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激しい叩きつけるような雨の中、俺とKさんはしばらく見つめ合っていた。Kさんが、雨から顔をかばうように手をかざしと時、俺はハッとして、Kさんの手をつかんでいたんだ。
「Kさん、こっちに来て」
「M君、ちょっと、どこ行くんね? ちょっと……」
俺は、Kさんの自転車を奪うようにしてハンドルを握ると、向こうに見えるバイク保管庫へ向かって歩き出した。Kさんは、ちょと、ちょっと、と言いながらついて来る。そのKさんに向かって、俺は保管庫を指さして見せたんだ。
「あそこに避難しよう、Kさん」
「ええっ? 避難?」
「あそこに、俺、バイクを入れてるんだっ。あの保管庫を、借りてるんだよっ」
ガラララッ……。
俺は、自転車を止めると、鍵を開けてシャッターを持ち上げた。俺の1300ccが姿を見せる。ポカンとして保管庫の中を見ていたKさんの手首を、俺はつかんだ。
「さあ、中に入って」
「あっ、M君……」
ガララララ……。
Kさんを中に入れると、今度はシャッターを下ろす。中が、真っ暗になる。俺は、低い天井にぶら下げているランタンのスイッチをひねった。ポッと薄暗い灯りがともって、俺は立ちすくんだんだ。
狭い保管庫だ。奥行きは俺の1300ccで一杯になるし、横幅はバイクを置くと、人一人がぎりぎり立てるぐらいの広さだ。
その至近距離の中で、ずぶ濡れになって、まだ状況が把握できていないような顔で、俺を見つめるKさん。その小さな顔が、丸い目が、俺を立ちすくませたんだ。可愛かった。
「Kさん、このタオル使ってよ。綺麗なタオルだから」
俺はなんだかあまりに恥ずかしくなって、保管庫においてあるタオルをKさんに手渡した。今日みたいにいつ雨が降るかわからない。俺はいつも傘とタオルを保管庫に置いている。それが今迄で一番、役に立った気がした。
俺もタオルで頭を拭きながら、Kさんを盗み見た。ショートヘアの髪や、細い腕を拭いているKさん。俺は、目のやり場に困ったが、盗み見る事をやめれなかった。
KさんのTシャツはずぶ濡れで、下着が浮かんで見えていたんだ。
「M君のバイクなんね、これ」
Kさんが口を開いてくれて、俺はホッとした。
Kさんの濡れた体をチラチラ見ている事を、見透かされているようで、気まずかったから。
「大きいバイクに、乗りよるんやねえ……、でも驚いたわ。いきなり呼び止められたけん。私、買い物に行こうとしてたんじゃけど、突然雨が強くなってきたから諦めて帰ろうとしてたんよ。どんどん強くなるんじゃけん。どこか雨宿りできないかと思っとったとこやったんよ。びっくりした……。でも助かったわ、M君」
ザーッ……。
保管庫の天井を、雨が叩きつける音がしていた。ニコッと俺を見上げてきたKさんの、その唇を俺は見た。
どうしようもない。やっぱり俺は大人になりきれていない。俺はそう思いながら、Kさんを細い二の腕をつかんでいた。
(心に残る最高のセックス体験告白掲示板より 2010年1月9日)
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ついについに! 二人っきりで狭い密室の中、というシチュエーションですね。これから、告白? それとも、いきなり行動に移す? さあ、続きをお楽しみに。
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