲しいなと一瞬思ったけれど、すぐに「このままぶっ放して」という欲望の方が強くなった。
 これまで危ない日に何度中出しされたことか。それも、その場限りの得体の知れない男達に。
 こんなことばかりしてたらそのうち。。。。いつもあとで後悔するんだけど、その危なさが興奮を高めてくれるのも事実だ。
 でも、今日は。。。まずいかもしれない。これを認めてしまったら、合宿中わたしはあらゆる男達の中出しを許してしまうんだろうな。
 わたしの手からキョウスケのペニスが離れ、いつの間にか彼は後部座席に移動してサツキ先輩を膝の上に抱いている。
 キョウスケを受け入れて淫らな目と唇に悦びを浮かべるサツキ先輩の表情を見た途端、わたしの中で快感がはじけた。
 イッてしまったのだ。
 ここ半年くらいの間に、わたしはイク瞬間強烈に締め付けるようになってしまった。
 岡寺先輩も見事なくらい大量にわたしの中に放出した。
 子宮口にがんがん棒状の液体が叩き付けられるようだ。
「あ」と、彼が言った。「あと30分はもつと思ったのに」
 (そ、そんなに)
 思わずわたしは「抜かないで」と言った。
「あと、30分」
 キョウスケとサツキ先輩のセックスはまだ続いていた。
 
 あとで知ったことだけれど、この夏合宿の裏の目的が乱交だと知ったキョウスケは、岡寺先輩とサツキ先輩に相談をしていた。
「突然ひどいことになったら、由美がパニックにでもなったらかわいそうなので、事前にさりげなく教えてやって欲しい」と。
 サツキ先輩がわたしにあんな話しをしたのもそのせいだった。バイブを仕込めとアドバイスしたのは岡寺先輩で、合宿地へ向かう車の中でさっそく乱交騒ぎになったのも彼の発案で、事前にシナリオに組み込まれていたのだった。
 わたしがセックス好きなのはキョウスケも感じ取っていたけれど、合宿最終日の全員入り乱れての交わりに耐えられるほどだとは思わなかったらしく、彼は彼なりに気を使ってくれていたのだ。ちょっと、嬉しい。

 だけどこの程度のことはこれまでに何度も経験している。エッチモードにスイッチの入ったわたしがやりまくってしまうのを見て、彼はどう思うだろうか。喜んでくれるかな? それとも、ゲンメツするかな?
 いずれにしても、「もう止まんないや」とわたしは感じていた。